《俺にエンジョイもチートも全否定!~仕方ない、最弱で最強の俺が行ってやろう~》第九回 真の力、二重人格

その後ドラゴンは自分で擬人化し、ハーフのへと姿を変えた。

劣等たちは才能の二人と共に中殿、彩の現れた場所でもある城の中心部に集められた。

行われたのはダンジョンでの狀況の説明。

説明を聞いた他の者たちは驚きながらも納得していた。

ドラゴンは彩の強さに完全に敗北し、そして忠誠を自ら誓った。

『我は強いものにつく』

と、そうも言っていた。

「こりゃあ私も強くなったものだな……」

「いい加減その話し方を止めないか」

「……」

海斗は確信よりも、すでに「あの時」のノリで話しかけている。

彩も海斗への心は、あの時の年だとすでに信じている。

もう、偽りを貫き通せない。

「私は……」

「教えてくれないか? あれから何があったか」

この場は中殿である。

皆が興味津々に聞こうとしているものの、彩は不思議と嫌という気持ちを持たなかった。

きっと話したかったのだろう、分かってもらいたかったのだろう。

そう思って、彩は最初から話し始めた。

―――――――――――――――――――――――――――――☆

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彩は、両親に見捨てられ、捨てられた。

學校でも居場所がなくなり、結局は退學。

二次元に逃げようと、そう思ったものの、この世界にないものと言うことは分かっている。

せめて、信じるだけでもいい。

もう死んでもいい、そう思って彩は不良の滯在する裏の路地にり込んだ。

それが、リーゼルトとの出會い。

「君は此処に來るべきじゃないし、死ぬべきでもない」

彼のその一言は、彩の心を大きく揺るがした。

もう一度、リーゼルトの學校へ転し、そしてたまに登校していた。

リーゼルトは彩にを、彩はリーゼルトに常識と言葉を。常に二人で活し、二人で足りないものを補い続けていた。

ある日、そう、彩が「中二病」というものを捨て始めていたその時。

彩は海斗に出會った。

海斗は単純で、彩に楽しさと、単純であり続ける「子供」の概念を教えてくれた。

けど。

海斗の友達がそれを嫌に思ったのだろう、なにせモテモテだったのだから。

車の前に突き飛ばし、彩は死んだのだ。

それと同時にリーゼルトが異世界に飛ばされたため、知らないのも當然だったのだろう。

―――――――――――――――――――――――――――——☆

「あれは……僕のせいだ、僕が、きちんと友達を止めなかったから」

「もう怒ってないよ、だって恨んでも意味ないでしょう?」

彩の口調は砕け、完全にプライベートになっている。

あの後狹間の部屋でリーゼルトに出會ったため口調を戻したのだ。

やはりあの口調の方が落ち著く、となりさっきまであの口調で生きてきたのだ。

「私は、いつの間にか二重人格になっていたの。今だってもしかしたら奇跡なのかもしれない。「私」はきっとまた「私」によって閉じ込められる」

「つまり「如月さん」の場合だと「才能」くらいの力を発揮できるということか」

「うん、きっと賢者くらいにはなっていると思うけど」

彩は車にひかれたとき、人格が二つに切り裂かれたのだという。

スイッチというものはなく、完全にに任せて出てくるのだという。

「その力を制することができるまでの訓練であるな」

「そうね、ファイアードラゴンさん……」

「む、我はユリウスとちゃんとした名がある」

じゃあなぜに擬人化したのか、と海斗は一瞬呆れた。

戦闘力を抜いたらこのドラゴン、意外とバカ寄りなのかもしれない。

彩は急いで呼びなおし、ドラゴン改めユリウスは機嫌よさそうに鼻を鳴らした。

ユリウスは彩の過去に同しており、この力を制するのを手伝うといった。

これは助かる。

「ありがとう……でも待って、人格を合わせるのって可能なの?」

「我の力を見くびるでない、補助辺りは可能である。合わせるのはまた貴様の力になるのだがな」

「そう。可能なのなら、出來る限り努力したい」

彩は日ごろの行いからは全く想像できないような暖かい微笑みを浮かべた。

本気で、彼は今のこの狀態を気にっていないということだ。

「では我も男の姿に変わろう、何だかむずむずする」

「こんの、天然ッ!!!」

耐えきれなかった海斗が聲を荒げてしまった。

そう言ってしまうのも無理ないだろう。

それをけとめ、ユリウスは無駄にイケメンな年へと姿を変えた。

ちなみにドラゴン一族は大賢者の一個上で霊の一個下である。

「我の力を見くびるでないぞお(二回目)」

「分かりましたから! 見くびってなどいませんから!」

「葉蝶君、昔と一緒だね」

くすり、と彩はそう笑った。

隨分シリアスな展開になったものの、彩が正式に「才能」の一人になることが認められた。

金の王座に座る海斗、銀の王座に座るセシア、そして銅の王座に座る彩。

劣等たちの歓聲が響く。

彩も悪い気はしなかったようで、天使のような微笑みを浮かべた。

ユリウスのスパルタ地獄教育は、明日に行われる!!!

「楽しみ……とは何だか言えないよ」

「まあ我の教育の仕方はちょい他と違うからな」

「拷問の未來がみえるのだけれど」

彩の部屋で、ユリウスと彩はベッドに座っていた。

勿論ねる所は分かれる。

「む、拷問してほしいのか?」

「そんなわけないでしょ!? ユリウスちょっと怖いよ!?」

「わ、我も嬉しいだけなのだ……」

「分かってるよ、ボスはユリウスを放っておいちゃったんでしょ?」

「もうボス好きじゃないのである」

それは正解である、とロナワールも藍もリーゼルトも全員、口を揃えていうと思われる。

明日が、迎えられる。

はもう沈み、月が主役となって輝いている。

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