《俺にエンジョイもチートも全否定!~仕方ない、最弱で最強の俺が行ってやろう~》第十九回 ボス部屋にて

スライム大殺戮というのは想像以上にグロイもので、自主規制をかけるほどのものだったと彩は自分で思っている。

ヴェリトがどう思っているかは知らないが、嫌悪の顔に染まりながらスライムの?を払っているのを見ると彩の気持ちとそう変わらないだろう。

今二人がいるのは二階層から三階層、つまりボス部屋への階段を上っている。

最も、上がっているか下がっているかという覚はないのだが。

「ちなみにさ、僕の母と挑むことになるんだけど、抵抗はない?」

「まあ、しだけな。しかしどちらかというとヴェリトの方があるんじゃないか?」

「う~ん、多分アヤと同じくらいだと思うけどな」

「助けるとかいうのは可能じゃないのか?」

「ダンジョンクリアは、ダンジョンマスターを倒して初めて認められるんだよ」

――――――僕は母がどんな顔をして挑んでくるのか、見てみたいだけだ。

そう言ったヴェリトの顔は悲しみなどは無く、どちらかというと笑っていた。

自分の母を倒さなければいけないというのは最初からわかっているかのような顔だった。

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「あ、著いたよ」

「へぇ……やっぱりヴェリトって貴族なのか?」

白いレースのカーテンにお灑落な機、華麗なカーペット。どれも貴族が選ぶような高級品の代だが、それに似合わないのは散らばった跡と人間の死くらいだ。

「くらい」というと変かもしれないが今の二人にはそれくらいにしかじない。

だって死んでしまったのは取り戻せないのだから。

「あ」

「お」

ヴェリトが聲を出して見つめた先には、を失った目をしたが居た。

その目をスルーするのならばとてもしいだ。

この世界ではあまり珍しくない茶髪を巻いて、元気さが出ている花柄のワンピースを著ている。しかし全部その虛ろな目のせいで臺無しだ。

「話が分かるかな? ……リフェアさん、リフェアさん?」

『……ヴェリ、ト、逃げ、て、早く、ここ、から』

「アヤ聞こえた? まだがあるみたいだよ」

「あぁ、そうだな。とりあえずなにか助けられる方法は無いか……ユリウス」

彩のそばで微だにしないまま姿を消していたユリウスが突然名前を呼ばれたことにより一瞬は目を丸くしたがすぐに主人の思いに応えるために自分のステータスを鑑定した。

今まで一度も出てこなかったその名前にヴェリトは一瞬困した。

リフェアと呼ばれたの聲は「話している」というよりも頭に響いてくる覚。

恐らくは理を失っているが頭にはまだが殘っているのだろう。

『もう、無理、よ、あた、し、は、助け、られ、ない』

「リフェアさ……母さん! アヤを信じて。……僕らを信じて!」

「ユリウス、姿を現せ!」

リフェアの表は相変わらず変わらない。なぜ彼が彩たちの聲を聞き取ることができるのかは不明だ。ユリウスが彩の命令を聞いて姿を現す。

ヴェリトはいきなり現れた彼に対してぎょっとして無意識に一歩後ずさる。

「このダンジョンを壊せばもしくは助かるかもしれぬ」

「下手に壊したらだめなんじゃないか? それに」

「大丈夫だ。我は「ダンジョン破壊」という専門のスキルを持っている」

なんでそんなスキルを持っているんだ、と彩は々呆れた。しかしユリウスを作ったのはその「ボス」という人で、彼がこのスキルを埋めつけたのならこの狀態を想定していたということになる。

考えれば考えるほど、恐ろしいという想しか浮かんでこない。

ユリウスが見えない空を突き通るかのようにして上に向けて手をかざす。

「ヴェリト。我に関しては彩に教えてもらうのだ、その前に【ダンジョン破壊】」

『あ、う……』

ダンジョンを破壊するということはダンジョンを持続するのに不可欠な「コア」を壊すことになるため、リフェアが苦しんでいる景もあり得るのだが。

ユリウスと彩、ヴェリトまでもが「やはりか」という表で見ていた。

「想定は外れていないようだな、やはりコアは別の所にある」

「それが母さんの神を支配してるってことなのかな?」

またまた相変わらずリフェアの顔は変わらないままだが、ほんのわずかいた。

これはコアにひびをれたことでリフェアがコアから抵抗できるようになったということだ。

ユリウスがさらに手を掲げてを放出すると、ダンジョン全にひびがる。

彼の予想だと、ダンジョンが壊れる寸前にコアが消えるはずだ。

――――――予想は、當たらなかった。

「わーむりむり、あーなーこんなのたえられなーいー」

「は?」

コアとは石である。

その石が発しながら彩のまわりを飛んでいたのである。しかも喋りながら。

この場に居た誰もの目が點になった。

「えっとね、あーなーのなまえはあーなー! このだんじょんのこあのやくめをやってるの! だんじょんのほうかいはとめたんだけど、こあはつづけてられそうにないみたい」

「ってことはアーナーがコアだということでいいのか?」

「うん! でもいまは、「なびけーたー」っていうのにうつりかわろうとおもってるんだ。えーっと、あやさんだっけ、あやさんならあーなーをうけいれてくれそうだから」

「つまり私に移ろうというのか?」

「それはないなあ、神を乗っ取られない可能もないでしょ?」

「ううん! もうこあのやくめはないから、そのせいのうはもうないよ」

正気に戻ったリフェアが頭を抑えつけてアーナーの言葉を認めた。コアというのは役目を失ったら本來は消えるが、アーナーの力が特別強いのとダンジョンは強制的に壊されたわけではないという偶然が重なり合ったからこそナビをすることができる、ということだ。

彩の記憶が正しければ、ナビとは全知で、導いてくれる存在という認識がある。

世界でも、ナビを持っている者は指で數えられるほどにしかいない。

「よし、れよう!」

「「えっぇええええええええええええ!?」」

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