……目の前が真っ暗だ。これは一？ってただ目を閉じてるだけか。

ゆっくりと目を開く。そこにあったのは見慣れた天井。ここが屋敷の自室のベッドの上だと分かった。

「あら、起きたみたいね」

ベッドの傍に置いてある椅子にカレンが座っていた。俺が目覚めるのを待っていてくれたのか。……ってカレン？

「カレン？」

「なによ」

「カレンっ！」

俺はカレンを思いっきり抱き締める。カレンのから伝わる溫もりが、ここにしっかりとカレンがいるということを教えてくれる。

良かった、本當に良かった……

「なぁカレン」

「今度はなによ」

「俺の腹に一発頼む」

「……頭大丈夫？」

「大丈夫だ。だから頼む」

「分かったわよ。ふっ！」

鋭い拳が俺の腹に叩き込まれる。寢起きでしだけ朦朧としていた意識が覚醒して、さらにはやられ慣れたこの痛みから、改めてカレンがここにいると再認識出來た。

それでもやっぱり痛いものは痛い。収まるまでちょっとだけ待ってもらった。

「よし、もう大丈夫だ。第二訓練場で何があったか教えてくれ」

「ええ、いいわよ。と言っても私が実際に見たわけじゃないんだけどね」

俺はシャルの魔法で気を失った。

ユウちゃんを助けた時と同じように、別の自分にを乗っ取られていた。あのままだと何をしでかしたか分からないし、シャルの行は最善だった。だからこそ、その後のことが知りたい。

そしてカレンから聞かされたものは信じられないようなものだった。

それは、天使化したリリィによって降り注がれたが皆の命を救ったというもの。リリィが死となった皆を蘇生させたのだ。

にわかには信じ難いが、その証拠の一つとなるカレンが俺の目の前にいる。

「隣の部屋に行きなさい。そこにリリィがいるから」

「分かった、行ってくる」

「ああ、それと」

隣の部屋へ向かおうと、足をかし始めようとした瞬間だった。

俺のに、らかい何かがれた。

視界にいるのは、目を潤ませたカレン。

「おかえり、レオン」

この狀況で言われた、おかえりの言葉。意味が分からないが、なぜだか口は勝手にいた。 

「ただいま、カレン」

俺の言葉を聞いて、見惚れるような笑顔を見せるカレン。ああ、そうか。魔王の脅威は去っていないが、一時の平和へと俺達は戻ってこれたんだ。

そう実した。

隣の部屋へると、ベッドの上にちょこんと座っているリリィがいた。

しの妹がそこにはいる。だけど、その背に生えているのは白い翼。

窓からるがリリィを照らす。リリィの姿は儚げで幻想的とも思えた。 

天使。まさにその表現がピッタリであろう。

「まさか、本當だったとはな」

「……レオ兄、目が覚めた」

「あぁ、心配かけてごめんな」

近づいて、頭をでてやる。気持ち良さそうに目を細めるリリィを見て確認する。たとえ翼が生えていようとリリィはリリィだ。

「……その、気持ち悪くない？」

「全然。ここにいるのは俺の大好きな可い可い妹だよ」

「……良かった」

安心したかのように、ほっと息をつくリリィ。翼が生えた程度でお兄ちゃんのが変わるわけないだろ。

「んじゃ、聞かせてくれるか？　リリィはどうしてそうなった？　皆を蘇生させた力ってなんだ？」

今日で説明を求めるのは二度目だ。なんだか聞いてばかりで申し訳なくなってしまう。

「私は気付いたら白い空間にいた」

リリィが、小さい聲ながらも話し始めた――

※※※

私は気付いたら白い空間にいた。

さっきまで訓練場にいたはずなのに、どうして？

でもなんだろう、この場所は凄く落ち著く。

(……聞こえる？)

「……うん」

突如頭の中に響いた聲に、私は驚くことなく返事をする。この覚は、懐かしい？

(……時間が無いから手短に。あなたは死んだ。そして周りにいた人間も。あなたには助ける為の力が眠っている。だけどその力を使うには、副作用がある)

「……副作用？」

(……そう。私は神だから、この世界への過度な干渉はじられてる。だから力を與えると、天罰としてあなたに異常が起きる可能が高い。神が壊れるかもしれないし、気付いたら年老いている可能もある。プラスになることは起きない。それでも力がしい？)

「……しい」

躊躇うことは無い。

皆の役に立てる。それだけで私には充分な機になる。

(……分かった。あなたに力を授けます)

「……ありがとう。それじゃ」

意識が薄れていく。きっと元の世界に戻るのだろう。

絶対に皆を救う。

(じゃあね、する我が子、リリィ)

さようなら、お母さん。

※※※

リリィが話を終えた。

要するに、リリィが使った力は神様から與えられたもので、リリィは本當に天使だったってわけか？

うん、納得納得。予想できないことじゃなかったしな。

それよりも気になることがあるじゃないか。

「副作用は大丈夫なのか？異常が起きるってのは」

「……大丈夫みたい」

「そうか」

俺はリリィを抱き締める。カレンの時と同じで、ここにちゃんと存在しているんだと確認しておきたかったから。

リリィもしだけ驚きの表を見せたが、すぐにを預けてきた。

「……レオ兄の匂い」

「嗅ぐなって。まるでミーナみたいだな」

「……私、この匂い好き。安心するし……」

「安心するし、なんだ？ってうぉっ！？」

俺は急にベッドの上に押し倒された。もちろん犯人はリリィだ。

仰向けに倒れた俺に馬乗りになるリリィ。そして腰を前後にかし始めた。リリィが乗った位置は、ちょうど男のシンボルの上で……ってなんだこの狀況！？

「待てリリィ！　何してんだ！」

「何って……ナニ？」

小首を傾げながらそう言うリリィ。あら可い……じゃなくて！

俺は必死に起き上がろうとするが、リリィの手によって押さえつけられてけない。なにこのパワー！？もしかして天使パワー！？ってよく見たら翼無いじゃん！自由に消せるのかよそれ！

「レオ兄の匂いは安心するし、興する。大丈夫、優しくするから」

舌なめずりをするリリィ。それは見た目に反して、妖艶さをじさせるもので。

「大きくなった。待ってて、今楽にしてあげるから」

嬉しそうに笑うリリィ。そんなリリィの手が俺の下半へとびてきて――