《絶対守護者の學園生活記》攫われた姫
嫁達とを深めあえという親父からの言葉。詳しく聞いたところ、そうすることが俺の強化へと繋がるかもしれないという、親父の推測あってのものだ。
《想いの加護》の影響により、想い、想われることが俺の力となる。
たしかにたった四年で英雄と呼ばれている親父に追いつくほどの力をつけられたのも、カレンとリリィを俺が想っていたことが影響していたとあれば納得できなくもない。ゴラム戦で呪いが発したことによって深いダメージを負った時も、リーゼさんの告白を聞いて立ち上がることが出來た。
確定とまではいかないが、親父の推測が當たっている可能は充分ある。
しかし問題もある。
そのために彼達との時間を過ごすというのは、彼達を強くなるための道として利用していることになるのではないか。
何を馬鹿なことを、大袈裟なことを言ってるんだと思うかもしれない。彼達が本気で俺をしてくれているというのは普段一緒にいて、とてもよく伝わってくる。
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だからこそ、そんな目的を抱えて彼達と向き合うことなんてしたくない。
分かっている。これは俺のエゴだ。
きっと優しい彼達の事だ。理由を説明してもきっと付き合ってくれるだろう。
そんなことを考えていると、俺はあることに気付いた。
加護の事も、俺が転生者であることも彼達に話していないということに。
頭が痛い。
大切な人だなんだと言っておいて、彼達の過去にずんずんと踏み込んでおいて、自分の事は何一つ教えていないではないか。
彼達はそんな俺でもけれてくれているんだ。なおさら「強くなるために俺に付き合ってほしい」なんて言えない。
だからといって隠すつもりもない。隠し事なんて、彼達が許しても俺自が許せない。
だから帰ったら全て話してしまおう。
俺が転生者であることも、《想いの加護》を持っていることも。
そして改めて問おう。
本當にこんな俺でいいのかと。
自分がけない。
※※※
俺は冒険者ギルドへと足を運んだ。なぜか呼び出されたからだ。
屋敷に帰ったら俺のをすべて打ち明けることを決心し、中へとる。
「あっ! こっちです、レオンさん!」
ってすぐに、俺の姿を発見した付嬢にカウンターへと呼ばれる。
この人はたしか武闘大會の付でリーフェさんと一緒にいた人だ。當のリーフェさんは見當たらなかった。休みかな?
「呼び出されたので來てみたんですが、何かありました?」
「実は……リーフェが行方不明でして……」
リーフェさんが?騎士が避難導をしてくれていたはずなんだが……
「魔族の襲撃が発生して、周りが慌ただしくなった時に私達の元にエリク様が現れたのです。なんでもリーフェの力が必要らしく、リーフェはエリク様からの頼みということもあってついていったんです。それから彼とは連絡もつかなくなり、どうやら家にもいないようでして……」
エリク……?ああ、あのクソ王子か。あいつがリーフェさんに用事?しかも魔族が襲ってきて危ないときに?そもそもあいつは城で見張られているはずだぞ?
嫌な予がする。
「すいません! 急用を思い出したのでこれで失禮します!」
斷りをれてから転移を発する。
「うおっ!?」
「む?」
転移先は王様がいるであろう王城の執務室。
急に現れた俺に驚く王様と、なぜかクラリリス様までいる。
なぜいるか気になるが、今はそれどころじゃない。
「王様、あのクソ王子はどこにいる。あいつがリーフェさんを攫った可能がある」
「姉上が!? どういうことじゃレオン!!」
俺が王様に用件を伝えると、クラリリス様が聲を荒げて俺に詰め寄ってくる。
気になる単語があったが、とりあえずは詳しく説明した。
「とりあえずはエリクの元へ向かうぞ」
王様はそう言い執務室を出たので俺たちも後に続く。
「クラリリス様、姉上とは一……?」
王様の後を追いながら尋ねる。
「エルフは異端を嫌うというのは知っておるか?」
「一応は」
ユフィさんは異端として扱われたせいで捨てられたはずだ。
「姉上は第一王として生まれたが、魔力を持っていなかった。それはエルフにとって、そして王族として致命的な欠點じゃ。だからこそ異端とされた。姉上の存在は隠匿され、心がつく前に國を追放されたのじゃ」
それはまた……。しは育ててもらえただけまだマシなのかもしれないが。
「そこで幸いなことに、人族の王が姉上を救ってくれたのじゃ。姓に、妾の名に似たものをつけてくれたと聞き、謝したぞ。妾と姉上はまだ繋がっているのだと思えた」
リーフェさんの姓はクルスだったはず。
クラリリス……クラリス……クリス……クルス……。
……微妙じゃね?
「姉上は自分が王族だということは知らないはずじゃ。だからこそ、冒険者ギルドで元気に働いている姉上を見たときは、嬉しさのあまりし泣いてしまったぞ」
異端として生まれ、國を追放されたが元気な姿を見て安心したのだろう。姉想いのいい妹だな、クラリリス様は。
それにしてもリーフェさんが元とはいえ王族だと?それは、シャルともアリスとも共通していること。
嫌な予が確信へと変わりつつあった。
「それで、さっき妾が執務室にいたのは改めて禮を言おうと思っていたからじゃ。姉上を救ってくれてありがとうとな。ふむ、話しているうちに目的の場所へ著いたようだぞ」
俺がリーフェさんの生い立ちについて聞いていたらクソ王子がいる部屋の前へと辿り著いた。
王様が扉を開けると、そこにはベッドに腰かけているクソ王子の姿があった。
しかし俺たちがってきたことに気付いていないようだ。そして虛ろな目をしている。
「おいエリク、聞きたいことがる」
そう言って王様がクソ王子の肩を軽く揺すったその瞬間だった。
クソ王子のが、黒い砂となって崩れた。
俺が考えた可能。
リーフェさんが魔王の依り代として攫われた。恐らくられていたであろうクソ王子によって。
それが現実となった瞬間だった。
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