《絶対守護者の學園生活記》プロポーズ大事件
俺は一學年の教室が揃う廊下で正座をしていた。
何してんだこいつと思われるだろうが、俺だって好きでこうしてるわけではない。
全ては正座をする俺の前で、腕を組んで仁王立ちしている馴染様のせいだ。殘念ながら平野(何とは言わない)のせいで、腕の上には何も乗ってはいないが。
あのお騒(マルク命名)の後、馴染様ことカレンが1-Bの扉を開け、大聲で「レオン、出てきなさい!」と言って現れたのだ。ドーン! という音とともに。ヤンキー先生の時といい、1-Bの教室の扉は壊される運命なのだろうか。初めて扉に同した瞬間だった。
そして嫌々カレンのもとへ行った俺は、そのまま廊下へと連れ出され、訳も分からず正座をさせられていたのだ。珍しい景のため、かなりの數の野次馬までいる。
「あのー、カレン様? 何か悪いことしましたかね、俺」
「自分のに聞いてごらんなさい」
「……?」
ふと、俺の視線がカレンのへ行く。
「殺されたい?」
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「すいませんでしたっっっっ!!!」
俺は全力で土下座した。カレン怖ぇ……。睨んだだけで心の弱い人なら殺せそうな顔してましたよ今……。
カレンの隣には、いつもの通りの無表をしたリリィが立っている。
そこで、久しぶりにしっかりと二人を見ることが出來た。
カレンは、髪は相変わらずふわっとした癖のあるピンク髪を肩までばし、特徴的なアメジストの目。背は、同年代の平均よりは高く、歳をとったおかげか、しだけ大人の気というものも出てきたのだろうか。
リリィも相変わらずさらっさらの輝くような銀髪を腰までばし、同じく輝くような碧眼。無表なのも相変わらずで、長も150より低そうだ。お人形さんみたいだと言われていた顔は、こちらも歳をとったおかげか、上品さもじれるようになっている。これはお人形さんというよりは神だな。お兄ちゃん、思わず崇めちゃうよ。
そんなことを考えていたからか、思わず口がいてしまった。
「二人とも、綺麗になったな……」
「なっ……」
「!」
目を見開いて驚くカレンとリリィ。二人とも顔が赤いけど大丈夫だろうか。
なぜか固まってしまった二人が元に戻るまで待った。
「と、とにかく! 々答えてもらうわよ!」
そして俺はカレンから、時々リリィから質問攻めにあった。
村で何があったのか。なぜ村は消えたのか。今まで何をしていたのか。
盜賊の頭によって、村の人達は皆殺しにされ、俺は盜賊の頭に襲い掛かったが返り討ちに遭って気を失ってしまい、気付いたら村は消えており、俺は拾われて育てられたこと。
ここまで聞いたカレンとリリィは、涙を流していた。そして、正座をしている俺の頭を、二人は抱きしめてきた。
「レオン……辛かったよね」
「お兄ちゃん……大変だった」
あぁ……。
アリスといい、俺の周りにいるの子はどうしてこんなにも優しいのだろうか。あの時の村の中で、唯一俺だけが生き殘ってしまった。例え、あの時の俺がまだまだ子供だったとしても、俺がどうにかしていれば、村は消えなかったのではないかと責められるのではと思っていた。
「レオンが無事で、本當に良かった……」
「よかった……」
心配をかけてしまった。そりゃ、村が消えてしまった上に、俺が生きているとも連絡を出さずに四年も経ってしまったんだ。だから俺は誓う。
「二人とも、俺がもう一生悲しませない! 絶対だ!」
宣言する。大切な人を悲しませないと。
だが、それを聞いた二人はまたしても固まっていた。もしかして、俺は変なことを言っていたのだろうか。
「あれって、プロポーズみたいだね」
「レオンは気付いてないみたいだけどな。どう考えてもプロポーズだ。二人に同時にプロポーズ……漢おとこだぜ、レオン」
ミーナとマルクが何か言っているが、固まってる二人を戻すのに忙しくて聞き取れなかった。
しばらくして、二人は俺から離れた。元に戻ったようだ。頬がし赤いが。
「ゴホン! と、とにかく! 他にも聞きたいことはあるから答えてもらうわよ!」
そしてまた始まる質問攻め。
寮の部屋番號や何時に起きるのか、彼はいるのかなど、私生活に関わることについて聞かれた。これ意味あるの?
聞かれたことに正直に答えていった。
「次が最後だけど……。學園長に勝ったこと、これがどれほどのことか分かってる?」
「? 何か問題があるのか?」
「大有りよ! 相手は英雄を育てたことで有名な人で、英雄の次に強いのよ!? それに勝ったってだけで、大問題よ!」
「あー、なるほど」
たしかに、それだと俺は下手したら英雄と同レベルの強さの人だということになるのか。この學園は英雄に憧れてる人が大多數を占めているようだし、これから先、めんどくさいことに巻き込まれるかもしれない。でも、王様の後ろ盾があるし大丈夫だろ。
「まぁ、どうにかなるだろ」
「どうにかなるだろって……。」
「それはともかく、これで終わりか?」
「まって、もう一つだけあるわ」
まじか、そろそろ足が痺れてきてやばいんだが。
「私は昔のレオンを知ってる。他の人は天賦の才だとか思うだろうけど、レオンは最初からあんなに強いわけじゃなかった。どうしてそこまで強くなれたの?」
きてしまった。前にもアリスに聞かれたことがあるが、噓を言える雰囲気じゃなかったし、相手がアリスだったから言えた。
しかし、この二人にはまずい。なぜなら、俺が死に狂いの特訓をするようになったことの大きな理由は、大切な人を守るため。つまりはカレンとリリィを守るためだった。これを本人たちの前で言うのは恥ずかしすぎる。「君たちを守るためさ(キリッ」とか絶対無理だ。男の子の複雑な気持ちというかプライドだ。
「ふ、不甲斐ない自分を悔やんだからです」
「ふーん……。まぁいいわ」
疑うような目を向けられたが、どうにか納得していただけたようだ。壽命がむかと思った。
「ともかく! これからは私たちとの時間を増やすこと! 良い!?」
「……命令」
「分かりましたっっ!!」
こうして、俺の學園學初日は過ぎていった。お騒に、廊下での子二人に土下座を披し、プロポーズを行う男。この話は學校中に広まることとなった。
はぁ……。
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