《絶対守護者の學園生活記》IFストーリー 騎士団長と付嬢の新婚生活

「ほーらあなた。さっさと起きる!」

「んぉ……あと五分……」

「だーめ。団長さんが遅刻したら部下に示しがつかないよ?」

「……起きる」

「よろしい」

布団を剝がされ、寒さでこまっていた男だったが、嫁に諭され仕方なく起き上がる。

そして嫁は起きたばかりの男のに軽くれるようにキスをした。

「はいおはよう」

「あぁおはよう、リーフェ」

この甘酸っぱい空気を醸し出しているのは、レオンとリーフェであった。これは毎日のように行われており、日課になりつつあった。

場所は王都の王城近くにある一軒家。そこで新婚ホヤホヤである二人は暮らしていた。

カレンとリリィを守る為に學園へと學したレオンだったが、特に何事も起こることなく卒業を迎えた。

そしてレオンはその実力から特例として國所屬の騎士団の長である騎士団長の職に就いた。

これは國王の計らいであり、レオンなら問題ないだろうという意見あっての特例である。

學園時代に小遣い稼ぎとして冒険者ギルドへと通っていたレオンは、常に自分の付を擔當してくれたリーフェのことが段々と気になるようになり、學園を卒業するとリーフェに告白――ではなくプロポーズを決行。

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そしてリーフェの返事はyes。

こうして二人は見事にゴールインしたのだった。

余談ではあるが、特例として學園卒業後すぐに騎士団長になったレオンと、冒険者ギルドで大人気であったリーフェの夫婦はご近所ではかなりのラブラブ夫婦として知られている。

「ほら顔洗ってきて。ご飯はもう出來てるから」

「あいよー」

リーフェの言葉に気の抜けた返事をしたレオンは洗面所へ向かい顔を洗い、歯を磨く。その間にリーフェはテーブルへ朝食を並べていく。

「おー、今日も味そうだな」

「でしょー? なんてったって、私のが詰まってますから」

「そうか。いいお嫁さんを貰えて、俺は幸せ者だな」

「そうそう。もっと私に謝してもいいんだよ?」

「ありがとうございますリーフェ様」

「うむ、苦しゅうない」

そんな會話をして、お互いに笑い合う。ダダ甘すぎて、砂糖が口から吐き出せそうな空気である。実際過去に遊びに來たマルクが、これと似たようなやり取りを見て砂糖を吐いたとかなんとか。

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「ごちそうさま」

「はい、お末さまでした!」

食事を取り終えたレオンは仕事著へと著替え始める。騎士団専用の鎧であるため、著るのに手間取るものであったが、レオンはパパッと著終わる。

「それじゃ行ってくるよ」

「行ってらっしゃい、あなた」

玄関までリーフェが見送りにくる。これも毎日の日課となっている。そして二人は自然と顔を近づけ合い、起床時と同じく軽くキスをする。

「よし、今日も頑張るか」

リーフェに見送られ、外に出たレオンは気合をれる。

これが二人の毎朝の流れであった。

※※※

「おはようございます!」

「おはよう」

王宮の廊下を歩いていたレオンは騎士団所屬の騎士とあいさつをわしながら訓練場へと向かっていた。

前者の挨拶が騎士で、後者がレオンである。

學園卒業後すぐに騎士団長になったレオンの年齢はもちろん若く18歳である。そして騎士団に所屬する騎士の平均年齢は20歳中盤辺り。普通なら敬語を使うべきレオンだが、分的には上のため敬語を使うに使えない狀態であった。

なので最初は違和じていたレオンだったが、流石に慣れ始めつつあった。

レオンは訓練場に著くと、騎士達に訓練を付け始める。これが普段のレオンの仕事である。警備に出ていない騎士達を鍛え上げ、急事態に備えさせるのである。

年下に指導をけるのを良しとしない者も最初はいたが、レオンの指導によって自の実力がメキメキと上がっているのを実してからは信頼を置くようになった。更にはレオンの優しい格も一つの好かれる要因となっている。

そうして午前を使った訓練は終わり、晝食の時間を迎えたが、ここでレオンはある事に気付く。

「弁當持ってくるの忘れた……」

晝食である弁當を忘れてしまったのだ。弁當は毎日嫁が用意しており、テーブルの上に置いてくれている。それを持ってくるのを忘れてしまった。

仕方ないと、レオンは王宮にある食堂へと向かう。ここでは騎士達が晝食を取っている。

席に座り、何を頼むかメニュー表と睨めっこをしていた。その時、レオンを呼ぶ聲が耳に屆いた。

「あなた! お弁當忘れてたよ!」

「ああすまない。屆けてくれてありがとな」

リーフェが弁當を屆けに來てくれていた。レオンは禮を言ってけ取ったあと、早速食べようとする。だが――

「戻らなくていいのか? もうすぐ仕事だろ?」

「いーの! あなたの食べてるところ見てたいし」

「別にいいが……面白いものじゃないぞ?」

「いいからいいから! 気にせず食べて!」

リーフェの言葉に不思議そうにしながらも弁當を食べ始める。

そして味しさのあまりレオンの顔が綻ぶ。

それを見てリーフェはニコニコしていた。

「なんだあの甘い空気……」

「リーフェさん可いなぁ。団長羨ましすぎる」

「私も団長みたいな人、夫にしたいなぁ」

「いいよねぇ、団長」

その景を見ていた騎士達が次々と反応を示す。二人の醸し出す雰囲気に砂糖製造機になる者。リーフェの魅力に取り憑かれ、レオンに恨みの視線を送る者。かなりの優良件であるレオンに熱い視線を送る者など様々であった。

「ご馳走様でした。來てくれてありがとな。仕事、頑張ってくれ」

「どういたしまして。私も頑張ってくるからあなたも頑張ってね」

そして二人はキス――は流石にここではまずいので、手に軽くれ合う。

そんな景を見て、再び騎士達は各々の反応をするのであった。

※※※

弁當箱を置きに、一旦自宅へと戻ってきたリーフェは著替えを始めた。そして冒険者ギルドの付嬢の制服姿へと変わる。

レオンと結婚したが、この仕事が好きだからと付嬢を辭めることは無かった彼は、家事があるため午後だけ働くことにしたのであった。

そして冒険者ギルドへと著いたリーフェは早速カウンターへと座り、仕事を始める。

そしてすぐにそこには列が出來始める。

いつも通りの人を惹き付ける笑顔に、結婚しても関係ない!と野郎共が並び始めるのだ。

當初、リーフェの結婚を知った親衛隊他リーフェ狙いの野郎共はの涙を流していたが、最後にはしっかりと祝福の言葉をかけていた。リーフェはそれが嬉しく、この仕事を続けたいと思い、辭めることはしなかったのだ。

「ねえねえリーフェ」

長蛇の列の処理も全て終わり、束の間の休息を取っていたリーフェに、隣のカウンターで仕事をしていた同僚が話しかけてくる。

「なに?」

「この前聞き忘れたんだけど、リーフェのお相手さんってどんな人なの?」

冒険者ギルドで酒を飲んだりと各々の時間を過ごしていた冒険者達が、その同僚の言葉を聞きつけ、かに會話に耳を傾け始めた。

そんなことには気付くことなく、リーフェは質問に答える。

「そういえば結婚したことを報告しただけで相手のことは言ってなかったね。この國の騎士団長さんだよ」

「騎士団長!?」

「うん。ほら、私が付を擔當してた黒髪の男の子」

「あ、あの子か……あの若さで騎士団長……唾付けとくべきだったか……」

リーフェの相手がなんとこの國の騎士団で最も偉い騎士団長であることを知り、驚愕する同僚。さらに當時は學生であった冒険者がそこまでの人だったと知り、なぜ目をつけておかなかったと悔やんでいる。

「玉の輿だねぇ……よかったね、リーフェ」

「うーん、玉の輿といえば玉の輿かもしれないけど……そうだから結婚したってわけじゃないし」

「ほほう? 例えばどんな所に惹かれたのさ」

「えっとね、優しいところでしょ? それに誠実だし、仕事をしてる姿も格好いいし、なのに私生活ではどこか抜けてるところがあるのもキュンとくるし、何より私を大事にしてくれてるのが凄く伝わってくるし。あ、そういえば朝だって起こしてあげようとしたのにあと五分とか――」

その後も延々と続くかのように、惚気を連発するリーフェに、同僚もその話を聞いていた冒険者もゲッソリとし始める。それでも惚気は止まることを知らなかった。

「分かった! 分かったから! リーフェが旦那さん大好きだってのは凄く良く分かったから!」

「そう? 私としてはまだ話し足りないんだけど」

「もういいから! とりあえず発しろ!」

「なんで!?」

同僚からの突然の言葉に、慌てるリーフェ。その姿を見て溜飲が下がる同僚。

そして休息の時間は終わり、再び仕事に取り掛かるリーフェ。そこには相変わらずの行列が出來るのであった。

「私も良い人見つからないかなぁ……はぁ」

賑やかさを取り戻したギルドで、一人の付嬢がらした言葉に、誰も反応することはなかったのであった。

※※※

「ただいま~」

「お帰りなさい、あなた」

帰宅すると、パタパタパタとスリッパの音を鳴らしながら玄関まで迎えに來る健気な嫁に、思わず笑みがこぼれるレオン。

「ご飯にする? お風呂にする? それとも、わ・た・し?」

普段とは打って変わって、小悪魔的な態度で選択肢を迫るリーフェ。

「ご飯で」

しかしレオンにはそれが通用せず、即答されてしまう。リーフェはむ~と頬を膨らませながらも、夕食の準備へと移る。

そして一緒に夕食を取った後は、浴の時間となる。もちろんこっちも一緒である。

だが、ナニかをするわけでもなく、ただ純粋に二人の時間を楽しんでいた。

そして浴を終えると、就寢の時間となる。こちらも當たり前のように一緒の布団へと潛り込む。

そして、今日一日あったことを互いに教え合う。これも日課の一つであり、夫婦の大切な時間となっている。

「そういえば職場の同僚にあなたの事いっぱい話しちゃった」

「ま、まじか……」

まさかの嫁の一言に、レオンはなからず衝撃をけた。過去のこととはいえ、長年通い続けていたギルドの人に知られるというのはやはり恥ずかしいのだ。

それに、レオンにはもう一つ気になることがあった。

「もし騎士達にそれが伝わったら、俺の威厳が……」

「む~。あなたは嫁と仕事、どっちが大事なの?」

嫁の質問に、うっと唸るレオン。もちろんお前だと答えたいレオンであったが、騎士団長とは國も守る責務のある騎士団のトップである。そこにはそれ相応の責任というものがあり、おいそれと仕事を無礙にすることは出來ないのだ。

言葉に詰まってしまったレオンに、普通なら怒る場面であろうが、夫の義理堅い格を理解しているため怒ることは無い。むしろ嫁はそんな夫を誇りに思っている。

「ふふふ、意地悪してごめんね? 私は充分幸せだから」

「あ、あぁ……俺も幸せだぞ」

お互いに橫になりながら、額をコツンとぶつけ合う。

「でもほら、言葉だけじゃ伝わらないことってあるでしょ? だから……」

そう言うリーフェの瞳は潤んでおり、頬は赤く上気していた。

「しよ?」

嫁からのい。さらには劣うような表。そんなことをされてしまえば、レオンといえど止まれるわけがない。

「すまん、優しくできるか分からん。どうなっても知らないぞ?」

「あなたになら、どんな風にされたっていい」

「リーフェ!」

辛抱たまらんと覆いかぶさるレオン。それを優しくけ止めるリーフェ。

こうして、新婚夫婦の夜は更けていった。

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