《絶対守護者の學園生活記》絶
俺は11歳の誕生日を迎えた。いつもなら家でゆっくりしているのだが、なぜか俺は森で狩りをしていた。
これは父が原因だ。てか、大の出來事の本にはいつも父が関わっているような気がする。
狩りをしていた理由は、父が
「やっべー! 誕生日會の料理用の足りねー! レオン、今から森で取ってこい!」
と、わざとらしく言ったからだ。ただ、手に前世でよく見かけた、紙をっかの形にし、何個も組み合わせていく裝飾品を持っていた。それ、こっちの世界にもあるのね……。
ともかく、そこで俺は理解した。俺を外に追い出してる間に、家に裝飾を施し、帰ってきた俺を驚かすつもりなんだな、と。勿論、気付いてないフリをして出てきたわけだが。
「分かりやすすぎるんだよなぁ、あの馬鹿親父」
俺が生まれてから、何も変わることのない家庭がそこにはあった。
父が騒ぎ、母がそれに悪乗りし、俺が呆れながらも會話に加わり、妹はそれを楽しそうにし笑みを浮かべて見ている。
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俺は、これからも変わることのないであろう、この溫かい空間が好きだった。
「皆のためにも頑張りますか」
俺は気合をれて、狩りを再開した。
その空間の終わりが、すぐそこまで迫っているとも知らずに――
※※※
「そろそろ帰るか」
俺は例の湖の近くで寢っ転がり、目を閉じて休んでいた。
狩り自はすぐ終わったのだが、父たちの準備がどれくらいかかるか分からなかったので、し時間を潰していたってわけだ。ここは風が気持ちよくて休むのには最適だからな。
俺は起き上がり、グッとをばし、さあ帰ろうと思った時、強い風が吹いた。
そして、その風に、し違和を覚えた。
(なにか変な臭いが……。これは………木が燃えてる時の臭いか?)
俺は風が吹いてきた方角を、目を凝らして見た。そして、小さくだが、煙が上がっているのが見えた。
(この方角にあるのは………村だ!)
俺は急いで走り出した。村に近づいていくにつれ、煙が大きくなっていくことに焦り、たまに転びそうになるが、それでも足は止めずに走る。
そして、村に著いた時、俺が見たものは――
燃え上がる家、を流しながら倒れ果てている人達――
地獄のような景が広がっていた。
「そんな……」
俺は言葉を失った。そして、気付いてしまった。倒れている人達の中に、子供達がいることを。俺は急いで向かい、脈を、心音を確める。
だが、分かったのは一つの事実。もう、亡くなってしまっているということ。
(なんで……どうしてっ……)
俺が守ると決めたはずなのに。
見守っていくと決めたはずなのに。
「あぁ……。あああああああぁぁぁああぁぁああああああああああああ!!!!!」
んだ。
ただ、この現実を否定するかのように。
しかし、それも、誰かが奧にある家から出てきたことで一旦終わる。
出てきたのは男だった。男は両肩に人をかついでおり、辺りを見回し、俺と目が合った。
「おいおい、まだ生きてるやつがいたのかよ」
男は呆れるような顔をし、言った。そして、男は擔いでいた人を地面に投げ捨てる。そこで、気付いてしまった。
「父さん! 母さん!」
擔がれていたのは俺の両親だった。
「んお? 父さん、母さんってことは、お前はレオンか?」
「お前……。どうして俺の名を」
俺が問いかけると、男はニヤリ顔を歪ませ答える。
「こいつらが言ってたからだ。レオン、ごめん……ってな。その言葉は屆くはずないのにな。なんてったって――」
やめろ。
聞きたくない。
だが、無にも、言葉は紡がれる。
「――俺が、殺しちまったからな」
目の前が真っ暗になる。
薄々は自分でも気付いていた。地面に倒れている両親は、ピクリともいていなかったから。それでも、まだ助かるのではないかと、思っていた。いや、思わないと、どうにかなりそうだったから。
「なんで……。なんで! こんなことを!」
俺は、自分の気持ちをしでも抑えるために、んで問いかける。
男は相変わらず、ニヤリと顔を歪ませたまま答えた。
「復讐だよ、復讐。俺は2年前くらいにこの村の近に拠點を作った盜賊の頭をやっててな? だが、この村出だっていう冒険者に捕まっちまってよ。王都で牢にれられて死刑を待っている狀況だったんだ。だがな、とある貴族様が俺の元を訪れてこう言ってくれたんだ。私が贔屓にしていた裏の奴隷商が潰されてしまった。おかげで私の好きないが手にらん。そこで、お前を自由にさせてやる代わりに、を攫ってきてくれないかってな。俺は喜んで引きけたさ。自由になれる上に、俺を捕まえやがった冒険者の故郷であるこの村を潰すことで復讐もできる。いはここにいることは分かってたしな。1人だけ捕まえて王都に送っといてやったさ。名前は確かユウだったか? いやぁ、楽しいったらありゃしない。」
この村が?
大事な人達が?
そんなしょうもない理由で?
………許せない。
許せない許せない許せない!!
俺は腰に掛けてた木剣を構え、男に突撃した。だが、怒りにを任せた単調な攻撃が當たるはずもなく、避けられ、足を引っかけられ前のめりに転んでしまう。
そしてそのまま頭を踏まれる。
「弱いなぁ、弱い。小僧、知ってるか? この世は弱強食。力があるものこそが正義なんだ。こんな結果になっちまってるのもお前が弱いからなんだよ。まあいい。そろそろ死ね」
男が腰に下げていた剣を俺に刺そうとする。
俺は死ぬのか。
俺が弱いが故に。
様々な考えが頭を巡る。
俺はどこかで、この世界は夢なのではないかとじていた。
魔法の存在。冒険者の存在。盜賊の存在。
どれもが前世ではありえないような存在で。
そして俺はそんな世界の主人公で。
だが、違う。
今、じている痛みも、の臭いも、煙の臭いも。
全てが現実。
だからこそ。
俺は、俺自が憎い。
守るなどと大層なことも思っていながら何も出來ず、大事なものを失ってしまった。
力が。
俺にもっと力があれば。
俺は、力が――
誰でも守ることのできるような、圧倒的な力がしい!
そして、剣が俺に突き刺さろうとする、その瞬間。
無意識のに、俺は呟いていた。
「消えろ」
その瞬間、男も、死も、家も、全てが消えた。まるでそこには元から何もなかったと言わんばかりに。
殘っているのは荒野だけだった。
「な…何が起こって……」
直後、急な力に襲われ、意識が薄れていく。意識が完全に途切れる瞬間、俺は誰かが近くに立っているのが分かった。
(だ……誰……)
しかし、誰なのかは確認することが出來なかった。
そして俺は意識を失った。
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