「うあああああああッ！！！」

城の庭で、彩は大きくんだ。

ダンジョンのペアは10人で、ひとつのダンジョンに付き三段階の時間に別れてそれぞれ五つのダンジョンに行く。

海斗やセシアとペアになる確率は無いに等しかった。

10×3でひとつのダンジョン。劣等すぎる者や行ったことのある者は殘し90人で向かう。

その中で。

「なななっ何パーセントの確立だぁっ！」

「さぁ？くじ引きだしね」

そう。

このペアはくじ引きで決まるもので、意図的に彩と海斗を組み合わせたわけではない。

彩と海斗がペアになってしまったのは、神様の意図だろう。

「行きましょう彩さん。『転移』」

上級のの上級であり、村人くらい、いやそれをしくらいは超えるかもしれない「劣等」である元貴族令嬢白泉京子。

彼は特別スキルをひとつだけもっており、それが「転移」なのだ。

殘りの8人と共に、ダンジョンの第一階層まで一瞬で転移する。

「へえ、意外にも明るいものなのか」

中は故意的のようにオレンジに照らされているが、周りは土を固めているようでるとっている。

足元はごつごつしていてし歩きにくい。

これぞダンジョンと言える雰囲気だった。

「そうだね。僕も思わなかったよ、蝋燭もどうやら意味がないようだね」

「持ってきているのか。準備だけ・・は萬端だな」

「だけ、は余計だろう？」

「仕返しだ、仕返しぃ！」

そう言えば前彩にも同じようなことを言ったな、と今更思い出す海斗だった。

思っていられるのも今のだった。

そう、大魔王城の隣であるここ。

今大魔王城では第一次の戦爭が始まっているため、魔はいろんなところにうろうろしている。

「なっ！　なぜこんなところにいる！！！」

「……ウルフか」

真っ黒な並みを持つ、冒険者でもCランク以上になっての討伐が許される狼の魔、ウルフ。

元々このダンジョンには居るはずのないものだった。

幸い今のグループに中級以下はとてもなく、二人しかいない。

彩が彼らを守り、海斗たちが戦うというのならばできそうな行為である。

海斗は剣を握る。

セシアのものには比べようもないが、一応有名な錬金師が工場とコラボして作られた上級な剣だ。

「彩ちゃん。下級を守れ」

命令にしては、何だか嫌味がする。

しかし今はこうやって短い言葉に省略する以外出來ることがなかった。

「了解！」

彩は劣等の二人を連れて後ろへ下がる。

上級の二人が海斗と並び、殘りの六人は後方にて待機している。

目の前にいる、驚愕なくらい殘酷な尖った歯をしたウルフ。

海斗を抜いた皆は初めての戦闘な者が多い。

海斗自もウルフと戦ったのはなく、同じく冷汗を流していた。

「はアッ！！！」

腕から切り裂こうとするが、びくともしない。

かえってウルフはそれを威嚇だと認識したようだ。ゆっくりと向かってくる。

「……海斗。あいつの弱點は腹だ。この様子だとスキルを使える。絵は上級でスキルは盾だったな、海斗の周りに結界を張ってくれないか？」

「分かったわ！！『結界』」

「中二病も役に立つのか。今回は謝してあげるよ、戻ったら……」

「戦え」

ズバッと切り裂いた彩の言葉に、海斗は頷き背を背けた。

剣をしたから。

腹に向かって一直線に銀の糸を引く。それと共に絵の結界が張られる。

「GYEEEEEEEEEEEEE！！！」

ウルフは咆哮して攻撃しようとするも、それは結界によって通らない。

結果、剣は腹を貫き、ウルフは力なく倒れた。

海斗は素早く素材になる魔石などを採り、先に進もうとした。

「なんでこんな強い魔が……」

「私の分析によるとこの先からも出るだろう、きっと迷い込んだ集団だからな」

「ウルフって集団行するのかよ？」

「場合によってだな。いつも集団というわけではないし」

しん、と一瞬にして靜かになってしまったダンジョン。

薄いオレンジのもなんだか點滅しているようにじる。

「そして私が思うには。さっきのウルフの咆哮で明らかに魔の集団が向かってきている」

「んなんだって！？」

この勝負、どうなるだろうか……。

――――――――――――――――――――――☆

「へえ、魔王城の戦闘がここまで影響してたんだ……」

『ねえぼす、どうするの？』

「これは無理にでも止めるしかないな。洗脳を」

『わかった【洗脳：対象・エアン】』

アイエリアスのその行に、ボスは薄っすらと微笑んだ。

それを見てアイエリアスの眼は輝き、その洗脳を多重掛けし、絶対に解けることのないように念りに反抗念を封印した。

ボスは満足そうにアイエリアスの頭をで、席から立った。

相変わらずその顔は見えない。

「……僕はそこまで深りするつもりはないんだけれどね」

『じゃあどうして？』

「僕がしいのはリーゼルトとラン、レティラーの三人だけ。他は邪魔になった場合排除するし、そこまでじゃない場合は死なないように萬全を盡くすけど」

そこまでボスは殘忍ではなかったのだろう、彼の眼からは一筋の哀れみが見えた。

しかし彼が組織のボスであることは変わらない。