《絶対守護者の學園生活記》お泣かしは許しまへんで

「ほら、さっさとかかってこいよ」

レオンは挑発をするかのように右手の人差し指をくいくいっと曲げながらそう言った。それをけてハンナは目をギラギラとさせている。

「それでは遠慮な……くっ!」

言い切ると同時に全速力でレオンへと間を詰めるハンナ。本気を出せるだけの相手だとレオンを認めているため手抜きは一切なしの速さに、シャルは一瞬にしてレオンの敗北を悟り、ギュッと目を瞑ってしまう。

「はい、まずは一回目と」

そんな言葉が聞こえ、シャルは恐る恐る目を開くと、そこにはレオンがハンナの後ろに立ち、手刀を彼の首元に添えているという景が広がっていた。

やられているハンナ自も何が起きたのかと目を見開いている。

「これで俺の勝ち……って言ってもあんたは満足しないだろ? ほら、早く次いくぞ」

ニヤッと口の端を吊り上げながらレオンはそう告げる。

「くっそがあああああああああああああ!!」

ハンナは舐められているとじたのか、後ろにいるレオンにびながらも回し蹴りをキメようとする。が

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「これで二回目だ。本當ならとっくに死んでるんだぞ?」

レオンはいとも簡単に片手で蹴りをけ止め、もう片方の手にいつの間にか持っていたナイフをハンナの首元に突き付けていた。

そこからじられるのは圧倒的余裕。

その後もハンナは様々な攻撃を繰り出すが、全てレオンには通用せずに、逆に三回四回とどんどん死のカウントが増えていくばかりであった。

「ほらほら、最強はお前なんだろ? その力を見せてくれよ」

ハァハァと疲れから息を荒くしているハンナに対して、レオンは汗一つすらかいていない。どうあがいても勝てない。ハンナは直的にそうじたが、諦めるつもりはなかった。

「見せてやるよ……まだ上手くコントロール出來ないんだけどな。うおおおおおおおおおおお!!!!」

ハンナは空に向かって大きくび始めた。それと同時に変化が起きた。

見た目自は全く変わっていないが、纏う雰囲気も、周りの空気までもが変わっていた。

そして睨みつけるようにしてレオンの方を向くと同時、最初と同じく全速力でレオンへと間を詰め、腕を振るってくるハンナ。その速さは最初とは比べにならないぐらいになっていた。

突然の変化にレオンはけ止めるのが一杯となり、攻撃に転ずることは出來なかった。

(おいおい! 力も速さもさっきとは全然違うんですけど! 攻撃も荒っぽくなったし獣モードってか!)

レオンの予想通り、ハンナは考えることをやめ、ただただ己の本能のみで戦っていた。獣人、獣の本能を解放した戦い方は変則的で予想がつき辛く、能力も格段に上昇しているためレオンは防ぐ一方であった。

(このままじゃ埒が明かねえ! どうする? どうするよ俺!)

レオンは必死に対応を考え始めた。倒そうと思えば倒せる。しかしこの猛攻では加減が出來ずに下手したら死に至らしめるような重傷を負わせてしまうかもしれない。

ハンナも自が言っていた通りにコントロールが上手く出來ていないようで、止まる気配は見られない。

どうすれば相手を傷つけることなく止められるか。

しかし解決策が浮かぶことなく、ひたすら猛攻をけ続けていたレオンの力が削られていくばかりである。

そして遂に限界が訪れた。

今までハンナの攻撃をけ止めていた影響か、手が痺れ始めてしまい、レオンの手から剣が離れてしまった。

チャンスだとじたのか、ハンナが振るった腕がレオンに襲い掛かろうとする。

「レオン君!」

思わずシャルが聲を上げたその時

「そこまでですよ、ハンナ」

突然現れたアーマルがハンナの首っこを摑んで持ち上げていた。

「ハンナが迷をかけてしまったようですね。申し訳ありません」

ハンナを持ち上げたままレオンに対して頭を下げるアーマル。

それを見たレオンは戦いの終わりを実し、その場に座り込んだ。

※※※

マジで疲れた……

最初の方は能力自はかなりのものがあったが所々にが目立っていたため余裕を持って対処できた。

しかしその後の獣モード。荒々しさは変わらずだったが、それすらも気にさせないほどの圧倒的な力。捌くこと自は集中していればどうにかなったが反撃が出來なかった。

いや、実際には出來たが、加減が不安であった。

他にやりようもなく、ただただ守りにっていたが流石にダメージが溜まってきたのか剣が手から零れ落ちてしまった。

そしてその隙を相手が見逃す訳はなく、やられそうになってしまったがアーマルさんに助けてもらった。

ていうか首っこ摑んで大人しくなるって貓かよ。いや、獅子も貓か?

俺は正座しながらアーマルさんの説教をけるハンナを見ながら力が戻るまで床に座り込んで休憩をしている。

そうしていると、タタタタと人が走る音が聞こえたのでそちらを向くと、シャルがこちらに向かってくる姿が。そして

いつか見た、宙に浮かぶ裂け目が、俺の視界にった。

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