《絶対守護者の學園生活記》謝
ミーナと別れ、次のデートの相手であるリーゼさんとの待ち合わせ場所の3-Aへと向かう。到著すると、り口の扉近くに綺麗な姿勢で立っているリーゼさんを見つけた。
「すいません、お待たせしました」
「あ、レオン君。今來たところです……と言いたいところですが本當はし待ちました」
しいじけたように言ってくる。
そりゃそうか、ここってリーゼさんの所屬しているクラスの前だもんな。俺より早く著くのは當たり前だろう。
「それじゃお詫びも兼ねて、このあとの買いの代金は全て俺が払いますよ」
「いいんですか? 私、お晝がまだなので結構かかるかもしれませんよ?」
「まあ學園祭で売られてるものなんて學生の小遣いとかで買えるような値段ですし、大丈夫ですよ」
「それではお言葉に甘えて、學園長が狩ってきた魔の丸焼きを……小さな家が一軒建てられるぐらいの値段らしいですが」
「ごめんなさいそれは無理です」
學園長何してんだよ……流石に冗談だよな?
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余談だが俺の財布は嫁達に握られており、月一で貰う小遣いが好きに使える金だ。今のところ不自由はじていないが、相変わらずに敷かれてるなあ……
「冗談ですよ? そもそも私は小食ですから」
ですよねー。
それにしても……真面目系なリーゼさんにしては珍しく浮かれている気がする。まあ楽しそうな笑顔してるし、俺としては嬉しい限りだ。
廊下はそれなりに混んでいるのでリーゼさんの手を引いて離れないようにしながら買いをしていく。俺もさっきまで屋上で寢転がってただけだから腹も減っているし、多めに食べを購していく。
焼きそばやフランクフルトに焼き鳥など、定番の食べを手に向かったのは演劇をやっているというクラスだ。
中にるともうすぐ始まるところなのか、薄暗くなっていたので急いで空いている席に二人並んで座る。そして始まるまでの間に買ってきたものを食べ始める。俺たちの他にも食事している客がいるので問題はないだろう。
「はいレオン君、あーん」
「……あーん」
リーゼさんが頬を染めつつも割り箸ですくった焼きそばを俺の口元へと差し出してきたので頂く。それにしても今日のリーゼさんはやけに積極的というかなんというか……
ていうか周りの人の視線をじて恥ずかしすぎる。気を紛らす為にも何か話そう。
「そういえばこの演劇の題材になってる『王族駆け落ち語』ってどんな話なんですか?」
「主に達に人気のあるお話ですね。平民の男の子と王様が相思相になるのですが、分の差が邪魔をしてしまい、王様は別の人と結婚させられそうになるのです。そして結婚式當日、新郎新婦の誓いのキスの時に平民の男の子が式場に乗り込んできて、王様を連れ出してしまうのです」
「だから『駆け落ち』なのか」
「その後、平民の男の子と王様は貧しいながらも幸せな生活を送りましたとさ――。これが大まかなあらすじですかね」
「確かにに好かれそうな話だなあ」
まぬ結婚から救い出してくれた白馬の王子様。確かに人気は出るだろうな。
「あ、始まるみたいですね」
劇は學生がやるだけあってそこまで本格的ではないが、充分に楽しめた。
そして次に二人で向かったのは椅子と丸テーブルが用意されてるだけの休憩所となっている教室だ。空いている席に著き、談笑をしながら殘った食べの処理にかかる。
話題は劇に関してだ。
「私、先程の劇を見て思ったんです。なんだかレオン君とシャルみたいだなって」
「そうですかね?」
「呪いによってまぬ道を歩むことになった王様を救い出した平民。あ、今は『守護者』様でしたっけ?」
「やめてくださいよ……」
くすくす笑うリーゼさん。そこに魔族によって脅されていた頃のはじなかった。
「だから謝してます。シャルを、そして私を救ってくれてありがとうございます」
「頭を上げてください。前にアリスにも言ったような気がするんですけど、そんなことをしてしくてやった訳では無いので」
俺にそう言われ、渋々といったかんじで頭を上げる。そしてなんともいえない微妙な空気が流れる中でリーゼさんが口を開いた。
「私はシャルが羨ましかったんです」
「羨ましかった?」
「シャルが呪いから解放されて、レオン君と付き合うようになって。シャルはとても幸せそうでした。私はそれがとても嬉しかったんです。それと同時に、輝くような未來が待っているであろうシャルと死しかまっていない私を比べてしまって……」
長い間苦しんできた馴染が幸せを摑んだ。それは喜ぶべきことではあるが、リーゼさん自は魔族に関與した時點で幸せを摑むことは不可能になっていた。
「そして憧れてもいました。こんな私に手を差しべてくれたレオン君と、馴染であるシャル。これから先も二人と一緒にいられたらどんなに楽しいものなのだろうかと」
「それって……」
「ええ、葉っちゃいました。これも全てレオン君のおかげです。だからこそ本當に心の底から謝しています」
……俺はリーゼさんの未來を守れたのか。ただ燃えゆく故郷を呆然と見ていることしか出來なかったあの頃とは違って、一人の命を守ることが出來たんだ。
「レオン君、泣いてる……?」
「え……?」
気付けば俺は涙を流していた。
俺がなんのために力を手にれたのか。それは大事なものを守る為。まだ魔王との戦いだって殘っている。それは世界の人達全ての命がかかっていると言ってもいい戦い。だからこそまだ気を抜いてはいけない。
それでも俺は、リーゼさんを守れたという事実に涙していた。
涙を見せまいとしていると、顔が急にらかい何かに包まれた。
いつのまにか俺の正面に立っていたリーゼさんの元に、俺の顔が抱き寄せられていた。
「あの頃とは逆ですね」
あの頃とはきっと合宿であろう。リーゼさんが涙ながらに本音を零した夜。俺がリーゼさんを救うと決意した時のことだ。
「今度は私の番です。思う存分泣いちゃってください」
優しい聲で、宥めるようにして頭をでてくる。
ぼんやりしていく意識の中でじた溫かさ。これを失わないためにも、俺はどんな困難にも立ち向かうだろう。
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