《絶対守護者の學園生活記》羨ましい

「レオンくん!!」

シャルのレオンを案ずるびが響く。

シミルに止めを刺そうとしたその瞬間に聞こえた絶に、思わず手を止めそちらを向いてしまう。それはいまだ終わっていない戦闘において、致命的なミスであった。

「よそ見とは余裕だね!」

「ぐっ……!」

倒れていたシミルが振るった鞭がシャルの腰に巻き付く。とっさに反応し強化を施したことと、シミルが弱っていたことで刃は刺さらなかったがきを止められてしまう。

「お義父様! レオンくんを!」

「いや……大丈夫だ」

「え……?」

自分がけない今、頼れるのはダルクのみであったために頼み込んだが斷られてしまった。息子の危機に、父はかない。

シミルはシャルを止めることで一杯のようでそれ以上何かをしてくるといった気配はない。

ダルクが言ったことの真意を確かめるため、シャルはレオンの向を見守ることにした。

※※※

レオンは突如背を襲った激痛に膝をついてしまう。

(傷跡が殘るだけとかいう甘いもんじゃなかったってことか!)

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そもそも傷跡が殘るだけの呪いなど、はっきり言ってしょぼい。この世界には魔を倒すことで生計を立てている冒険者がおり、その仕事柄怪我が絶えない。レオンと同じような傷跡を持った人は珍しくない。

しかしレオンに傷跡が殘ったということに意味がある。

自惚れというわけではないが、シャルが好意を寄せている自分の為に魔族の前に姿を現すというのを相手は計算したうえでの呪いだったのではないかと。

わざわざ呪いの解き方を教えるというのも、よくよく考えたら不自然だ。

つまりこの呪いはシャルをき出すための罠だったということ。

だが実際はそれだけではなかった。

魔族側が不利になった際の保険でもあった。

なざこんなにも詰めが甘いのか。レオンは自を恨んだ。

「どうにか間に合ったようだな」

レオンの元へゴラムがゆっくりと近寄ってくる。

(どうにか?時間稼ぎはこのためだったのか?)

「惜しかったな、若き英雄よ。これで終わりだ」

ゴラムは腕を振り上げる。手を尖らせ、膝をつくレオンの背後から心臓を貫こうとする。

その瞬間だった。

「絶対にやらせません……!」

間に割り込む影。そしてゴラムの一撃は氷の剣で防がれている。

そこにあったのは、水の髪と眼鏡が特徴のの姿であった。

※※※

私は無力だ。

目の前で繰り広げられている戦いを見てそう思わされる。

魔族とレオンくんの戦い。それは素人が見ても異常だとじるであろう程の力のぶつかり合い。

私に割り込む余地などない。けどそれはレオン君が作ってくれる。

でも、本當にそれでいいのだろうか?

それは私がただ良いところを持っていくだけにしか観客の人達には見えないのではないだろうか。

いや、こんな狀況で冷靜に戦いの経過を見守ることが出來る人なんていないでしょう。結局は結果が全て。よくある話です。

勇敢に魔族に立ち向かう英雄の息子と、それを支えた私。

それが理想です。

でも、どうしても私には不思議に思うことがあります。

どうして彼、レオン君はここまでしてくれるのでしょう。

婚約者の馴染だから?ただ単についでとして?ありえないとは思いますが、私に惚れてしまったから?

いくつか理由は思い浮かびましたが、全て違うと斷言できます。

そもそも私は罪を犯した者。しかもそれはレオン君を、さらには國の危機へとつながる程の。

普通なら切り捨てるべき存在である私を助けようとするなど、言い方は悪くなってしまいますが、頭がおかしいと思えます。

流石に本人に聞くのは躊躇われたので、シャルに聞いてみたことがあります。

そして返って來た答えが

「レオンくんはただのお人好しですよ。困っている人がいたら助ける。それが彼にとっては普通の事であり、絶対に譲れないことですから。いくら彼でも犯罪者は助けませんが、リーゼは脅されていたから加擔しただけでしょう? それだけで、彼にとっては助ける理由には充分なんですよ」

それだけ。たったそれだけの理由で命を賭けることが出來る。

彼は私という重荷がなければもっと自由に戦えたことでしょう。私に被害がいかないようにしつつ、私の見せ場を作るためにギリギリを攻める。

私の為に要らぬ神経まで使わせてしまっている。

でも彼はそれを苦には思っていない。

私は理解しました。

彼がそうやって々と抱えてくれるおかげで、周りには笑顔が溢れているのだと。

そして人には限界というものが當然あります。彼にだってそれはある。でもそこに到達することはない。

なぜなら、彼を支えてくれる存在がいるから。

合宿のときに、海辺で彼と幸せそうに過ごすシャルを見て羨ましいとじたのを思い出しました。思えばそれは、私とは違って輝くような未來が待っているシャルのことを思ってのことだったのでしょう。

でも、今は違います。

こんな私でさえも、手を差しべてきてしまう彼を支えてあげたい。支えてあげられるシャルが羨ましい。

ああ、これがというものなのでしょうか。

私の本當の想いに気付くと、が暖かくなるような気がしました。

でもそれは、すぐに終わりを迎えました。

「があああああああああああああ!!!!」

彼が,、レオン君が突然び聲を上げ、膝をつきました。

そこに迫るのは、ゴラムという魔族。

レオン君が危ない!

私が行ったところで敵うわけがない。

それでも、私のは気付けばいていました。

魔法で造った氷剣を片手に。

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