《魔法兵にされたので學園にります ~俺は最強の魔兵~》幕間 愚兄と新たな魔兵

某所。

暗闇の中、イルオ(レイの兄)は怪しげな笑みを浮かべていた。

「……よし! これでひとまずは完だ! さあ目覚めるがいい、我が魔兵よ!」

兄が魔導書を広げ魔力を送り込むと、その前にある寢臺に眠っていたが瞳を開いた。紫のおかっぱ頭をしたはむくりと起き上がると、のない冷たい瞳で辺りを見渡し、自分の首や指のきを確かめる。

「おはようございます、マスター。ホムンクルス・パーソナリティ、マジック・アクセラー、いずれも問題ありません。これまでの行データを照合……完了。人格と、同期いたしました」

「うむ! これでお前も新たなを得て生まれ変わったというわけだ! 魔神兵ミシモフ改め、魔兵シリーズNo.1ミシモフよ!」

「はい、マスター」

深紫の髪と瞳をしたは淡々と頷いた。

の正は、巨大な軀をもって以前レイに襲い掛かった魔力でく鎧の兵隊である。魔科學兵の力を発揮したレイにあっさりと敗北し損傷の激しかったその巨兵を、イルオはレイと同様に人間のの姿にして再生させたのだ。ただし彼の場合は人間が素となったレイとは違い完全な魔科學によるホムンクルスである。

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「マスター、私に新たなボディと人格を與えてくださりありがとうございます。ホムンクルス・パーソナリティは謝を示しています」

「よしよし、お前は大事な私の子だからな。今はまだぎこちないが、いずれ人格も學習を続けこなれていくだろう」

「はい。ですがマスター、このボディは以前のものに比べて戦闘能力が大幅に劣化しています。最大馬力で70%減、戦評価でA+からB-への下降です」

「それは仕方がない! 私にとってはそのらしい容姿こそが大事だった! やはり作業にはモチベーションが重要だからな、お前を作る時の私のモチベーションはレイの改造時の次に高かったぞ!」

「それは……賞賛なのでしょうか? マスター」

「無論だ。まあじきに私のも理解できるようになる、ミシモフよ、今はそのに慣れるよう努めるのだ」

「はい、マスター」

ミシモフにしばらくストレッチなどをしておくよう指示し、イルオはミシモフとリンクしている魔導書を見た。それは魔科學兵であるミシモフのの一部でもあるもので、その報も書いてある。彼が言ったようにその能は巨兵のだったころと比べて大幅に下がっていた。

「やはりレイほどの能の魔兵の製造は不可能か……いやまずは自律行可能な魔兵功で十分! 我が魔科學はなおも進化を続け、ゆくゆくは崇高なる目的を達することだろう! はーっはっはっはあ!」

イルオは1人高笑いをする。そんな彼をミシモフは不思議そうに見つめていた。

その時、1羽のカラスが飛んできて、イルオの肩に止まった。よく見ればそのカラスは生ではなく目にのない魔兵。ミシモフとは違い、設定された行基準に沿い魔力でく自だ。

「おお、こいつが戻って來たということは……レイは無事にサブリナ魔法學園にったのだな! うむうむ」

全て計畫通り。イルオはほくそ笑んだ。

「では私も研究を続け、可及的速やかに魔科學兵の量産を実現せねば……! ふっははは、忙しくなるぞお!」

イルオは歓喜の聲を上げ笑っていた。だがふいに笑みを消し――小さく、呟く。

「レイ。せめて、お前だけは……」

暗闇の中、ミシモフがストレッチをする音だけがしばし響く。だがすぐにイルオはまたき出した。

「よおしミシモフ! 悪いがまた寢てくれ、お前のデータを改めてとりたい! そしてお前の仲間をまずは増やし、ゆくゆくはレイと同等の魔兵を生み出していくのだあ!」

「はい、マスター」

ミシモフは律儀に続けていたストレッチをやめた。

「ところでマスター、なぜわざわざ暗い場所で作業するのですか? 魔導書が読みにくいのでは?」

「バカ者、こういうのはムードが大事なのだ! いずれそういうことも理解できるよう努力するのだぞミシモォーッフ!」

「がんばります、マスター」

この世で唯一魔科學をる男、イルオはまた研究に熱意を燃やす。その目的に向かって。

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