《絶対守護者の學園生活記》合宿三日目
チュンチュンと鳥のなく聲が聞こえ、俺は目を覚ました。
そして目の前にはニコニコと楽しそうな笑顔を見せているシャルがいる。
……んん?
「これどういう狀況?」
「覚えてないのですか? 私との一夜を忘れてしまうとは……およよ」
いかにもわざとらしく手で顔を隠して噓泣きをするシャル。
一夜も何も昨夜はそもそも、カレンから逃げる途中で逃げ込んだ部屋で下著姿のリーゼリットさんに遭遇して、ビンタをくらってそのまま意識を失って……
「あの後一緒の布団に寢かされたってことか」
「その通りです」
「てことはここはシャルの部屋か?」
「正確には私とリーゼの部屋ですね」
あー、同部屋だったのか。リーゼさんと一緒の部屋でヤるわけないもんな。というか俺もシャルもちゃんと服は著てるし。とりあえず起きよう。
「ふふ。私はいつでも大丈夫ですからね? むしろ待たせすぎたら、襲いに行きますから」
一緒に起きたところで、俺の心を読んだのか、シャルがそんなことを言ってくる。
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というか、付き合い始めてまだ一ヶ月も経っていないのに簡単にを許してしまってもいいのだろうか?
「それだけレオン君に惚れてるってことですよ。積極的なの子はお嫌いですか?」
「……嫌いじゃないが、心を読むのはやめてくれ」
「レオン君が分かりやすいのがいけないんです」
悪戯に功した子供のように、またしても楽しそうに笑うシャルを見て、勝てないなぁと悟ってしまう。でも、シャルがこうやって笑っていられるのは過去を知っている者としては嬉しいことでもある。
この笑顔を絶対に失わないように、俺も気合をれないとな。
「ところでリーゼリットさんは?出來れば昨夜のことについて謝りたいんだが」
「いませんよ。もうお晝ですし」
「え……ほんとだ。こんな時間まで意識を失ってたのか……シャルはここにいて大丈夫なのか?」
「私、サボるっていうのを一度験してみたかったんです」
どうやら王様は大分悪い子になってしまったようだ。もしかして俺のせい?
※※※
合宿三日目の午後の容は、模擬戦である。組み合わせは學園側で決めたらしい。同じぐらいの実力、あるいはそれよりし上の相手とやらせ、どのような戦い方をするかを見るらしい。
単純な力だけではなく、思考能力というものも大事だということであろう。
ロウガ先輩がミーナに負けたのがいい例だな。
午前に何故いなかったのかと問い詰められたが、腹痛でトイレに篭っていたと誤魔化しておいた。ミーナは匂いで真実に気づいているようだった。
そして俺の対戦相手だが……
「合宿ではなにかと縁がありますね、レオン君」
そう、シャルだ。
俺はてっきりアリスと當たると思ってただけに意外であった。
俺の対戦相手に選ばれたってことは、シャルはアリスよりも実力があるということになるんだが……ということは
「そういうこと、ですね」
「だから心を読むのはやめてくれ」
しかしそうか……シャルの才能はそこまでのものだったのか。
不覚にもワクワクしている自分がいる。
「さあ、さっさと始めようぜ」
「? 私達は最後の試合だからまだですよ?」
「えっ」
俺のワクワクを返してくれよ……
試合が無い人は他の人のを見學するか、空いてるところでをかしとけという事だったので、俺は見學を選んだ。
カレン達の試合が気になったからだ。
そして彼達の中で最初に見れた試合がアリス対ソフィ先輩といういつもの組み合わせだ。
毎日のように見ているが、風魔法を応用した加速で絶え間なく攻め続けるソフィ先輩と、類まれなる反神経でそれに反応して確実に一撃一撃を叩き込もうとするアリスの試合はやはり凄い。
次はカレンとリリィだ。圧倒的火力の魔法を次々と放つリリィに、細剣を手に軽にき回り避けているカレン。リリィは大雑把ではあるが絶大な威力の魔法でゴリゴリ攻め、カレンは丁寧に立ち回る戦い方だ。まぁ邪魔する山が無いからきやすいんだっ!?
……さーて、次だ次。
お次はミーナと……リーゼリットさんか。
ミーナはソフィ先輩直伝の風魔法を用いた加速だけでなく、対面から風を吹かせることで減速までしている。緩急のついた攻めは強力だとは思うが、リーゼリットさんも負けていない。
リリィと同じで何も武は持ってはいないが、魔法が凄い。視界一面を埋め盡くすほどの氷弾がミーナに襲いかかっている。ミーナはどうにか避けているといったじで、たまにカスっている。
というわけで最後は俺たちの番だ。
シャルとし距離をあけて向かい合ったわけだが……なにあれ?
「えーと、シャルさんや? その肩に擔いでいるのは何ですかい?」
「これですか? 見ての通り大鎌ですよ」
そう、シャルは肩に大鎌を擔いでいた。しかも真っ黒である。
「………死神?」
「昔に言われたことはありますね。さて、始めましょうか、レオン君? ふふふふふふ」
ニッコリと神のような笑顔を浮かべるシャルだが、その笑い聲と黒い大鎌のせいでなぜか凄く怖かった。
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