《絶対守護者の學園生活記》目覚めと力

「……どこだ、ここ」

俺はどうやら意識を失っていたらしく、知らない場所で目を覚ました。木造の小屋のようだが、掃除をしっかりしているのか、清潔がある。

(なんで俺は気を失ってたんだ……?)

なぜか思い出せない。何か大変なことがあった気が……。

そうやって必死に思い出そうと右手を開いたり閉じたりしながら考えていると、ガチャと扉の開く音がした。

扉の方を見るとそこには二人の男がいた。夫婦だろうか。

の方は、輝くような金の髪を途中で纏め、肩から前へと垂れさせており、目はトパーズを思わせるようであり、素直にしいとじた。しかし、顔のパーツが整っているにも関わらず、無表である。の表現が苦手なんだろうか。

男の方は、服の上からでも分かるぐらいに引き締まったをしており、顔はイケメンである。そう、イケメンである。

前世では、全くモテなかった影響か、イケメンは許さん、といったことをいつもなら思うはずが、それよりも気になることがあったため、思うことは無かった。

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それは男が黒髪黒目だったからだ。

俺が2人を観察していると、男が口を開いた。

「お前が何を考えてるか大分かるが、とりあえずは元気になってよかったと言っておこう。俺の名前はダルク=ガーディアだ。橫にいるのは妻のユフィだ」

「……どうも」

ダルクに続き、ユフィも挨拶をする。

「………レオンだ」

俺も挨拶をし、それを聞いたダルクはうんうんと頷いている。そしてダルクは俺を見據え、話しかけてくる。

「レオン。々と話さなきゃいけないことがあるが、まず最初に言っておく。今、お前の記憶はしだけだが封印されている。」

「!」

封印?もしかして俺が意識を失う前の記憶だろうか。

「そして、レオン。今からその封印を解く。辛いかもしれないがしの間だけ我慢してくれ」

その言葉の直後、ユフィが俺の頭の上に自の手を重ねてきた。そして、小さく何かを呟くと――

「あ……ああああ………あああああぁぁぁぁぁぁああああ!!!」

俺の頭の中に様々な景が浮かび始めた。

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燃える家々。人々の死。家族の謝罪の言葉。盜賊の男。そして、荒野と化した、元は村があった場所。

俺は再び目の前が真っ暗になる。しかし、すぐに俺は落ち著きを取り戻した。

「リラックスの魔法をかけた。落ち著いたか?」

俺は頷いた。

「よし。じゃあ詳しいことを説明するぞ。まず、記憶が封印されていたことだが、それはユフィにとある方法でやってもらった。起きた時に思い出して絶のあまり自殺されたりしたら困るからな。そしてさっき解除させた。しっかり思い出したか?」

俺はまた頷く。

「そう、そして殺される前にお前はこう思わなかったか? 力がしい、と」

俺は驚きのあまり目を見開く。

事件のことを知っているだけでも驚いたが、俺が考えていたことすらも知っているからだ。

「ああ、なんで知っているかってか? なぜなら俺は転生者だからだ」

俺はダルクが急に言い出したことにさっき以上に驚く。

だが、直的に聞かなければと悟り、ダルクの次の言葉を待つ。

「多分、お前も転生者だろ? 俺は《察知の加護》を貰って転生した。世界を救ってくれって言われてな。お前は?」

「……俺は《想いの加護》を貰った。世界を救ってと言われた」

俺はいつのまにか落ち著いて話せるようになっていた。

「《想いの加護》か……。いいか? 加護ってのは前世での行いなどを參考によって付けられた力だ。というわけでしだけ昔話をしよう」

急に昔話をしようと言い出すダルク。

だが俺は、聞き逃さないように集中した。

ダルクの昔話やらの容を纏めてみる。それは前世でのことだった。

ダルクの父は職を失ったことにより自暴自棄になり、母に暴力を振るうようになった。いわゆるDVだ。だが母は息子であるダルクに気付かせまいと、ダルクの前では明るく振舞っていたらしい。しかしそれも終わりが訪れた。母は心を閉ざし、父は家を出て行ってしまった。そこでダルクはやっと事に気付いたらしい。ダルクは母のためにも、必死に働き、金を稼ぐようになったという。だが、ダルクは母の世話と仕事により疲労困憊となっており、仕事先から帰る途中で、接近している車に気付かず轢かれて亡くなってしまったとのこと。

「そして俺は思ったんだ。《察知の加護》は、もっと早く母のことに気付けていれば幸せな生活をおくれていたかもしれない。そんな思いが関係しているんじゃないかってな。実際に、この加護の力は、味方の危機をいち早く察知する。相手の思考が読み取れるってもんだ」

なるほど、と思った。

「てわけで、お前の昔話も聞かせてみろ。加護の力について何か分かるかもな」

俺は話した。

これといって何もない生活を過ごしていたが、子供達の世話をするということに楽しさを見出し、保育士になった。その日々は充実していたが、ある日、保育園に兇を持った不審者が現れ、驚きのあまり固まってしまい対応が遅れたため、の子を危険にさらしてしまった。そのため自分のを犠牲にしてでも守ろうとし、刺されて死んでしまった。

俺が話し終えると、ダルクさんは納得といった表をしていた。

「なるほどな。なんとなくだが分かった。お前の加護はお前自の強い想いが起因となって発生する力だろう。そもそもおかしいと思ってたんだ。俺が話してる時、最初の方は驚いていたのに、後になってすぐに冷靜になっていた。それもその、対応が遅れてしまっての子を危険にさらしてしまったこと。これが関係している気がする。なにか他にも思い當たることが無かったか?」

そう言われ、考え込む。

そして思い出す。

神と名乗る存在と話していた時も、普通ならありえない狀況だったのに俺は落ち著いていた。転生した時も特に慌てた気がしなかった。ユウちゃんが行方不明になった時も、前世の俺なら冷靜な判斷が出來ずに慌てただろう。

「たしかに……その予想は當たっているかも」

「だろう? んでもう一つだが、それは多分、消失だ」

「消失?」

「ああ。お前を助けた時に見たんだが、辺り一面が荒野になってただろ? あれはお前が村ごと消したからじゃないかと思うんだ。これもお前の加護の力なら、何かしら原因があったはずだ。」

俺は思い當たることがあった。

「多分俺が……不甲斐ない俺を悔やんで力がしいと思ったからだと」

「それだな。それに反応して力が発した、と」

消失の力……。確かに強力な力だ。

「だが、そんな力にも欠點があってな? それは代償が必要だってことだ」

「代償?」

「強力な力が無償で使えたら世界のバランスが崩れちまう。それを防ぐためのものだろうな。」

「えっと……ダルクさんのはどんな代償が?」

「壽命がむ」

「え……?」

「まあ妥當だろ。味方の危機を察知できるってことは、それだけ味方の命を守りやすくなれるってことだし、相手の思考を読み取れるってことは、戦闘でも渉事でも駆け引きでも負けなしになれるってことだぞ?」

確かにその通りだ。

味方の生存確率が上がるし、どんなことでもほぼ全ての生きは考えたうえで行する。その行がなんなのか分かってしまえばあとは対応した行をすればいいだけである。一種の未來予知だ。しかし、それに追いつける能力があればなのだが。この人は加護の力抜きにしても相當強いのであろう。

「そしてお前の代償だが……おそらく、1回使うと意識を失ってしまう、そして消せる範囲も限界がある」

鋭い観點だと思った。

確かに、その力を使った直後に、急なに襲われ意識を失った。

範囲においても、もし制限が無かったら、大陸ごと指定して消してしまうこともできてしまうし、それは世界のバランスを崩してしまうだろう。とりあえず、消せる範囲として可能なのは、村1つ分といったところか。

「よっし! それじゃ1番大事な話をするぞ」

ダルクさんが真剣な顔付きになり、それにつられて俺も真剣な顔付きになる。ユフィさんは無表だ。

そしてダルクさんが衝撃の一言を放つ。

「俺達の養子にならないか?」

………は?

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