《絶対守護者の學園生活記》養子

「………養子? なぜ?」

いきなり養子になってくれと言われても即OKとは、普通は誰もならないだろう。ただ、今まで話してくれたことも踏まえ、きっと何か考えがあるのだろう。

「いやぁ、俺達には子供がいなくてな? しかったんだ」

すごく私的な理由だった。えぇ………。

「まあそんな顔するなって。ちゃんとした理由もあるから」

俺の反応が面白かったのか、楽しそうに喋るダルクさん。

「ガーディアの姓があったほうが、4年後にお前がるであろう學園での生活が楽になるからな」

姓になにかあるのか? てか學園?

「まあ々な説明も含めて、また長話でもするか。まずお前は力を求めてる。いや、求めてた、か」

求めてた………。

俺は大事な人達をや場所を守るための力をしていた。だがそれももう全部無くなってしまった。だからこその過去形。

「だがな、お前は重要なことに気付いていない。分かるか?」

重要なこと?

「お前にとって大事な人はまだ殘っているだろう? カレンとリリィだっけか?」

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「!」

に電撃が走ったかのようにじた。

たしかによく考えてみればそうだ。俺は全てを失ってしまったと思っていたが、カレンとリリィは王都に遊びに行っていて、村にはいなかったはずだ。

それを忘れてたなんて、俺は兄失格だな……。

「その2人は王様に連れていかれたんだろ? ならボーン村が無くなったことが知られれば、王都で暮らせていけるように便宜を図ってくれるはずだ。そして恐らくは王都にある魔法學園に通うことになる。ただそこは貴族とかが平民にやたら絡んできたりしてな? 可い子だったら俺のものになれとか、逆らうやつには武力や権力を行使したりな。その2人だってなにかされるかもしれん。守るためには傍にいたほうがいいだろ? だからお前も魔法學園にれ。」

なるほど……。てか、ラノベとかでもよくある設定だったが、例にれずこの世界の貴族もクソッてわけだ。

だが――

「俺には、守れるような力は、無い」

そう。俺はしだけ剣を學んだだけの、ぶっちゃけほぼ素人と言ってもいい。消去の力はあるが、一回限りの大技で、諸刃の剣ってやつだ。

「だろうな。だから、俺とユフィで鍛えてやる。誰にも負けないぐらいまで、な」

「!」

それは願ってもない話だった。しかし、疑問も殘る。

「なんで、そこまで俺に力を貸そうと?」

俺はあくまでも倒れてたところを助けられただけだ。俺に力を貸すような義理は無いはずだ

「あー。そろそろめんどくさくなってきた。まとめて話すからよく聞いとけ」

あまり長話をするのが好きなのではないのだろうか。頭をガリガリ掻いた後、一気にしゃべり始める。そして、その容はあまりにも衝撃的だった。

ダルクさんはこの世界にしがない貴族の子として生まれたが、黒髪黒目を気味悪がれ、異端扱いされ、捨てられてしまったという。そこに老人が偶然通りかかり拾われた。老人の家に連れていかれると、そこには小さいの子がいた。ユフィさんだ。そしてダルクさんは老人の下でユフィさんと暮らすことになった。ダルクさんが大きくなると、ユフィさんと一緒に老人に鍛えてもらうこととなった。ダルクさんは加護の影響もあったのか、人族最強と言われるまでに強くなり、ユフィさんも魔法においてはダルクさんを超えるぐらいにまで長した。鍛えた老人すげぇ。

「ダルクさんは加護もあるし強くなったのは分かりますが、ユフィさんはなぜそこまで?」

話を聞いていて、ふと気になった事を聞いてみた。そして、またしても衝撃的な事実が分かった。

ユフィさんはエルフ族らしい。エルフは生まれながらにして魔法を扱うために必要な魔力を多く有しており、使える屬も多岐にわたる。だが、ユフィさんは生まれた時點で、エルフの歴戦の猛者どもを軽々と超えるほどの魔力量、何よりも、全屬の魔法に適があったらしい。そう、全屬だ。つまり統屬も含まれる。さらには人の記憶にも干渉できるという忌の力まで持っていた。俺のことをよく知っていたのはこれを使ったからだそうだ。完全なプライバシーの侵害である。それはともかく、本來、その魔法を使えた者たちのを引き継いでいないと使えないはずの統屬を使えるうえに、忌の力を持つユフィさんは異端扱いされ、エルフの象徴である耳を切り落とされてしまった。さらには異端がまた生まれないように呪いをかけられ子供が作れなくされ捨てられたらしい。そして、ダルクさんを拾ったのと同じ老人に拾われたらしい。その老人々凄すぎないか?

「だから、俺達にはお前を鍛えて強くさせられるだけの力はある。そして力を貸してやる理由だが、お前が俺の後継者だからだ」

「後継者?」

「お前、昔に魔族を滅ぼした英雄ってのを知ってるか?」

「一応」

「それが……俺だ」

ふーん……。

……え?

「うさんくさいとは思うだろうがとりあえず聞け。そもそも魔族を滅ぼすきっかけになったのが、魔族が他の種族を滅ぼして世界征服しようとしてな。そして魔族を統べる魔王まで現れた。それを止めるために俺が神によってこの世界に呼ばれたんだとそのとき理解した。神自は無暗にこの世界に干渉できないんだろうな。そして俺はユフィと一緒に戦い、勝った。そして世界は救われた。だがお前がこの世界に呼ばれた。つまりはまた世界が危なくなる事態が起こるっていうことだ。その為にもお前には力を付けてもらわないと困る」

俺は黙って聞き続ける。

「お前はもうあんな慘劇を起こさないためにも、殘った大事な人を守るためにも、力をしてる。そして俺は今後起こるであろう世界の危機に対応するために、お前には力を付けてもらいたいと思ってる。簡単に言えばこんなもんだ」

俺は頷く。

落ち著いて聞けるようになっているのも加護の力なのだろうか。

「よく分かりました。俺はダルクさんを信じます」

「お前いいやつだな。でも敬語はやめろ。俺は義理だがお前の父になるんだし、平民だからな」

「平民? でも姓がありますよね?」

「ああ。これは魔族討伐の際の褒として貴族の位を貰いそうになったんだけどな。そもそも俺はそんなに貴族が好きじゃないから斷った。めんどくさいし。だけど姓だけ貰ったんだ。かっこいいからな。だから姓はあるが平民ってわけだ」

「よくそんなわがままが通りましたね……」

「まあ英雄だからな。他にも々わがまま言ったもんだ。俺を主人公にした語を作ると聞いて、名前や容姿、ユフィの存在は載せないようにしてもらったり、英雄様とお近づきになりたい貴族様がうざくなって、こうやってこっそりユフィと2人で過ごせるように手配してもらったりな」

遠慮ないな……。

「そういえば、ガーディアの姓が學園生活で役に立つっていうのはなぜですか?」

「あそこの學園長が俺達を拾って鍛えてくれた人でよ。俺たちがガーディアの姓を貰ったのを知ってるから々手を貸してくれるはずだ……多分。」

多分て……。

でも大のことは聞けることが出來たな。

「ってことで、とりあえずは俺が戦闘に必要な技……主に近接だな。魔法はユフィに教えてもらうことになる。勝手に話を進めてるが、お前はそれでいいか?」

英雄に鍛えてもらえる。 それは英雄に憧れる人からしたら羨ましいことだろう。だが、それよりも俺は、力をつけれることに関心を抱いていた。誰よりも強くなることで、大事なものを守る。

なら返事は決まっている。

「はい! よろしくお願いします!」

そして俺は、レオン=ガーディアとなった。

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