《絶対守護者の學園生活記》恩返し
出発前夜。
俺は大事な話をするためにダルクさんとユフィさんを呼び出した。
「なんだよ、急に呼び出して」
「実は親父と母さんに大事な話があるんだ」
「………何?」
「俺の力なら……母さんの呪いをなくせる」
「「!!」」
俺の言葉で驚く2人。そりゃ、既に諦めてたであろう呪いの解呪が出來ると言われたら驚くだろう。
俺は前から、世話をしてくれる二人に何かお禮をしたいと思っていた。しかし、金で買えるようなものは、英雄だった親父なら簡単に手にれられるだろうし、手作りで何か渡すといっても、俺にその技は無い。
だからこそ、俺にしか渡せない、あるいは出來ないようなことをしようと思っていた。
そして思いついたのが、ユフィさんにかかっている呪いを俺の消失の力で消すといったものだった。
俺はこの二人の息子ではあるが、は繋がっていない。しかも十一歳の時に養子になったうえ、前世の記憶があるせいで、神年齢は年相応ではない。
それに子育てというよりは、ただ、弟子を育てたといったほうが合っているだろう。
俺が転生したばっかりの赤ん坊の頃に、俺を世話していた母さんは、俺の一挙手一投足を見て、とても嬉しそうにしていた。
きっとこの二人だって子育てというものをやってみたいのではないか。
でも、呪いによって子供が出來ない。だからこそ、無くしてあげたいと思ったのだ。
そんなことが本當に出來るのかは、一人で魔討伐をさせられていた時に、意識を失っても襲われないように周りの安全を考慮したうえ、狀態異常になっている魔を用意し実験。
見事、狀態異常だけを消すことに功した。呪いが狀態異常扱いなら、消せるはずだ。俺はそのことを話し、やらせてくれないかと頼み込んだ。
「お前の気持ちは嬉しいが……駄目だ。確実に出來るわけではないし、失敗したらユフィごと消える可能だってある。流石に許可は出せない」
やはりそうか……。
ここで、今まで黙っていたユフィさんが口を開いた。
「………やって、レオン」
「ユフィ!?」
ユフィさんの言葉に驚きを隠せないダルクさん。俺だって、斷られる可能がかなり高いと思っていた。事実、ダルクさんには斷られたわけだし。
「レオンはが繋がっていないとはいえ養子……つまりは私たちの息子。息子のお願い事を、母として聞いてあげたい……駄目?」
ダルクさんを見つめ、問いかける。
「……だーっ! 分かったよ! 頼んだ、馬鹿息子!」
頭をガリガリっと掻きながらも答えてくれる。
許可は貰えた。いや、俺を、息子として信じてくれた。
ならそれに答えないわけにはいかない。
俺は頷き、ユフィさんと向かい合う。そして目を閉じ集中する。消失範囲の指定をユフィさんの呪いに固定。
「……意識を失ったら頼むぞ、馬鹿親父。………いくぞ」
力を、発。
その直後、俺は意識を失った。
※※※
意識を失った馬鹿息子をけ止めて、近くにあるソファに寢かせる。
そして俺はユフィへと視線を向ける。俺がこっちを向いたことを確認したユフィは、目を閉じ、自に魔法をかけ、に異常が無いかを調べる。
そして、ゆっくりと目を開いた。その目には涙が溜まっていた。
「……なくなってた」
その言葉を聞いた瞬間、俺の目からも涙が溢れてくる。
諦めていたことが、夢が、今、現実になったんだ。
俺は馬鹿息子の方を見る。
ははっ、張のない顔して寢やがって。お前は、今までのお禮でもしようと思って、必死に考えてこれを思いつき、実行した。そして、見事功させた。
そんな馬鹿息子に言ってやる。
「最高の恩返しありがとよ……お前は自慢の馬鹿息子だよ、この野郎!」
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