《俺にエンジョイもチートも全否定!~仕方ない、最弱で最強の俺が行ってやろう~》第二十八回 メイド力と魔王軍
「はああああ!!」
「うりゃっ!」
翌日、藍とフェーラは早起きして働き始め、藍はフェーラに「あの」モップの技を教え込んだ。
二人で一瞬でひとつの階を終わらせてしまう。
大魔王城の清掃を終わらせるのに要する時間は計算すると約二時間強くらい。
周りではいつも通り藍に「洗脳」と言う名の憧れを抱いた中級メイドたちが「ストーカー」と言う名の仕事をしている。
「さすがフェーラね、すぐに學んでしまうなんて」
「だてに最上級じゃないのです!」
褒められたフェーラは嬉しそうに微笑んだ。
藍の後ろでは同じく最上級メイドエイアルがドアを破壊し続けては直し続けていた。
毎回響く「ドゴン」と言う音にもいい加減慣れてしまった。
直せるのだからそれでいい。
「ラン先輩ラン先輩、見てくださーい!」
エイアルが藍の服の裾を引っ張り、モップを持ってどや顔で立っている。
不思議と嫌な予はしない。
藍とフェーラは頷き、エイアルの後ろに下がる。
モップがエイアルの手から離れる。丁度いい強化はできないもののその分モップにかけて。
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モップにひびがるが気にしず、でモップを吹き飛ばす。
それこそが、エイアルに合ったやり方であった。
モップは一直線に端まで向かっていき、眼で見えるのが限界なくらい離れてから、倒れた。
「んー、距離が足りなかったですぅ……」
「そうね、力の大きさは重用だということを學んだわ」
エイアルは目を輝かせる。藍も微笑む。
それを見計らって「ストーカー」をしていたメイドたちが飛び出してくる。
フェーラはいつも通り空気となり、最上階の清掃に向かう。
「城を出て行っちゃうって本當ですかぁ?」
「ヤダヤダ此処にいてくださいい」
大量とは言えないが何十人もの中級メイドに囲まれ、藍は苦笑いをする。
「それ何処で知ったの……殘念ながらちょっと事があって此処に殘ることは無理よ」
「ランさんッ!私もっと上手になります!だから戻ってきて!」
きっともう決心を変えないという表をしている藍。それを察してエイアルは決心で返す。
藍がそれに弱いことを知っていて、決心を返すことはないと知ったうえで。
「分かったわ、いつか戻ってくる。エイアルに會いにね」
「うん!」
完全に藍がメイドたちを手なずけたところで、フェーラが奧の階段から降りてきた。
「ランさん、今日は私もいますので、庭の掃除を手伝ってください」
「それって……」
「魔族たちも手なずけてきましょう♪」
「ちょっちょっちょ!!!フェーラあぁぁぁぁ!?」
半ば引きずられ、藍はフェーラと共に……強化をして窓から飛び出す。
もちろんそれを見たメイドたちはフェーラに驚き、そしていきなりでも強化を間に合わせることができる藍に驚き、目を輝かせて呆れていた。
「ああ! 草むしりね」
「ここでもランさん、何か発揮してくれますか?」
「え?あ、んんー??」
どうしようか迷ったところ、藍の脳に新スキル獲得報がってきた。
【新スキル『創造クリエイト』を獲得しました】
どうやら高い方のスキルのようで、フェーラは固まった。
「スキルってこう簡単に得られるものなのかしら?」
「生活や狀況に元づいて出てくるのでわかりません」
藍も一瞬固まったが、そのスキルを使うことにした。
フェーラによると創造クリエイトは攻撃力の無いを創り出すことができるスキルである。
攻撃力の無いもの、とはつまり魔力を通さない、魔力が含まれていないもののことだ。
『創造クリエイト』
藍が何もない……前言撤回、草が生えすぎて足首まである草原に手を向け、スキルを作する。
一応フェーラになぜ草が多いのか聞くと、とあるメイドの長スキルが掌握され切っていないようで、たまに暴走するため間違えて此処一帯の草に長スキルをばらまいてしまったのである。
なんと、悲慘なことだろうか。
そして藍の目の前に現れたのは、草むしり機であった。
「やるのですね」
「ええ、やってやるわ」
「丁度魔人と魔がいますね、手なずけましょう」
「どちらかというと……洗脳、ねっ!」
喋りながら、機械を倒さないようにボーリング姿勢で草むしり機を投げる藍。
それは草原り、なんと藍の魔力でカーブし、それを何度か繰り返したところで草は全滅。
見ていた魔人や魔たちは聲すらあげられなかった。
「きゃー!ランちゃんったら上手い!」
その中でも付き合いが長いサタンは飛んできて「気になる」と言い出し草むしり機を分解する。
スキルで作られたもののため、そこまで執著心はないのでそのままにしておく。
魔人たちは目を丸くし、藍、フェーラ、サタンを互にみつめていた。
「す、すげえ……重の乗せ方とかどうやるんだ!?」
「あぁ。それはこうやったら……」
「ずるいわよ~?お姉さんにも教えてチョーだい!」
「えっと」
「あらあらあらあら!みんなずるーい!さぁ部屋に帰ってゆっくりしましょ♪」
「あ、了解したわ」
またも引きずられながら藍は魔人と魔と共に最上階への階段を上らず、ジャンプで窓までつく。
そして一人ずつよじ登っていく。
それを見てまた空気となっていたフェーラとサタンはため息をつく。
「手なずけましたね」
「ランは天才そのものじゃないかな?」
「えぇ、天才ですね」
――――――――――――――――――――――――――☆
「ふぉい!」
「せいやああ!」
一方の藍は、モップを中心から破壊するためにはの力をなんちゃらかんちゃらと説明し、何百本のモップを破壊しては制作していた。
ロナワールは資料作とかのため、今ここにはいない。
「できた!」
やっと全員の魔人と魔が藍の出したミッションを功させることができたようだ。
一息つくために、全員で地面に座る。
「そうだなあ……あの戦い、俺はすぐに気絶しちまったぜ」
「私はー、何もできなかったかな」
彼らは全員で、あの戦爭を振り返った。
それはヒートアップし、「反省會」が開かれてしまったのは、余談であり、言うまでもないのだろうか。
余談だが、ロナワールは自室で目を回して資料をガン見していた。
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