《俺にエンジョイもチートも全否定!~仕方ない、最弱で最強の俺が行ってやろう~》第三十二回 エアンの商売能力
「創造クリエイト」
藍が屋臺の中で使ったそのスキルで創造したのは、大きいとも小さいとも言えないミシンだった。
エアンもサランも目を丸くしている。
如何やらこの世界にこのようなものはないらしい。
「紙とペンだけでは足りないからハンカチでも作ってくるわ」
「あ、あぁ……」
しかしエアンには分かっている。
藍は貴族に見せびらかしがしたいだけなのだと。貴族の金の馬車が屋臺のそばを通る。
しかしその馬車が止まることはなかった。
エアンとサラン、そして藍も肩を落とした。
「ねえ、これきれいね、どうやって作ったの?」
そんなところに、程よく裝飾を付け、長いスカートを著て絶妙にセクシーな、一挙一の振る舞いが優雅でから幻想的な香りがするが近づいてきた。
その白と青の定番的なオッドアイはエアンとサランと藍を丸のみにしてしまうほどしかった。
「え、あ、こ、これは企業機でして……」
「そう。中で作っているものはなに?」
「ハンカチです。」
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「あらまあ!特に高くもないし……凄いのね、さすが手作りと言うところかしら」
が問い、藍が応えると、は口をつぐんで微笑んだ。そのオーラはまるで神のようだ。
しゃらん、と言う音がする髪の裝飾も、幻想世界に引き込まれるようだ。
話すたびに揺れる髪のも、計算していると言われても驚きはしないだろう。
エアンはそんなが平民だとは思わない。
「失禮ながら、何者です?」
はし言いにくそうだったが、藍に屋臺の中にっても良いという許可を得ると、屋臺の中にり込み、サランと藍、エアンに向かって微笑んだ。
「多分知ってると思うけれど、レシェア・ヴェリア。この國の第二王です!」
そういうに、藍とエアンは冷や汗を流した。
これは、自分たちが魔王軍だと絶対にばれてはいけないということだ。
もしもばれたら絶対につかまる。
それに目の前にいるレシェアは第二王という権力を持っているのだ、ただでは済まないだろう。
「は……今までのご無禮申し訳ございません」
「良いのよ。今は私も平民と同じだもの」
エアンが知っている話だとレシェアは「魔返還」と言うスキルを持っている。
下手に攻撃しても仕方がないとみて、エアンはレシェアに畏まることにした。
ちなみに藍が今使用している布も創造で出したものだ。
しばらくすると、ハンカチが二枚出來上がったようだ。端には小さく蝶の刺繡がっている。
「あら!可いわね」
レシェアがハンカチをけ取ると、おしそうにそれを見つめた。
そしてもう一枚のハンカチはハートの刺繍が所々にっていて、レシェアはそれを見て目を輝かせた。
第二王とは、こんなものなのか。
「じゃあ、このハンカチ二枚を500000Gで買いましょう」
「えぇ!?ほ、本當ですか……」
日本円では約五百萬。きっと組織に行くまでには「超」楽に暮らせるだろう。
宿も々高級なものでも良いだろうか。
まあ、直行で組織に向かうため宿に行くつもりは今のところないのだが。
もしまだ滯在したいという気持ちがあればエアンとサランを送って自分だけ此処にいるのだが。
「えぇ。はい、それじゃあ」
「はぇええ!?あ、あ、はい、っはい、ありがとうございます……」
約五百萬の大金をレシェアは現金でこの場で支払ったのだった。
元々の定価は100G。しかしこの価格は倍どころではない。
ものすごい、この中で一番長の低いサランの半分くらいの大きさの袋が地面に置かれる。
それを顔ひとつ変えずにレシェアは藍が包裝したハンカチ二枚をけ取ると、涼しい顔で帰っていった。
藍たちは呆けた顔でそれを見つめているのだった。
その沈黙を破ったのは一人の男だったのだ。
「おい嬢ちゃんら新米か?だったらその紙無料でよこせよ」
その男はニールを持ってがぶ飲みしながらそう言ってきた。
どうやら貴族でもなさそうなのはその汚れた服裝で分かった。ならば容赦する必要はない。
エアンが前に出ようとすると、サランがそれを遮った。
「お客様、新米だろうとなんだろうと、無料で渡すことはできません。それにお客様冒険者の類でしょう?商人でもない方に値段の渉は予定していませんね」
にこりと笑って彼は用に冷たく言葉を放った。
魔王の威圧を遠慮なく放っているのだが、男はそれをけたのだった。ただのバカで気づいていないというのはありえないようだ、明らかに歯向かってきているのだから。
エアンと藍は驚愕しながらも、男をにらみつけた。
「聞いて驚けぇ。オレはBランク冒険者だ、逆らったらどうなるか、わかってるなあ?」
「分かりません」
どうやら男は酔っているわけではないようで、完全に自分の意志のようだ。
もっと許すわけには行かない。
レシェアと比べたら可哀そうなのだが天地よりもの差がある。
Bランク冒険者は確かに手で數えられるほどない。しかし彼のような者をそんな地位の高い場所に置いておくわけには行かないと思う。
エアンはし冷たく微笑んだ。
男はあらかさまにイラっとしている顔を見せ、腕に強化をしていた。
「じゃあ嬢ちゃん、オレに喧嘩吹っ掛けたことを後悔しやがれぇ!!」
そしてその腕をエアンめがけて振り下ろした。
周りが一瞬でざわめき、エアンの勝利を希する者はいなかった。
しかし。
魔王軍を相手に平民ランクが生き殘れるか?答えは、無理だ。
「え?後悔か?無理に決まってるだろう?お前に?笑ってもいいか?」
思わず素の話し方に戻ってしまったエアン。普段通りだろう。
……男の腕を片手で易々とけ止めていなければ。
男の腕は「ミシッ」と音を出し、エアンが笑顔のまま反対方向に折ると、「ボキボキボキ」と音を立ててその骨は砕けた。
その男が絶を上げる前にサランが上級ポーションでなかったことにする。
「それで客さん、買ってくのか買ってかないのか、はっきりしろよ」
そう言ったエアンと共に、サランと藍も威圧をかける。それもたっぷり。
男は全力で震え、持ち金すべての4000Gを置いて、メモ帳とボールペンを持って去っていった。
定価は2000G。これもまた予定よりも2000G多く手にれてしまった。
歓聲が上がる。
しかし三人はそれを無視し、屋臺を片付け始める。
そう、金を手にれた今、組織へ向かう旅を始めなければいけないのだ。
「やっぱり宿行く?」
「まさか魔力を使うなんて思わなかったよ、疲れた」
「魂怖い」
宿に行くことになってしまった……行かないと、言っていたのだが。
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