《俺にエンジョイもチートも全否定!~仕方ない、最弱で最強の俺が行ってやろう~》第十三回 ギルドのイジメ
竜舞姫、アヤ・キサラギ。銀皇子、リーゼルト・ルース。
不敗の賢者システム、サテラ。銀騎士アーステン・レスナ。
姫の眷屬、ユリウス。名君の帝王、フェルト・ディテール。
―――Cランククラン、『巡回の運命の果てライフグレード・ロード』
そのクランの存在はすぐに王都に知れ渡り、耳が早いギルドマスターのルカが早急に本部を建てる事を勧めてきた。
そのため潰れた孤児院であり、今は誰にも使われていない廃ビルを本部にした。看板には大きく『巡回の運命の果てライフグレード・ロード』と書かれている。
リーゼルトと彩が倒した小さな組織のボスの存在は、恐らく機組織のあいつボスによって居た報すら消されているのだろう。
彼らを自分達だけは忘れないように、と組織の題名をもじったのだが、誰一人として気付くことは無かったのだ。
そんな今や王都の有名クランであり、クランの補修や事務が安定すれば會しようと目論む者が増えるこの場所だが、一応クラン長であるリーゼルトにある報がった。
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もちろん、その報を持ってきたのは圧倒的機の量を持つ國王本人である。
「ギルドで、いじめ……? ルカの管理はどうなってるんだ?」
「商業ギルドの仕業だろう。リク君という者がいじめられていると報屋からの報告があった。私らのクランにうか」
「んー、そいつのランクにもよるな。俺達はCランクだ。《國王様のお力》でCランククランにまで上げられたが、やっぱ未者もれられないし強すぎる奴もれれねぇな」
リクという者が本當に強いのであれば、戦闘に不向きな商業ギルドなどにいじめられることなどないだろう。
となれば……とリーゼルトはやや苦い顔をする。
ちなみに事務擔當はサテラであり、報収集はレスナとフェルト。集めた報はサテラを通し、リーゼルトに伝えられるのだが……。
フェルト直々に來るほど大きな案件だ、ただのいじめではないだろう。
ちなみにクラン結から一か月がたっている。全員がもうすぐBランクに上がれるだろうかという時期だ。
クランのランクが上がるのは、クランメンバー五人以上での遠征の達率で決まる。もう何度も鉱山地や魔出現地で遠征を経験しているため、クラン自のランクももうすぐBというところ。
國王であるフェルトも全員がため口になれるくらい仲良くなっていて、クラン全の士気が上がりまくっているところなのだ。
そうなれば足手まといとなる未者など、聞こえは悪いがれられない。これは事実である。
クランリーダーとして、リーゼルトはしずつだが責任をじ始めている。出來上がったばかりの天才クランには、多くの者が嫉妬と稱賛を送る。
様々な思が絡み合う外の世界からクランを守るべき《決定的な》使命を持つのは、リーダーであり決定権を持つリーゼルトのみだ。
ゆえに、簡単に決斷はできない。ゆえに、迷いに迷ってしまう。
絡み合う単純な正義と、クランを守りたいと思う間違ってはいない保守的な考え。
「そのリクという者は、私が聞く限り有な新人だという。ランクはまだDだが、クランともなれば育も視野にれるべきではないか?」
「だけどなぁ、人員募集はまだ始まってねぇんだ。待ってる奴らには必ず、不満の聲を上げる奴がいる。知ってんだよ、こう言うの狙ってる奴が多いくらい。
お前も知ってるだろう、王様なんだから、そう言う思は俺よりわかるだろ」
「間違ってはいない意見だが……」
「リクってのをどうするかは保留にしといて、そいつはどんないじめをけてるんだ?」
「それが……商業ギルドがするはずのない子供っぽいイジメをされているんだ。それも、地味に心ともに傷つくようなじわじわとしたな」
「ふむ。ゲス技ってのか……こりゃあ事件解決してからこいつをクランにれるって選択じゃねぇかなあ」
商業ギルドがいているのなら、今そのリクをクランにれれば、自分達が敵対されていると一発で気づくだろう。
商業ギルドと名付けられているくらいなのだから、その名の通り地獄耳なのだろう。武力には向いていないが頭のいい軍師タイプがわんさかいると思われる。
そんな中に、軍師タイプが致命的にないリーゼルト一同のクランがを投じるとなると、相當な下準備が必要なのは目に見えている。
善意でリクをクランにれると言って、おいそれとれられるわけではない。
それはもちろんフェルトも分かっていたようで、こくりと深くうなずいている。
「ではどうするか? 君はこれを見過ごさない。そうだろう?」
「おいおい、言ってくれるじゃねえか」
「不良だと自稱しているらしいが、は優しい者だと知っているぞ、私は」
「準人ぉーっ! 今ギルド行ったらなんか……って國王さん、面會中じゃないか」
「おっす彩。今そういう話してたんだよ。サテラ達呼んできてくれないか」
「ラジャーだ! 行くぞユリウス、本日第一任務だ。ビビッて依頼をけられずに逃げ帰ったことを悔しく思ったわけじゃないけどな」
「アヤよ、いわゆるツンデレだと思うのだ……」
「あぁん何か言ったか駄竜。行くぞ、待ってろ準人ぉ――――っ!」
ユリウスを抱えて、恐らくリクがいじめられる場面を見たのだろう彩は涙目で事務室の扉を勢いよく開けた。
そしてフェルトとリーゼルトを互に見て狀況を理解し、新たに任務を與えられた彼はマッハの速度で廊下をかけていく。
そして勢い余って転ぶ音が、廊下に重く響き渡ったのだった……。
「元気な娘こだな」
「まあな。格は昔と隨分変わったんだぜ。昔は意味不明な事ばっかり口走りやがってたからな……それで、的にどうする」
「的には彼らが來ないと決まらないが、対抗はしない方が良いと思う」
「だよな。よし、マッハで出てった彩を期待してちったぁ待つか。あ、そうそう、良い茶手にいれたから一緒に飲まね?」
「む、ならば是非ご一緒させてもらうよ。久々にお茶を飲む気がするからな」
サテラ達が來るのを待つ間、リーゼルトとフェルトは話の雰囲気に合わないくらいほのぼのとして茶の話を進めていくのだった。
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