《負け組だった俺と制限されたチートスキル》第六十話 會談
「りなさい、コウスケ殿」
俺は現在エルフの里最上層、いわゆる最高意思決定機関に呼び出されていた。
理由は言うまでも無くリーンドの件。
あれほど騒ぎを起こしたのだから呼び出されるのは當然であるし、そもそもエルフィーナからもその可能を告げられていたので、俺は特に驚かなかった。
しかしこうしていざ目の前にすると張というものは生まれる。
「はい、失禮いたします」
エルフィーナからの注意事項その一。
王族方の前で失禮の無いように。をしっかりとこなす。
「そなたが魔人コウスケ・タカツキでよろしいか?」
「はい、そうです」
実際魔人族ではないのだが、それを説明すると俺が異世界人であることも告げなくてはならなくなり、かなり面倒くさくなる。
それにエルフィーナが彼らにそのことを告げていないのであれば、彼がその必要がないと判斷した訳であり、ならば俺もあえて告げる必要などないと思ったからだ。
「此度の件、エルフィーナを無事に解放してくれて禮を言うぞ」
Advertisement
今、目の前、いや目の上には五人のエルフ族がいる。
皆、椅子に座っており俺を見下ろす形でいた。
その中で俺に禮を言ったのが、真ん中の高齢の男だ。
真ん中にいるということは、実質彼がこの中で一番権力を持っていると俺は見ていた。
ちなみにその左隣がエルフィーナである。
「いえ、全ては神のお導きかと」
エルフィーナからの注意事項そのニ。
返答に困った時は、神のおと言いなさい。
エルフと言うのは、神を他種族以上に信仰している種族らしく、そういえば結構何でもごまかせるらしい。
それゆえエルフィーナの奇跡の力も信仰されていたと。
しかしそれを意識したせいか、若干臭いセリフになってしまった。
顔が引き攣る。
「ふっ、確かに偶然に偶然が重なった此度の件、神のお導きなのかもしれんな」
だが思いのほかは良かった。
追い打ちをかけるようにエルフィーナも言葉を発する。
「ええ私もそう思います、彼がこの里へ來たのはまさしく神の導きかと」
「エルフィーナがそう言うのであれば、そうなのだろうな」
五人全員の顔に笑顔が浮かんだ。
俺も想笑いをり付ける。
全く分からないツボだ。
しばらく和やかな雰囲気に包まれた場だった。
ふと、真ん中の老人が俺に聲をかける。
「そういえばコウスケよ、卿の隣にいるそのは何者だ?」
間違いなくミリルのことだ。
確かに顔も似ていない、歳の離れた男が共に行しているのは不自然に見えるか。
「旅の途中で出會った孤児です」
「ほう、孤児とな」
「はい、我らが魔人族に対する世間の風當たりは未だ厳しく……」
「ふむ……」
今度は場が打って変わって水を打ったようにしんとなった
その表からは何を考えているかまでは読み取れないが、恐らく俺たちに対して同心を抱いているのだろう。
なんともお優しいことで。
「では一つばかり提案をさせてもらおう」
「何なりと」
「卿が良ければだが、我が里に住まうというのはどうだろう?」
「それは……」
ミリルにとっては魅力的な話かもしれない。
今の狀態なら魔人族に対して不快を持つ者はなくなっているはずだ。
それなら危険を冒してまでシセイに向かう必要もなくなる。
俺の復讐もずっと早くなる。
良い條件ではないか。
俺はそう考えるようになっていた。
だが、
「ごめんなさい」
ミリルが先にその提案を拒んだ。
しかもハッキリした聲と綺麗なお辭儀を見せ付けて。
「ふむ……それはどうしてか教えてもらっても良いか?」
「……コウスケと一緒にいたい」
今度も沈黙。
だがさっきと違って居心地が悪かった。
心なしかほぼ全ての視線が俺に集中している。
エルフィーナに至っては笑みを浮かべて楽しそうだ。
「……ごほん、なるほどではコウスケ、卿はどうなのだ?」
気まずそうに咳払いをした真ん中の老人は、今度俺に問いかけた。
確かにミリルのあの答えを聞いては、これ以上追求できる訳もないし、捉えかたによっては俺の答え次第ではミリルもこの里に住むのだ。
だがミリルが斷言したのも俺の答えが分かっているがゆえのこと。
そう俺の答えは決まっている。
「申し訳ありませんが、俺には別にやることがあるので」
「そうか……」
し落ち込んだ様子の老人。
その老人へエルフィーナが肩を叩いて勵ましていた。
何だか拍子抜けする。
こんな和やかな謁見に俺は張していたと言うのか。
大違いだ。
あの、忌々しいロイヒエン王國の連中とは比べにもならない。
「ではここからは私が進行して行きますね、コウスケさんが父様を落ち込ませてしまったので」
意地悪な笑みを浮かべて進行のバトンをエルフィーナが引き継いだ。
ここが公式な場でさえなければ、指摘を一つ二つれていたのだが、生憎と公式中の公式の場。
俺は口を結んだ。
「彼をここへ」
エルフィーナは付き人に向かって一言言葉を向けた。
付き人は走ってこの場を去る。
「々お待ちください……コウスケさん、本當にここで暮らすつもりはありませんか?」
「ないです」
「他人行儀だと何だか変なじがしますね」
それはお前の教えのせいだろ。
とは突っ込めず無言の反論をした。
そんな空気の下、先ほどの付き人が戻ってきた。
ある人を連れて――
「リーンド……」
思わず呟く。
見た目こそ変わらないが、服裝がみすぼらしいものになっており、目には目隠しを、耳には耳栓を差し込まれていた。
以前と比較すると結構な落ちぶれっぷりだ。
しかしそれはそうだ。
王族の一人を拐したのだ。
もっと重罰をけてもおかしくない。
しかし分からない。
何故彼を連れて來たのかが。
疑問の眼差しをエルフィーナへ向けると、彼は答える。
「コウスケさん、私から質問です」
「……何でしょうか」
「彼をどうすべきだとお考えですか?」
「……は?」
言っている意味が分からない。
そう言ったことはで解決するのが道理ではないのか。
「おっしゃっている意味が分かりかねます」
「コウスケさん、あなたも被害者。なのでこの件に口出しをする権利があります」
「俺が口出しをしないとどうなるんですか?」
「そうですね……エルフの歴史上、同族が不純な機で王族に危害を加えることなどありませんでしたから、判斷が非常に難しいところなんです」
つまりリーンドは悪い意味でエルフの歴史に名を殘したのか。
やるじゃねえか。
し見直した。
それ以上に軽蔑したが。
「同族ではない者が危害を加えた事例で判斷されては?」
「それもないのです、一件例に出しますと、流刑でしょうか」
「流刑……」
いわゆる島流しというやつだ。
最もこの近辺に島などないだろうから、森から追い出すくらいの刑罰だと思われる。
ハッキリ言って軽い。
その程度の罪で許されるのは気分が良くない。
「どうでしょう、口出しする気になりましたか?」
「……はい、そうですね」
悪い笑みを浮かべるエルフィーナに俺は渋々頷いた。
彼からリーンドの罪をどうするべきか、と以前聞かれた理由がようやく分かった。
あの時は相手にせずに流したが、こうして反撃してくるとは。
但し案がないとは言ってない。
むしろ好都合だ。
「エルフィーナ様、早速案を述べてもよろしいでしょうか?」
「待ってましたよ」
「エルフィーナ様の誓約スキル、それを使わせてもらえませんか?」
「誓約を?」
分からないという顔をするエルフィーナ、もとい王族一同。
しかし人を罰するというのに、結構乗り気だな。この人たち。
やっぱりそこは権力者というものなのか。
「エルフィーナ様の誓約で彼にある條件をかけてしいのです」
「條件ですか?」
「はい、あの場でお見せした私のスキル。真偽と併用して行いたいことがあるのです」
まだ的に俺のやりたいことが分かっていないようだ。
「簡潔に言いますと、彼には一切噓が吐けない生活を送ってもらうつもりです」
これが俺の考えた罰だ。
外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。
【一話1000字程度でスマホの方にもおススメです!】 主人公は魔導學校を卒業し、スキル【即死《デストラクション》】を手に入れる。 しかしそのスキルは、発動すれば自分が即死してしまうという超外れスキルだった。 身一つで放り出され、世界を恨む主人公。 だが、とある少女との出會いをきっかけに、主人公は【即死】の隠された能力に気付く。 「全て、この世界が悪いのよ。この世界の生きとし生けるもの全てが」 「……ふうん。で、仮にそうだとして、君はどうするんだ」 「私の望みは一つだけ。ねえ、私と一緒にこの世界を滅ぼさない?」 「すっげー魅力的な提案だね、それ」 最強の力を手に入れた主人公は、少女と共に自分を見捨てた世界に復讐を果たすことを決意する。 隠れ最強主人公の、復讐無雙冒険譚。 ※カクヨムにも改稿版の投稿始めました! ご一読ください! https://kakuyomu.jp/works/1177354054893454407/episodes/1177354054893454565
8 180スクール下克上・超能力に目覚めたボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました★スニーカー文庫から【書籍版】発売★
西暦2040年の日本。 100人に1人の割合で超能力者が生まれるようになった時代。 ボッチな主人公は、戦闘系能力者にいじめられる日々を送っていた。 ある日、日本政府はとあるプロジェクトのために、日本中の超能力者を集めた。 そのタイミングで、主人公も超能力者であることが判明。 しかも能力は極めて有用性が高く、プロジェクトでは大活躍、學校でもヒーロー扱い。 一方で戦闘系能力者は、プロジェクトでは役に立たず、転落していく。 ※※ 著者紹介 ※※ 鏡銀鉢(かがみ・ぎんぱち) 2012年、『地球唯一の男』で第8回MF文庫Jライトノベル新人賞にて佳作を受賞、同作を『忘卻の軍神と裝甲戦姫』と改題しデビュー。 他の著作に、『獨立學園國家の召喚術科生』『俺たちは空気が読めない』『平社員は大金が欲しい』『無雙で無敵の規格外魔法使い』がある。
8 186【書籍化】【SSSランクダンジョンでナイフ一本手渡され追放された白魔導師】ユグドラシルの呪いにより弱點である魔力不足を克服し世界最強へと至る。
【注意】※完結済みではありますが、こちらは第一部のみの完結となっております。(第二部はスタートしております!) Aランク冒険者パーティー、「グンキノドンワ」に所屬する白魔導師のレイ(16)は、魔力の総量が少なく回復魔法を使うと動けなくなってしまう。 しかし、元奴隷であったレイは、まだ幼い頃に拾ってくれたグンキノドンワのパーティーリーダーのロキに恩を感じ、それに報いる為必死にパーティーのヒーラーをつとめた。 回復魔法を使わずに済むよう、敵の注意を引きパーティーメンバーが攻撃を受けないように立ち回り、様々な資料や學術書を読み、戦闘が早めに終わるよう敵のウィークポイントを調べ、観察眼を養った。 また、それだけではなく、パーティーでの家事をこなし、料理洗濯買い出し、雑用全てをこなしてきた。 朝は皆より早く起き、武具防具の手入れ、朝食の用意。 夜は皆が寢靜まった後も本を読み知識をつけ、戦闘に有用なモノを習得した。 現にレイの努力の甲斐もあり、死傷者が出て當然の冒険者パーティーで、生還率100%を実現していた。 しかし、その努力は彼らの目には映ってはいなかったようで、今僕はヒールの満足に出來ない、役立たずとしてパーティーから追放される事になる。 このSSSランクダンジョン、【ユグドラシルの迷宮】で。 ◆◇◆◇◆◇ ※成り上がり、主人公最強です。 ※ざまあ有ります。タイトルの橫に★があるのがざまあ回です。 ※1話 大體1000~3000文字くらいです。よければ、暇潰しにどうぞ! ☆誤字報告をして下さいました皆様、ありがとうございます、助かりますm(_ _)m 【とっても大切なお願い】 もしよければですが、本編の下の方にある☆☆☆☆☆から評価を入れていただけると嬉しいです。 これにより、ランキングを駆け上がる事が出來、より多くの方に作品を読んでいただく事が出來るので、作者の執筆意欲も更に増大します! 勿論、評価なので皆様の感じたままに、★1でも大丈夫なので、よろしくお願いします! 皆様の応援のお陰で、ハイファンタジーランキング日間、週間、月間1位を頂けました! 本當にありがとうございます! 1000萬PV達成!ありがとうございます! 【書籍化】皆様の応援の力により、書籍化するようです!ありがとうございます!ただいま進行中です!
8 156【書籍化決定】愛読家、日々是好日〜慎ましく、天衣無縫に後宮を駆け抜けます〜
何よりも本を愛する明渓は、後宮で侍女をしていた叔母から、後宮には珍しく本がずらりと並ぶ蔵書宮があると聞く。そして、本を読む為だけに後宮入りを決意する。 しかし、事件に巻きこまれ、好奇心に負け、どんどん本を読む時間は減っていく。 さらに、小柄な醫官見習いの僑月に興味をもたれたり、剣術にも長けている事が皇族の目に留まり、東宮やその弟も何かと関わってくる始末。 持ち前の博識を駆使して、後宮生活を満喫しているだけなのに、何故か理想としていた日々からは遠ざかるばかり。 皇族との三角関係と、様々な謎に、振り回されたり、振り回したりしながら、明渓が望む本に囲まれた生活はやってくるのか。 R15は念のためです。 3/4他複數日、日間推理ランキングで一位になりました!ありがとうございます。 誤字報告ありがとうございます。第10回ネット小説大賞ニ次選考通過しました!
8 58氷炎騎士の騎校生活(スクールライフ)
最強の騎士の父と最強の魔術師の母との間に生まれた、最強の『固有魔法(オウン)』をもつ 東山 秋風は 「この世で俺が1番強い」と思い込んでいた。しかし、両親にすすめられ入學した ”國立騎魔士アカデミー” でその現実は覆される。 主人公の成長を描いた、學園戀愛ファンタジー⁈ 初投稿なんで、誤字とか多いかもです ご了承ください
8 194俺はショートヘア女王が大嫌い
主人公が繰り広げるありきたりな學園ラブコメ! 學園のアイドル的存在、坂木 亜実(さかのき あみ)の本性を知ってしまった主人公が理想の青春を目指すために東奔西走する!! リア充でも非リアでもないザ•普通の主人公、荒井 海七渡(あらい みなと)は、ショートカットの美少女と付き合うという野望があった。そんな野望を胸に高校へ入學。 しかし、現実は非情。高校1年の間はただ黙々と普通の生活を送る。 2年にあがり、クラス替え。そこで荒井は、校內で知らない人はいないと言われる程の超絶美少女、坂木 亜実と同じクラスになる。 だがやはり、現実は非情だった。坂木 亜実の正體はただの毒舌ドS野郎だった……
8 136