《俺にエンジョイもチートも全否定!~仕方ない、最弱で最強の俺が行ってやろう~》第九話 お前にはできない

こいつが魔力を放出した時からリーゼルトは絶対に勝てないことを予想した。

賢者は魔力を使いすぎ、

幹部は地面にはいつくばり、

魔王軍は武を取りおとし、

最弱は遙か後方へ吹き飛ばされる――――――。

そうなる。きっとそうなる。リーゼルトの第六が警鐘を鳴らしていて止まらない。

にげろ、此処にてはいけない。

本能がそう言っているが、逃げるわけにはいかないのだ。

「ウオアァアアアアアアアアアッッ!!」

「っ―――てめえ、挑発行為だけはよくやるようだな。理まで失って何のつもりだ! 命がけのやる気があんのかよ貴様はッ!」

煽っているのではない。理を失って魔にをゆだねることでもっと強くはなるが、リーゼルトは素で勝負しない男にイラついていた。

襲ってくる威圧に。

割れる大地に。

警鐘を鳴らす本能に。

を切り刻むような膨大な魔力に。

――――――抗って抗って、リーゼルトは剣をもう一度構える。

「準人、いけるか?」

「はっ、出來るかできねえかなんてねえ、出來るしかねえんだっつーの」

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相変わらずの荒い言葉遣いで男は挑発され、男は低い唸り聲を上げている。

人間離れしたそれをリーゼルトはごみを見るかのような目で見た。

男は剣を振り上げる。リーゼルトはけとめたが、吹き飛ばされた。壁に打ち付けられ、リーゼルトはどうやら足が折れたようで、立ち上がれない。

サテラは全魔力で迎え撃つが、男にけとめられる。男は腕が折れたようだが瞬時に再生をしてサテラを地面にたたきつける。

男がサテラに剣を振り下ろすが、藍とレスナにけとめられ、後ろからサランとエアンが狙撃をする。ユリウスが上から槍を突く―――。

しかし、全てが男の魔力の盾に封じられ、盾から起こった風に全員が吹き飛ばされる。

「まだまだだぁああああ全員ぶっ殺してやらぁああああっ!!」

「アーナー、指示を」

『ゆっくりと盾にあたちがをあけますッ! そのに全魔力を打ってください!』

は闇魔と対抗でき、修復させることができない。彩はアーナーに言われた通り空いたにすべての魔力を注する。

男が雄びを上げたと思えば、だらだらと出する腕に構わず彩に剣を刺した。

しかし彩が全力を使って避け、その剣はただわき腹を掠めただけになった。

「うがぁあアアアアアアアアアアッ!!」

男は後ろに居た付嬢サテラの髪を暴に摑み、地面にたたきつけた。

同時にその後ろにいる國王にも手をばそうと―――

「お前には、できねぇっ!!」

リーゼルトの目は、黃金に輝いていた。

その手からは黃金の盾が握られており、驚くスピードで國王の前に立ちはだかった。

怒りに燃える彼の瞳は、確かに―――男をターゲットとしてしか見ていなかった。

リーゼルトのきは男の目に留まらなかった――――――。

《ギフト:スキルピース『防』を取得しました》

賢者サテラから聞いた話だと、二つ目のピースを取得したら平均全てが『名人』ランクになる。つまりはこの世界の賢者をも超え大賢者に及ぶ者となる。

今のリーゼルトは藍すらも超えている。

手から焔を絶えず生じさせたリーゼルトが男の脇腹を通り過ぎる。

聖火。

これで傷つけられたら天使であるとしても修復は不可能である。パカリと男の脇腹がえぐれ、追撃したルカの剣が深く腹部に通される。

ルカの剣には魔力が通されており、おそらくこれを注するためにここまで補助をすることができなかったのだろう。

「まだまだ……だぞ……ボスは……貴様らを離さない……ごふっ」

そう言ってを吐いて男は気絶した。

―――ギフトの覚醒を見られた。

しかしルカは何かを尋ねるでもなく、男を引きずって部屋から出ていった。リーゼルトとすれ違った時、國王を頼むと小聲で託す。

「國王様、失禮ながら手をけ取って下さい」

「く、鎖は……」

「『解』」

「……! まさかこんな簡単に抜けてしまうとは―――」

鎖をいとも簡単に引きちぎると、國王に手を差しべ、國王はその手を取る。リーゼルトは敬語がなっていないので冷汗をかいていたのだが、どうやら國王様は心が広いお方だったらしい。

ちなみに、ギフトピースが『防』だったとしても、防すべてのスキルと共に副産のスキルもたくさんもらう。

すべて扱えているのは、ボスが何かを組み込んだからなのだろうか……。

「これから、國王様が捕まってしまったことやこの組織の存在について、々表明すると思います。心構えは良いですか?」

「ああ……そうだ、君の友達達はどうする。今から救助を依頼しても時間がかかるぞ」

「ご心配なく」

「ルカ!」

また戻ってきたのだろう、ルカの後ろには國王の側近たち、およびギルド職員が十何人ほど來ていた。リーゼルトはルカのてきぱきした働きに心していた。

さすが、ギルドマスターという立場はだてではないのだろう。

ギルド職員九人がサテラたちをギルド部まで擔架で運ぶ。國王の側近たちは國王を擔いで部屋から出ていく。

どちらにしろリーゼルトにとってこれからは忙しくなる予がした。

「ルカ、これから俺は結構忙しくなるか?」

「うん。國王様を救った英雄、それか國王様を窮地にれてしまった兇悪犯、どちらか二つの評価に傾く。まあ、英雄になる可能の方が高いよ。安心して、ぼくが兇悪犯になる可能の方が高いから、君の盾になる」

「いやいやいやいやそれもそれでダメだろ!?」

ギルドマスターが兇悪犯など、全世界のギルドの面汚しだ。ルカも冗談で言っているのだろうか、にこにこしながら言っている。

ぱたん、と扉が閉まった。

戦のあとの靜けさが、真っ暗な部屋の中に響いて行った―――。

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