《最強転生者の異世界無雙》休養日1

ノールバカとの決闘の翌日、俺は今日を休養日と決めて、いつもよりも遅い時間に起きた。休養日には徹底的に休む、というのが俺の方針だから今日は鍛錬もしない。取り敢えず朝食を食べようと、下の食堂に向かう。すると俺を出迎えたのは若干落ち込んだ様子のマリーちゃんだった。

マリーちゃんはこちらに気づくとパーッと顔を輝かせて小走りで近寄ってきた。

「ユーマさん!來てくれましたか!今日は遅かったですね!」

「ああ、うん。今日は休養日にするつもりだからね。いつもよりも遅く目覚めたんだよ」

俺を見て顔を輝かせたと言ってもこれは、主人に対する犬の反応のような、あるいは、面倒を見てくれているお兄さんに対する年の離れた妹のような、そんな反応だ。俺はマリーちゃんを妹のように思っているから、その反応は結構嬉しいものだ。そんな風に考えていると、マリーちゃんが話しかけて來た。

「そうだったんですか!てっきり昨日決闘があったらしいんでそれにユーマさんが巻き込まれたのかと思ってました!」

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 「ん、それはあってるよ。巻き込まれたと言っても俺が當事者なんだけどね」

「ええ⁉︎大丈夫だったんですか?ユーマさんが決闘なんてなんというか意外ですね」

「ああ、この通り無傷だよ。俺は強いからね…それに、変な奴からよくわからない理屈で喧嘩を売られたから斷ったらさらにうるさくなったから最終的に喧嘩を買うことになったんだ」

「それは大変でしたねー」

いつの間にか屆いていた朝食をいつも通りマリーちゃんと食べながら話をする。やはりマリーちゃんの會話はすごい。々なことに対して様々に表を変化させるマリーちゃんを見ながら、朝食を食べ終え、抑えていた衝を解放し、マリーちゃんの頭に手をばす。そして…でまくる。

突然の行に驚いたのかマリーちゃんはこちらを恥ずかしそうに目を向けている。

「と、突然どうしたんですか?」

「んー、いや、マリーちゃんがもきゅもきゅと朝食を食べる姿が小のようで可らしかったからつい、ね」

「そ、そうですか」

それにしてもし意外かもしれない。マリーちゃんの年代で親の仕事の手伝いをしている子は大子供扱いされるのを嫌がる人が多いのにマリーちゃんはあまり気にしてないようだ。

そんなことを考えながら俺はそろそろ町の散策でもするかと思い、でていた手を離し、立ち上がりながらマリーちゃんに話しかける。

「じゃあマリーちゃん、俺はそろそろ町の散策にでも行ってくるよ」

「もう行っちゃうんですか?…わかりました。なら今日は夕飯も一緒に食べましょう!」

「うん、いいよ」

そうはいうがいつもマリーちゃんと食べているので、これはつまりいつも通り、ということだな。

マリーちゃんと別れて町の散策にやって來たはいいが、特にやることがない。というか、ゆっくり町を回るのなんて今日が初めてだから何があるのかさえわからない。そう思いつつ、町をブラブラしていると、聲が聞こえて來た。

「キャー、その男、泥棒です!誰か捕まえてください」

若干の棒読みが気になったが、聲のした方に振り向くと、覆面をした筋骨隆々の男が大剣を振り回しながらこちらに向かって來た…それにしても世界が変われば泥棒を捕まえる危険が一気に増すな。

そんな風に思考を逸らしていると、気づけば、(というか気づいてはいたが俺にとっては・・・・・・そこまで危険じゃないから、無視していた)男がすぐそこまで迫って來ていた。そして、俺向かって大剣を振り下ろして來た。おいおい、こんなところで殺傷沙汰を起こすつもりかよと、男のアホさに冷や汗を流していると、さっきんでいたがこちらに向かって來ようとしていたのでそちらに視線を向けた。こいつは俺の獲だ、手を出すなよ、雑魚。という気持ちを込めて。するとはビクッと震えて止まったので、そちらは放置して男の大剣を処理することにした。

とはいえ、この程度なら考えるまでもなく、大剣に向かって軽く手刀を振ると、ストン、と大剣の刃が落ちた。斷面は綺麗に切られたような斷面になっていて、俺も満足する出來だった。

その後戸っている男を普通に腹パンで気絶させると、さっきのが近寄って來た。

「ありがとう」

「ん?ああ、さっきのやつか。まあいいが、俺以外だと結構危なかったぞ。わざと取り逃がすような真似は二度とするな」

「ん、分かった。もう絶対にしない」

分かりがいいじゃないか」

「さっきの笑顔…怖かった」

青ざめた顔で震えているを眺めていると、さっきの若干殺気を込めた視線を笑顔で向けていたのか、それはし怖いかもな、と思った。

「ああ、あの時俺は笑顔だったのか。それは悪いことしたな」

「ううん、元はと言えば私が悪い。それにあの時にあなたとの差を思い知った」

「あの一瞬で分かったのか?まあ、そこそこの実力はあるようだから分かってもおかしくはないか」

「うん。これでも私はSランク冒険者。実力差を図ることぐらいはできる」

ああ、こいつでSランク冒険者か。そこそこ強いようだな、Sランク冒険者は。

「お前でSランク冒険者の中でどれくらいの実力なんだ?」

「ん、上の下くらい」

ほうほう、こいつで上の下か。

そんな考えを張り巡らせていると、はこちらを睨むように視線を向けてくる。

「どうしたんだ?」

「お前とか言ってばかり。名前で呼んで」

「そうは言われても俺はお前の名前を知らないからな」

「またお前って言った…まあいい、自己紹介する」

そしてし誇らしげに自ら名を名乗る。

「私はSランク冒険者『閃』アリーシャ」

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