《絶対守護者の學園生活記》金と黒

レオンとシャルの試合が始まった。

先にき出したのはレオンだが、いつもの攻め方とはしだけ違った。

土魔法で視界を遮ることなく、全速力で詰め寄り剣で斬りあげようとする。が――

「……これはまた面倒臭いな」

「やっぱり気付かれちゃいましたか」

ピタッときを止めるレオン。

なぜ止めたのか。それはシャルのに一目では分からないほどの雷のコーティングがされていたからだ。

雷の鎧といったほうがいいだろうか、これに剣がると、それを通じて高圧の電流がレオンのに流れてしまう。

その事に気付いたからこそレオンはきを止めたのだ。

「それズルくない?」

「そう言いながらも私の後ろから飛んできてるのはなんですかね?」

シャルはそう言い切った直後、素早くその場で回転し、その勢いを利用して鎌を水平に振るった。

そして鎌によって斬られたのは、レオンがかにシャルの後ろから飛ばしていた土弾である。

「たしかに雷屬に土屬は有効ではありますね。當たればの話ですけど」

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「いやー參った參った。の子に攻撃したくはないんだけどな」

の子だって守られてるばかりじゃないんですよ? 時には王子様を助ける側になりたいんです」

「王子様ねぇ……の子の憧れだって聞くけど、あんな奴知っちゃうとなぁ」

「あんな奴……まぁ言いたいことは分からなくもないですが」

仮にも自國の第一王子をあんな奴呼ばわりするレオンに、思わず苦笑するシャル。

試合中にも関わらず、なぜか楽しげに會話を続ける二人。

これは公式の試合ではなく、選抜者を決めるための試験のようなものであり、武闘大會に出たいと思わない生徒が手を抜くといった景は多く見られた。

真面目な生徒と武闘大會に出たい生徒は本気の試合をするが、他の生徒は手を抜く。

レオンとシャルは他の生徒に含まれている。

教師も去るもの追わず、ではなく、やらぬ者知らずと言ったじで手抜きしている生徒は放置している。

「ある程度やったら終わりにするか」

「そうですね。では」

そうして始まったのは純粋な打ち合い。

まるで舞のようにして、止まることなく大鎌を振るってくるシャルに対し、レオンはいつの間にか剣ではなく刀に持ち替えていた。

その刀はダルク戦で用いていたもので、虹り輝く刀である。

先程も言っていた通り、の子を攻撃したくないとレオンはひたすらけに回っていた。呪いが消えた後は覚を取り戻すために別メニューで鍛錬を行っていたシャルの実力を知っておきたいというのもあっただろうか。

だが一番の理由は

(綺麗だ……)

黒い大鎌を振るう度に、シャルの輝くような金髪が揺れるという姿に見惚れていた。

黒と金。そのコントラストがしさをじさせていた。

それを不思議にじたのか、最初とは違い、今度はシャルがきを止める。

「どうかしましたか?」

「いや……綺麗だなと思って」

「っ! ……不意打ちはズルいです」

顔を俯かせ呟くシャル。その頬は赤く染まっていた。

「ともかく! 私はどうでしたか?」

「凄いな。速さもアリスよりも上だし、鋭さもだ。下手したら親父に追いついているかもしれない。でもなんで魔法は使わなかったんだ?」

シャルの姿に見惚れていたとしても、しっかりと相手の実力を把握しようと対応していたレオンが出した結果は、シャルがダルクに迫るほどの力を持っているというものだった。

しかしそれは近接面での話であり、魔法に関しては何も分かってはいなかった。

「まだいまいち覚が取り戻せなくて……」

「呪いが消えて二週間ぐらいだろ? それでもまだ取り戻せないのか」

「そうみたいなんです」

レオンはシャルの言葉を聞いて、なからず驚いていた。

それだけの期間を設けても取り戻せないということは、それだけ扱いが難しいということである。そしてそれは魔法の威力を語っている。

「それではもう終わりでいいですかね? ……それに、レオン君に甘えたいですし」

「いいんじゃないか?」

シャルが最後の方に呟いた言葉はレオンには屆かなかったが、そこで二人の試合は終了となった。

この後、レオンの不意打ちの言葉でスイッチがってしまっていたシャルが甘えん坊になり、カレンがそれを止めるという事件が起きた。

こうして、合宿三日目は終わりを迎えようとしていたが.....?

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