《絶対守護者の學園生活記》決闘と見送り

「どうしてこうなった」

俺はこの國の第二王であるアリスと向かい合い、木剣を構えていた。なんでも、俺が素振りをしていたところを見ていたらしく、戦ってみたいと思ったからとのこと。どうやら第二王は戦闘民族のようだ。

「ルールは簡単だ。私は三分間お前の攻撃を避け続ける。だからお前は攻めてこい。の子だからとか、木剣を使っているからだ、などのことは気にしなくていい。」

そこで右手の人差し指をピン! と立てニヤリと笑いながら言う。

「私は強いからな」

………うわー。すごいドヤ顔。

「なんかあっても俺、捕まったりしないよな?」

「大丈夫だ。よし、始めるぞ。では……」

やるからには全力だ。軽く深呼吸をして開始の合図を待つ。

「……始め!」

開始の合図の直後、俺は全力でアリスに向かって走り出し、水平に払う剣を振る。だが、これをアリスはし後ろに下がることで避けた。

最小限のきで避けたのだ。

(今のき……。完全に剣のきが見えてる……?)

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だとしても、俺が出來るのは相手に詰め寄り、素早く剣を振る事しか出來ない。最近、訓練を始めたばかりなので駆け引きや小細工などのことは一切出來ないからだ。

だが、どれだけ振っても全てが避けられる。 最小限、後ろに下がる、を橫に逸らす、しゃがむ。それだけで俺の攻撃が避けられる。

そして、ある程度それが続いたが――

「………よし! 三分経ったな! 私の勝ちだ!」

俺の負けだった。

きを見たじ、強くなれそうな見込みはあったが、の私に負けるようではまだまだだな。男は強くなければいけん」

俺はまだまだ皆を守れるような力はないのかもしれない。だが、だからといって諦めるわけがない。もっと頑張って、もっと強くなろう。

「ふむ、その決意に満ちた眼、好が持てるな」

そうだ、この際々聞いておこう。

「なあアリス。なんでお前はそんなに強いんだ? 普通、王ってのは守ってもらう側だと思うんだが」

本來守ってもらう側の人がここまで凄いんだ。何かしら訣などがあるのだろう。俺は期待のまなざしでアリスを見ていた。

そしてアリスの口が開かれる。

「それはな……」

それは……?

「お姉様を、悪い蟲から守るためだ!!」

………え?

その後、アリスは続けて言った。

纏めると、アリスの姉である第一王が様々な貴族の方から求婚されており、それを追い払うためらしい。なんでも、現在の王は、娘には筋や分などは気にすることなく、自分がこの人と結婚したいと思った人と結ばれてほしいというスタンスだからだという。王様めっちゃいいお父さんやんけ。

それは王族としてはどうなのかという聲もあがっているらしいが、俺は応援するぞ、王様。

しかし………

「アリスってもしかして……シスコン?」

「そうだ!」

うわー………。

「む? 何を引いているんだ。レオンだってシスコンだろう?」

「おいおいおいおい何を言ってるんだ」

急に何を言い出すんだこいつは。

「レオンっていう男は大のシスコンだって聞いたぞ。カレンから」

待て待て待て。え? カレン?

「カレンと知り合いなのか?」

「うむ、実はな……」

どうやらアリスは父である王様と護衛の騎士を連れて、國の視察をしていたらしい。こんなところまで來るなんて、王様への好度があがる一方だ。

そんなわけで昨日、この村に到著し、1日過ごすこととなったそうだ。俺知らなかったんだけど………。そして村の中を歩いて回っていたところ、子供達と遊んでいるカレンとリリィを発見し、聲をかけ、遊ぶのに混ぜてもらったらしい。

「その時にな、子供達が言っていたんだ。レオン兄ちゃんとも遊びたーいとな。そいつは子供達に好かれるようないいやつなんだろうなって思って気になってな、カレンに聞いてみたんだ。そして教えられたのがレオンは大のシスコンということだった」

なるほどなるほど。あいつは後でげんこつの刑だ。

それにしても、レオン兄ちゃんとも遊びたーい、か……。最近は訓練ばかりで遊んであげられなかったしな。

カレンとリリィに任せっきりだったし、たまには2人にはゆっくり休んでもらって、俺が遊んでやろう。

………ちょっと待てよ?いいこと思いついた。

「なあアリス。頼みがあるんだが……」

※※※

アリスに頼みを聞いてもらい承諾を得た俺は、家に帰り、朝飯を食べた後、父と母にも確認を取り承諾を得たため、リリィを連れて村の口へと向かった。アリスの見送りのためだ。実はそれだけではないのだが。

そこには立派な馬車とそれを守るように立つ數人の護衛と思われる騎士、さらにアリスとカレンもいた。

王様は既に馬車に乗ってしまっているようだ。

俺はアリスに軽く目配せした後、カレンとリリィに告げる。

「お前ら、前に王都に行ってみたいって言ってたよな? だからさ、アリスに連れて行ってもらえ」

そう、二人は前に、一度でいいから王都に行ってみたいなどと話していたのだ。の子として、やっぱり華やかな場所というのは気になるのであろう。

服や泊まる場所など、必要なものは全てこちらがけ持つ。帰りももちろん馬車と護衛を用意するし、どうだ?」

それを聞いてポカーンと口を開けて固まる2人。いきなりそんなこと言われればそうなるわな。

「ちょっ、そんなこと急に言われても……。そもそもお母さんとお父さんにも何も言ってないし。」

「………私も」

「実はな、既に伝えてあるんだ。了承もしてくれたし、いわゆる親公認のサプライズだな。子供達も俺と遊びたいって言ってるみたいだし、二人には相手を任せっぱなしで申し訳なかったしな。だから子供達は俺に任せて楽しんできてほしい」

俺の言葉を聞いて驚く二人。しばらく考え込むような素振りを見せるが、どうやら考えがまとまったようだ。

「分かったわよ。行ってくるわ」

「………お土産、買ってくる」

どうやら行くことにしたみたいだ。よかった。

「そんじゃ、アリス。2二人のことは頼んだぞ。」

「分かった。またな、レオン」

「ああ。」

そして三人は馬車に乗り込んだ。

しばらくして、馬車はゆっくりと進み始めた。

「楽しんでこいよー!」

俺は手を振って、三人を送り出した。

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