《俺にエンジョイもチートも全否定!~仕方ない、最弱で最強の俺が行ってやろう~》第二十七回 Bランク昇格の條件

ギルドの機にをもたれさせ彩はため息をつきながらごろごろしている。その向かいの席にはユリウスとヴェリト。

なぜユリウスもいるのかというと、存在がばれてしまったからだ。

『おおう!? ヴェリト!?』

『ご、ごめん! ノックをし忘れたみたいで、……それ、ドラゴン?』

昨日の出來事を思い出すだけで彩はまたため息をつきたくなった。

宿の部屋にユリウスの真の姿を映し出すとずいぶん部屋が窮屈になるようで、小さくなる練習をしていたのだが、ヴェリトがってきてしまった。

それから真相を話すと、彼がずいぶんおしゃべりだということを翌日知った。

「何だよ、竜舞姫って、何その異名。いや、かっこいいんだけどさ?」

「ごめんってば、僕はちょっと何でも話しちゃうんだよ」

「いや、ごめんで済む話ではないぞ? 我は一応でも伝説クラスのドラゴンなのだ。最近は使われていないがな」

「やめるんだユリウス。悲しくなる」

実際ユリウスを『使っていない』本人は彩なのだが、今の気分が悲しいのにまたプラスされるとが底辺になってしまうのでそう制する。

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ヴェリトはしゅんとしていて、本當に反省しているは見えている。

しかし広まってしまったことはもう取り戻せない。

こうして話が広まったことによって何かいいことが起こらないかと彩は期待する。

「アヤさん、ユリウスさん、ヴェリトさん、いいですか?」

「おう。だが私達はパーティじゃないんだぞ。三人一緒でいいのか?」

「大丈夫ですよ。竜舞姫様」

「うおおおっその呼び名はやめるんだっ」

サテラは彩たちの姿を見ながらそっと微笑むと、彩とユリウスとヴェリトを連れてギルドマスター室へすたすたと歩いていく。

「うわー、僕ギルドマスター室なんて初めて行くよ」

「はは。私達に謝するんだな。最もユリウスは何もしていないがな」

「ずいぶんな皮だねアヤ」

この話が冗談の言い合いだということは彼らのみが知る。はたからみたら仲の悪い同士にしか見えないだろうが、そういうことではない。

ヴェリトがギルドマスター室に初めて行くのは本當であるが。

『―――君は同じ名前だね。賢者のサテラと。協力してほしいんだ』

『何をですか?』

『アヤをBランクまで昇格させてほしい。やり方は何でもいい』

サテラは昨日の話を振り返り、彩の方を向く。楽しそうに話している様子を見ると、サテラの良心が痛んだ。

彩が組織を恨んでいることも知っている。

なのに、彼は組織のボスの協力して彩を利用しているのだ。勿論その時ボスの顔は見ていないが、聲は偽っていないことが分かった。

サテラが賢者のサテラと一緒の名前なのは偶然だ。それに賢者二人の名前がれ替わったと知ったのも最近だし、何が悲しくて組織に協力する必要があるのか。

「賢者様の名前、れ替わったんですよね」

「サテラからリオンにな。そう言えば貴様も名前が同じではないか。とんでもない偶然だな。まあ何が起きたのは知らないが―――」

きっとリーゼルトなら知っている、と彩はそう言おうとして口をつぐむ。きっと彼なら知っている。そんな自信が沸くのだ。

ふふ、と微笑んでいるとサテラがギルドマスター室の扉を引いた。

「どうぞ」

「おう」

「こんにちは、アヤちゃん。昨日の襲撃についてだけど、あの男は組織の人間だ。しかも処分される寸前だった下っ端なんだって。どうする?」

「ギルドに引き渡すよ。私が奴をどうにかできるとは思わないし、第一下っ端に何か聞いても期待する答えは返ってきてくれなさそうだからな」

「あのー、話についていけないんだけど」

「ヴェリト、君は付いてこなくていいのだよ。我ですら付いて行きにくいのだが……まあ、プライベートだと認識するのだな」

ユリウスの言葉に「プライベートを僕の前で?」とますます疑問符を浮かべているが、それも仕方がないものだ。

何も知らない者に分かる話だと彩は思わない。

本心をさらけ出すとしたら下っ端に用は無いと切り捨てるだろう。

「それでね、今日の本第なんだけど。サテラから君がBランクになりたいって聞いたんだ。そのために……この依頼をけてくれたら昇格できるんだよ」

「なぜ?」

「最初からアヤちゃんの経験値がBランクになるぎりぎりまで溜まっていたんだ。でもあとしだったからCランク。で、この依頼をけたらすぐに昇格できる」

「僕は!?」

「ヴェリトは経験値の半分がたまるね。二人ともWINWINだと思わない?」

ヴェリトは目をキラキラさせてルカの持っている指名依頼の紙を見ている。彩はその依頼に軽く目を通す。ウルフと呼ばれる狼の魔の討伐依頼だ。

報酬も悪くはないし、引きけてもいいかもしれない。

「実はこの依頼、貴族からなんだ。あまり失敗してほしくなくてさ。ぼくの一番信頼する冒険者が君らなんだよ、お願い」

「分かった。けよう」

「ありがとう!」

ルカはにこりと笑っているが、サテラは笑えなかった。ルカも、此処に居るサテラ以外の者も、彼が組織に協力していることを知らない。

彩がギルドから出ていくのを見送ってからも、笑顔を作ることができなかった。

「よし、明日に期待だな!」

「ウルフなど我がさくっとぶっ殺してやるぞ?」

「ユリウスさん、それじゃあ僕らのレベルがあがらないよ」

「むう」

「まあいいじゃないか、ユリウスは戦いたいんだよ。バトルジャンキーだからな」

彩は宿の兄さんが用意してくれたジュースらしきものを飲んでベッドを展開させる。ヴェリトが溜息をついて立った。

仕方ないね、と言って彼らに手を振り、扉を引いて出ていった。

「いやぁBランクか。……準人、待ってろ」

「青春であるな」

「うるさいぞユリウス、シメられたいか」

最も今の彩ではユリウスをシメることは不可能だが。

ジュースを飲み終わった彩は明日にワクワクしながら眠りについた。一方のユリウスはウルフを哀れっみながら眠りについたのだった。

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