《絶対守護者の學園生活記》いつまでも
「パパ! ママ! こっちこっち!」
雲一つない快晴、心地よい風が優しくをでてくるこの見渡しのいい草原には多くの子供がいた。その中で輝かしいほどの笑顔を見せて私達を呼んでいるのが私の娘であるクーフィ、稱はクーだ。
「はいはい、今行くよ。あまりはしゃぎすぎると転ぶぞー」
「平気なのー!」
私の隣に並んでいるレオンが優しく注意するとクーは嬉しそうに返事をした。聞き分けも良く、明るく良い子に育ってくれて私は嬉しい。
現在何をしているのかというとピクニックだ。カレンが昔お世話になっていたという孤児院の子供達とクーを連れて自然と戯れようという目的の元で行われている。
レオン曰く
「健康に育つにはこうやって外で思いっきり遊ばせるのも大切だからな」
だとか。
そしてレオンは今回のピクニックを企畫した。子供たちのことをしっかりと思いやることが出來る優しい男の妻であれることを私は誇りに思う。
私達は監督兼護衛だ。しかしこの辺りは魔はほとんど出ないのでそこまで気を張る必要はない。
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「レオンさんソフィさん、私まで連れてきてもらってありがとうございます」
特にすることもなく二人で座りながら元気にはしゃぐ子供達を眺めていると、一人のが近寄ってきた。歳は十二、三歳ほどに見えて素樸なかわいさがある。たしか名前はユウだったか?孤児院でい子供達の世話を擔當していたはずだ。
「いやいやお構いなく。それにユウちゃんだってずっと屋にいたら息が詰まっちゃうだろ?」
「否定はしません。でもそれが私の役目なんです」
「ははは、ユウちゃんは大人になったなあ」
手櫛のように頭をでられるユウは申し訳なさそうな、それでいて幸せそうなそんな表だった。レオンは好かれているな。
そして時間はあっという間に過ぎ、晝となった。腰を下ろし晝食としてバスケットにれて持ってきていたサンドイッチを全員に行き渡らせる。味しいと言ってもらえるだろうか?
「「「おいしい!!!!」」」
「うん、味い」
「味しいです」
子供達の元気な聲に夫の簡潔な想、ユウの満足そうな笑顔。好評のようで安心だ。
その後、満腹になった子供達が案の定うとうとし始めたので晝寢の時間となった。が溫かいので絶好の晝寢日和だろう。子供達の寢顔は年相応の可らしいものだ。
「ふぁ………」
「む、眠いのか?」
「昨日までに片付けておかないといけない案件があって、深夜までやってたからなぁ」
あくびをかみ殺しているレオン。ふむ、ここは……
私は膝をぽんぽんと叩く。いわゆる膝枕のいだ。
「使うか?」
「お、いいのか? 助かる。でも足が痺れたらすぐにどかしてくれて構わないからな」
「その時は叩き起こすから大丈夫だ」
「優しく起こすって選択肢はないのか?」
「優しく叩き起こしてやろう」
「叩き起こすのは変わらないのか……まぁいい、おやすみ」
「おやすみレオン」
すぐにレオンは寢てしまった。よほど疲れていたんだな、いつもお疲れ様。
特徴的な黒髪に軽くれながら穏やかな時間を過ごしていると、子供達と一緒に寢ていたユウが起き、私の隣にやってきた。
「なんだか羨ましいです」
「なにがだ?」
「レオンさんを優しい表で見つめるソフィさんを見ていると、なんとなくそう思ってしまって。好きな人と一緒にいれるというのはやはり幸せなのだろうなと。私は普段は孤児院にいるので出會いというものがなくて……」
ふむ、ユウもそのようなことを考えるような時期になったのだな。なぜか微笑ましくじる。
「ユウは想い人はいないのか?」
「そ、それはその………」
頬を染めてチラっと私の膝の上を見てくる。兄のように慕っているのかと思っていたが、まさか男の方でか……今度の子會で議題にしてみよう。
レオンは十八でユウは十三だったはずだ。歳の割にユウは大人びているし、五歳差というのもあまり壁にはならないだろう。……今考えるようなことではないか。
「ユウにはまだまだ時間がある。それにもうし経てば學園にもれるだろう? 気長にゆっくりと考えていけばいい」
「そう、ですよね。分かりました」
本來こんな話は私には合わないのだけどな……
クーもいずれはこうやって悩み、決心し、私の元を離れていくのだろう。
寂しさを紛らわすかのように、私はレオンの頬を突いていた。
※※※
晝寢から目覚めた子供達はまた元気に走り回り始めた。レオンも気分爽快といった様子で子供達の遊びに付き合っている。
そして夕方となり子供達を孤児院まで送っていった。このまま私達も屋敷に戻るのだろうと帰途についていた時だった。
「さて、ここからは俺達の時間だ」
急な宣言と共に私はさっきまでいた草原に連れていかれる。こっちだ、とレオンに腕を引かれたまま歩くこと數分。
「これは……」
私は目の前に広がる景に息を呑んだ。
そこにあったのは花畑。辺り一面どこを見ても多様なの花で埋め盡くされていた。
空には幾多もの星が輝いており、月のが照らす花畑はどこか幻想的で神的だった。し冷たい風が花を揺らし、香りを運ぶ。
私の心はすっかり惹きつけられていた。
「明るいときに見るのもいいが、夜に見るってのも乙なもんだろ?」
「たしかにこれは夜ならではだな」
それに晝だったら子供達もいただろう。それに対して今は二人きりだ。
「ところでなぜ急にこんなところへ私を?」
「いやー、あんまりはっきりと言いたくないんだよそれが」
「……………」
「すいません言いますから睨むのは止めてください」
まったく……隠し事は夫婦の仲を引き裂くからどんどん聞き出せとシャルに言われたしな、うむ。
気を悪くするなよ?とレオンは前置きしてから真相を口にした。
「ソフィ以外の皆は親がいて、この世にちゃんとした生をけて々な景を見てきたはずだろ? だけどソフィは人に造られた存在で、苦しい環境の中でただ復讐のために剣を振るってきて……ああ、うまく言葉に出來ん! ともかく俺はソフィにんな景を見せたかったんだ! 今までの苦しかった記憶を帳消しに出來るような綺麗な景を見せて、俺はソフィに楽しいって、幸せだって思ってほしかったんだ。世の中にはこんな素晴らしいものがあるんだって、この先は明るい未來が待ってるんだって、そう教えたかったから、だから……えっ?」
私は気付けばレオンのに飛び込んでいた。なにが気を悪くするなだ。悪くなるどころか、嬉しすぎてどうにかなってしまいそうだ。
うまく言葉に出來なくて慌てているようだったが、その想いは充分私に伝わってきた。
この男を選んで、この男に付いてきて、本當に良かった――――――
だから
私は
確固たる思いをに刻み
「してるぞ、レオン!」
この男の傍に寄り添い続けよう。
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