《絶対守護者の學園生活記》謁見と婚約
お互いが空気に流され、キスをしてしまった。
自分がしたことに気付き、アリスはすぐに離れた。
アリスは顔を真っ赤にして、俯いてしまっており、なんとも言えない空気になっていた。
俺も顔は真っ赤だろうが、このままでは流石にまずいと思ったので、軽口をたたいてごまかそうと思った。
「いやー、俺のファーストキスがアリスととは、嬉しいなー! 生きててよかったー!」
「………私もファーストキスだ、バカ」
やってしまった。
前にアリスに対して不敬な態度をとってしまったことがあったが、本人に許してもらえた。だが今回はまずすぎる。嫁り前のの子。しかも王。付き合ってるわけでもない。
終わった……。皆、ごめんよ……。
「ぷっ……あははははははははは!」
「な、なんだ?」
「いや、すまんすまん。お前と會った時にも同じようなことがあったと思ってな」
「懐かしいな。てかそんなに笑うか?」
「だからすまんと言ってるだろう? ふふふ」
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めちゃくちゃ笑われたんだが。でもさっきまでの空気は緩和されたか?
ていうかアリスの笑顔……
「綺麗だ……」
「なっ……!」
「す、すまん。気に障ったか?」
「い、いや、そういうわけではない! とにかく! さっきのキ、キスのことは気にするな!」
「……本當にいいのか?」
「ああ。………むしろ、お前でよかったというかなんというか……」
「? 最後の方はあまり聞こえなかったが……。んじゃ、これからもよろしくな、アリス」
「ああ、こちらこそよろしく、レオン」
互いに笑顔で握手をわす。とりあえずは一安心だ。
「とりあえずは、王都まで行くか。」
「そうだな。者は私が務めよう」
そして俺は馬車に乗って王都へ出発した。
王都……楽しみだな!
「ああそうだ。仮にもお前は王を助けたんだ。王都に著いたら父上に會ってもらうぞ」
し帰りたくなりました。
※※※
ガルーダ王國、王都アイン。
大陸名も國名もガルーダなのになぜ王都は違うかというと、元はガルーダだったがもっと言いやすくしたいという王様の聲によって変わったらしい。王も王だし、それに付き合う國民も凄いと思う。
人口は1000萬程で、個人的になくじるが、他の町や村の數が多いかららしい。
街並みは、とても華やかさをじさせるものであった。しっかりと舗裝をされた道。通りゆく人々に聲をかける、屋臺を出している人々。家は煉瓦造りであろうか。
とにかく華やかという一言に盡きるという印象だ。
「すげー……これが王都かあ。でも王様と會うんだよなあ。ん? 王都で王と會う? キタコレ」
「降ろされたいか?」
「ごめんなさい」
アリスさん怖い……。
ともかく、やっと王都に著いた。
今は王城に向かっている。勿論馬車に乗ったままだ。王と一緒に歩いてるところなんて見られたら面倒なことになりそうだからだ。
しばらく、馬車に揺られて二十分ぐらい経っただろうか、王城が見えてきた。
左右対稱、まるで蕓品かと見間違うかのようなしさ。そしてかなりの大きさであり、威厳がある。某鼠のテーマパークの城の數倍はありそうだ。元がどれくらいの大きさか忘れたが。
顔パスなのだろうか、止められることもなく城門を通り過ぎ、城へと案される。
「私は父上に事を話してくる。し待っててくれ」
そう言われ、來客用であろう部屋に通される。ぶっちゃけ落ち著かない。高そうなものばっかだ……。
傍から見たら怪しいと思われるくらいにそわそわしていたが、十分ほど経つと、案にきたのであろうメイドに連れられ、大きな扉の前に立つ。恐らく謁見の間の扉であろう。
「陛下、レオン様をお連れしました」
「おう、れれ」
そして中にり歩き出す。こういう時は真ん中で片膝ついてとかそんなんだっけ。やばい分からん。
「あー、別に何もしないでいい。そのまま立ち話でもしようじゃないか」
「はい、分かりました」
助かった……。てか目の前にいるのが王様か。若いな。てかすっごいガタイいいんですけど。何? 王族は鍛えなきゃいけないとかあるの? アリスの強さは伝なのか?
「別に畏まる必要もない。普段通り話せ」
「はい、分かりま……分かった」
「よし、堅苦しいのは嫌いでな。俺の名前はダフィズだ。しかし、アリスが言ってた通り、遠慮がないやつだな」
「はあ……」
俺的には、そうしろと言われたからそうしてるだけなんだが。
「今までのことはアリスからすべて聞いた。アリスを助けてくれたこと、謝をする。それで、レオン。お前には何か褒を與えようと思うんだが、何か希はあるか?」
褒か。実は既に考えてあったりする。
「俺が貴族がらみで何かあった時、便宜を図ってもらうってのは?」
「要するに、貴族とのいざこざに巻き込まれないようにしろと?」
「そうだ」
「おし、承知した」
俺だけならともかく、他の人たちまで巻き込まれるのは勘弁だからな。
それにしてもアリスに聞いていたが、ずいぶんとフレンドリーな王様だな。民に好かれているのも分かる。
「レオン、実は聞きたいことがあるんだが。あ、これは他のやつにはな?」
「? なんだ?」
絶対これが今回の謁見のメインだ。おかしいと思ったんだ。俺と王様以外に誰もいないんだもん。
あれ、なんか嫌な予が……。
「一人の父として聞く。アリスの婚約者になってみないか?」
「………なんで俺なんだ?」
驚きに慣れてしまったのか、それとも加護の影響か、思ったより冷靜に対応できた。慣れるぐらい驚いてきたってのは、なんか々と複雑だな……。
「もうし驚いてくれないとつまらんぞ。いやなに、四年ほど前にお前の村から帰る時にな? アリスがレオンのことをやたら嬉しそうな表で話してくるんだ。今はまだ未だが將來はきっとかなりの猛者になれるだろうとか、子供達に好かれるようなとても優しい心の持ち主だ、あいつは私に対して平等に接してくれる、とかな。貴族の男共を見てきた影響か、あまり男に興味がなかったアリスがあんなにも嬉しそうに男について話すのは初めて見た」
王と繋がりを持つために貴族がでも売ってきたり、あわよくば婚約関係に持っていこうと大変だったのであろう。そこで、そんなしがらみのない平民の俺が現れたからか。気楽に接すれる人がいるというのは嬉しいことだもんな。
「さらにな? さっき帰ってきたアリスから事の顛末は聞いたが、まだ何か隠してるみたいだったんで父の特権、またの名を、い頃の恥ずかしい思い出を武にして聞いてみた。そしたらお前……うちの大事な大事な娘とキス、したんだってなぁ?」
怖い! 怖いですよ王様! 國民には見せられない顔してますよ! てかなに娘を脅迫してるんすか!
「アリスもお前を気にってる。そしてお前は俺の娘のを奪っちまった。男なら責任、取れるよな?」
「え、えーと……」
「まあ今は気にしないでくれていい。あまり話したくは無いが、平民と婚約すると々うるさいやつらがいるんだわ。やろうと思えばゴリ押せると思うんだがな。そこでお願いだ。アリスが十八歳になるまでに、なにかしら武勲なりなんなり立てて、それなりの地位になれ」
この世界の人は十八歳だ。結婚も男同じで十八から。それはしっかりと生活の基盤を作れるようになる、つまりは學園を卒業して就職してからが良いとされているからだ。
「それなりの地位って?」
「お前は貴族を嫌ってる節があるが、それ以外でも々ある。例えば英雄とか……な、レオン=ガーディア」
「なぜ知って、って王から姓を貰ったって言ってたし繋がりはあるか」
「おう、ダルクとは親友だからな」
気が合いそうだもんな……。二人が肩を組んでガハハハ笑ってる姿が簡単に目に浮かぶし。
「とにかく分かった。その件について考えとくよ」
「それでいい。お前は學園にるんだろ? うちの娘二人とも通ってんだわ。仲良くしてやってくれ」
「はいはい。話は終わりか? 今度は俺から質問いいか?」
「カレンちゃんとリリィちゃんについてだろ?」
「ああ、保護してくれたんだろ? 出來れば會いたいんだが」
「それについて、頼みたいことがあるんだが……」
そうして、王様の頼みを聞いた俺は、謁見の間から退出し、學園の寮にるまでの間に利用する宿を見つけ、部屋のベッドで長旅の疲れを癒すために深い眠りについた。
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