《絶対守護者の學園生活記》天使

俺の前に広がる景は、かつて見た村の慘劇と同じだった。

とても大切な、する人達が倒れている。見るからに重傷で、最悪の結果が出てもおかしくないほどだ。

それでも、俺の心は落ち著いていた。

いや、無理矢理落ち著かされたと言うべきだろう。多分加護の力だ。

「リーゼさん! 至急、全員に治癒魔法を! シャルは観客達の導を頼む!」

「「はい!」」

それぞれが行に移る。

俺はこの中で最も軽傷に見えた獣人の男の下へ向かう。たしか名前は.....ガロウだったか。ロウガ先輩の弟だったはず。

「おい! 大丈夫か!」

ガロウのを揺さぶる。

「う、うぅ……お前は……」

「俺だ! レオンだ! 何があったんだ!」

「まお、うが……」

「魔王だと?」

その後も俺がしだけ使える治癒魔法でガロウを回復させながら話を聞いていった。

そして分かったのは、これを起こしたのが魔王であること。魔王が世界をほろぼそうとしていること。それを阻止するためにはたった一人で魔王を倒さなければならないこと。

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説明が終わるとガロウは気を失ってしまった。息はしているので生きてはいる。

神様が言っていた通り、魔王が蘇るようだ。そして俺は魔王から世界を救う為に呼ばれた存在だ。ならば當然、俺が相手をする。

神様から頼まれたからでもあるが、この世界には大切な人がたくさん出來た

そうだ、その人達は……?

「リーゼさん、皆は……」

この時の俺は楽観視していた。

ここにいる人達は國の代表として來た猛者であり、そう簡単にやられる訳がないと。

カレン達は直にその凄さを見てきたから分かる。

だからだろう。リーゼさんの表を見て、俺は脳を揺さぶられたかのようだった。

待ってくれ、聞きたくない。やめろ、やめてくれ……

「もう誰も、助かりません……」

 

……許さない。

許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さないっっっ!!!!!!

※※※

言いたくなかった。

彼がどれだけ皆のことを大切にしているかは分かっていたから。

それでも、目を背けるのは駄目だと思いました。

そしてどうにか覚悟を決めて伝えました。

助からない。皆はもう亡くなってしまったと。

その瞬間、濃い殺気が辺りを包みました。私も膝をついてしまいます。しでも抵抗する力を緩めればつぶされてしまいそうなほどです。

その殺気を放っていたのはレオンくんでした。

「殺す……絶対に魔王を殺す」

目は虛ろで、聲からはなんのじませんでした。

彼は今、復讐に燃えている。大切な人を殺され、それを引き起こした魔王を殺すこと。

このままではいけない。彼は正気ではない。

確信はありませんが、今の彼なら復讐の為なら犠牲を厭わないのではないか。そんな危うさがあります。

でも私はくことが出來なかった。

早く彼を止めないと。

「レオンくん!」

私がけないでいると、シャルが戻ってきたようです。レオンくんの狀態を見ただけで狀況を把握したようで、顔を歪めています。

「……シャル、か」

レオンくんがシャルの方を向きました。そこにあるのは、いつもシャルと話してる時のような優しげな顔ではなかった。

「レオンくん! 駄目です! 自分を見失わないでください!」

必死に訴えかけながらも、どうにかといったように地面を踏みしめながらシャルはレオンくんへ近づいていきます。

そしてレオンくんの元へ辿り著くと、レオンくんをギュッと抱きしめました。

レオンくんは目を大きく見開きました。

「元のレオンくんに戻ってください。大丈夫です、私はここにいますから……」

まるで小さな子供をあやす様に、シャルはレオンくんの背中をポンポンと叩きます。

「誰だって辛いんです。それでも、このままでは多くの罪無き人を犠牲にしてしまいます。だから……」

シャルの手に魔力が集まったのをじました。

「おやすみなさい」

シャルの手に走る雷

それをけて、レオンくんは意識を失ったようです。シャルは崩れ落ちないようにけ止めると、地面にそっと橫たわらせました。

「リーゼ、本當に皆は助からないのですか?」

「……この國中の、いえ、この世界中の治癒魔法師を集めれば、もしかしたら」

このことをレオンくんに伝えなかったのは、どう考えても実現不可能だからだ。

今すぐにでも治さなければならないような重傷なのだから、集める時間など存在しない。

「……そうですか」

私達は、無力です。

特に私なんかは、助けてもらってしかいないのに。

犠牲が出るのだったら、私であればよかったのに。

私達は呆然と立ち盡くすことしか出來ませんでした。

こころに殘ったのは絶のみ。

意識が朦朧としてきました。

だからでしょうか。

急に天から眩いが降り注いでいるようにじました。

空を見上げる。そこにあるのは、今の私の心とは違って、気持ちよく晴れた青い空があるはず。

しかし、視界にったのは人でした。

見覚えのある顔。だけどその背中からは白い翼が生えていました。

その姿は、まるで天使。

「リリィ、ちゃん……?」

そこにいたのは、レオンくんの妹であるリリィちゃんでした。

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