《絶対守護者の學園生活記》ワガママ

俺は知らない部屋、知らないベッドの上で目を覚ました。

あぁ、そうか。魔族に傷を負わされて、そのまま倒れたのか……

を起こして、調子を確認する。上は服をがされていたためであった。直接ペタペタとって確かめてみる。うん、特に問題は無いな。

「……シャル?」

気配をじて部屋の扉の方を見ると、そこにはシャルが立っていた。

「レオン君……?レオン君!」

俺が起きていたことに驚きを見せたが、すぐに泣き出しそうな表へと変わり、俺へと抱き著いてきた。

「ど、どうしたんだ一

らかい&いい匂いというダブルパンチに襲われて思わずキョドってしまう。

「レオン君がいなくなってしまったら、私……」

……心配かけちゃったみたいだな。シャルの頭をそっとでながら落ち著くのを待ってやる。

「ぐすん……ごめんなさい、まだ起きたばっかりだっていうのに」

「いいんだよ。の子には優しく!これは母さんからの教えだからな」

「……それでは、もし教わっていなかったら私をめてくれなかったのですね?」

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「いや、そんなことは……」

あれ? もしかして俺いじられてる?

シャルはさっきまで泣いてた影響か目にまだし涙が殘っていたが、俺の反応を見て楽しそうに笑っている。その笑顔はやはり綺麗で。

「うんうん、やっぱりシャルは泣いてる顔より笑ってる顔の方が良いぞ。綺麗なんだから笑っとかないと勿ない。ってことで手伝ってやる」

俺はさっきの仕返しとばかりにシャルの両頬を摘んで引っ張ってやる。

おぉ、結構びるな。

「にゃにをしゅるんでしゅか!」

「ぷっ! にゃにを……にゃにをだってよ」

シャルの反応に満足した俺はそっと手を離してやる。頬をりながらも睨んでくるシャル。

ふふふ、そんな睨み程度では俺は屈しないぞ?なぜなら既にカレンによってそれ以上の恐怖を知ってるからな。

………それはそれでどうなんだろうか。

「その、ごめんなさい」

「ん? 謝られるようなことしたっけ? 俺」

不機嫌そうな態度から一転、申し訳なさそうに顔を俯かせながら言われた謝罪。

でも本當に何に対して謝ったのかが思い付かない。

「その、背中の傷のことなんですけど……」

當然、そんなものがあるのは俺も知っている。さっきって確認したしな。右肩から斜めに出來た大きな傷跡を。

そしてシャルはそのまま俺が意識を失った後に何が起きたのかを話し始めた。

呪いを使うなんてほぼほぼ魔族決定じゃねぇか。しかもこの傷跡はあいつを倒さないと消えないと。シャルはその事を気にしてんのか?

「だから、私を庇ったせいで……」

「気にしなくていいぞシャル。特に生活に支障は無さそうだしな。それに、アイツらとはいずれ戦う時が來るってのは分かってたし、その時についでに解いちまえばいい」

俺のやる事自は何も変わらない。既に大切な人アリスだって狙われたんだ。アイツらがこちらの平穏を脅かすなら、こちらだって全力で迎え撃つ。それだけだ。

「……レオン君は本當に優しいですね」

「よせやい! 照れるじゃねぇか!」

「そうやって照れ隠しするのはどうかと思いますよ」

「うっ」

いくら達と過ごしてきたとはいえ、シャルみたいな人さんに真正面から堂々と褒められるのは流石に慣れてないので照れくさい。

「……レオン君には知っておいてほしいんです。私の事を」

急にどうしたんだ?そんな疑問を抱えた俺に、シャルは呟くように語り始めた。

それはシャルの過去について。

呪いにかかってからの事。

シャルは全てを語り終えると、真面目な顔でこちらを見つめてきた。

「だから、私に呪者を倒すことは出來ないんです。しかもそれにレオン君を巻き込んでしまって。私がレオン君に償えることなんて、一つしか思いつかないんです。私を好きにしていいから、お願い……」

そして再び俺へと縋り付くように抱き著いてくるシャル。

好きにしていいってのは、その、そういうことだよな?

なら……

俺の頭にらかなじられる。包み込まれるようで、とても落ち著く。

「あの、膝枕なんかでいいんですか?」

そう、俺は今ベッドの上でシャルに膝枕をしてもらっている。すごいよこれ、枕にして売り出したら億萬長者になれそうなぐらい最高ですよ。

それはともかく、俺が膝枕を選んだ理由はちゃんとある。

シャルは今まで様々な困難にぶつかってきたのであろう。突然の呪いによって家族に負い目をじて、今の自分が出來ることをやって來たつもりだが、それでも苦しみから解放されることはなかった。

全ては呪いから始まった。そして

俺には呪いを無くすことが出來る力があるじゃないか。

これは要らぬお節介なのかもしれない。でも、これ以上シャルが悲しむ姿を俺は見たくない。

「膝枕なんかでいいんだよ。大王様にも言われてんだろ?添い遂げたい相手とするもんだよ、そういうのは。は大事にしろって」

「レオン君……」

さて、後はどうやって力を使う方向に持っていくかだな。俺に名案がある。

「シャル、実は俺は魔法使いだったんだ」

「……この世界の人は基本的には魔法を使えますよ?」

そうだった……「正義の魔法使い~どんなものでも治せます!~」作戦が失敗に終わってしまった。

いや、前世の時間も合わせればある意味ではこの前まで魔法使いだったけど。

もういい、こうなったらヤケクソだ。

「シャル、俺は孤児院によく遊びに行くんだがな?そこで怪我をしてしまった子供に魔法をかけてやってるんだ。痛いの痛いの飛んでけ~ってな」

「それは……治癒魔法ですか?」

「そうそう。シャルもハンナとの戦いでし怪我してただろ? 俺が治してやるよ。ついでに違う何かまで解いちゃうかもしれないけどな」

俺はシャルの返事を待たずにさっさとの発の準備にる。

対象をシャルの呪いに固定。

そして発

おやすみ、シャル。

※※※

眠くなったのでしょうか、治癒魔法を使うと言った後にすぐレオン君は寢てしまいました。

奇跡が起こったのはそれを確認した直後でした。

の奧から湧き上がってくる何か。これはもしかして……

私は右手の人差し指を立てて、その指先に集中します。

するとそこに一筋の雷が走ります。

それを見て、私は涙を堪えることが出來ませんでした。

力が戻った……!

この奇跡を起こしたのは恐らく私の膝の上に頭を乗せて寢ている彼でしょう。

レオン君? 治癒魔法は「治す」ものであって「解いちゃう」ものではないんですよ?

それに、ハンナさんとの戦いで出來た怪我はもう治ってますし。

そっとレオン君の頭をでながら考えます。

レオン君を見てきて、じたこと。それは何よりも真っ直ぐであるということ。彼の不快を全くじさせない態度、優しさはとても真っ直ぐで。

にあふれてくるこの暖かな気持ちに噓はつけそうにはありません。

ごめんなさいお父様、お母様。私に一つだけワガママを言わせてください。

私にも、添い遂げたい相手が出來ましたと。

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