《魔法兵にされたので學園にります ~俺は最強の魔兵~》第6話 第5の寮、學園の闇

俺の目の前に下著姿のがいる。

は赤面している。に著ける下著はシンプルなものだが、その存在自は――というより、鏡の中の俺は恥じらいをじている。

鏡の中に映る。銀の髪、整った顔。それが自分の姿であるということにはまだ違和しかなかった。

「ていうか兄貴の奴、下著までわざわざ用意したのか……シンプルに気持ち悪いな……」

「ちょっとレイ? まだー? っていい?」

「あ、ごめん! ま、まだ、まだだから!」

俺は慌てて鏡のそばに置いてあった俺用の制服に手をばした。

サブリナ魔法學園、アクアマリン寮。

俺に與えられた部屋はベッドと機など簡単な家の揃った部屋だった。広くはないが狹くもない、人一人が寢起きするのに十分な広さはある。

「ど、どう……かな」

サブリナ魔法學園の制服――シンプルな布服とミニスカートに、白を基調とした魔師らしいローブを羽織るスタイルの制服にを包んだ俺。それを、セイナがまじまじと見つめる。

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「うん、いいね。似合ってるよ。というかやっぱり今のレイ人だよね、なんでも似合いそう」

「そ、そうか?」

「うん!」

セイナに言われて改めて鏡を見てみたが、鏡の中の銀髪はたしかにサブリナ魔法學園の制服に違和なく溶け込んでいた。というかこの顔は兄貴曰く「趣味」で設定した顔だ、優れた容姿なのはある意味當たり前といえる。弟としては兄の癖の対象にされているようでいい気分ではないが。

「お著替え、終わりましたか?」

セイナに続いてもう1人、アクアマリン寮の寮長のノノ・アンデスが部屋にってきた。三つ編みをした子供のような格ので、本を小脇に抱えて制服のローブの裾を引きずっている。

「ああ、ノノ寮長。どうかな」

「よくお似合いですよ。改めまして、アクアマリン寮を選んでくれて、ありがとうございます。特待生さんがってくれて心強いです」

「こちらこそよろしく頼みます。まだわかんないことだらけで……」

「そうでしょうね、何かあればご遠慮なく私にお尋ねください。といっても、セイナちゃんがいるから私なんか必要ないかも……」

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「そんなことないってノノちゃんっ!」

本で顔を隠そうとしたノノの手をセイナがぱっと握った。

「ノノちゃんはみんなに選ばれて寮長になったんだから、もっと自信もちなよ。ノノちゃんの魔法はほんとすごいんだし」

「わ、わ、私なんて、その……て、手続きとかありますので、私はひとまずこれで……セイナちゃん、あとお願いしますぅ……」

ノノは逃げるように出て行ってしまった。やれやれ、とセイナは苦笑する。

「ノノちゃん、恥ずかしがり屋さんだから、レイに気後れしてるのかもね」

「いい人なのは間違いなさそうだな。やっぱりこの寮を選んでよかった」

「そうそう、寮といえばねレイ。知っておいてほしいことがあるの」

セイナはふいに真剣な目を見せた。何やら怪しい雰囲気だ。

「なんだいったい。危険なことなのか?」

「うん……ちょっとね」

「わかった、聞かせてくれ」

俺はセイナの話に耳を傾ける。彼が切り出したのは、この學園の闇のことだった。

「サブリナ魔法學園には4つの寮があるのはわかったよね。知恵のトパーズ寮、力のルビー寮、魔法のアクアマリン寮、お金のダイヤモンド寮……」

「お金?」

「あ、言ってなかったっけ。ダイヤモンド寮はお金持ち用の寮で、お金さえ払えば誰でもれる寮なの。言っちゃえば學園の収源ね。でもお金持ちのお嬢様はなんだかんだ育ちがよくて、優秀な子も多いんだよ」

「あの、サマリーとかいうお嬢様は?」

「あああの子。一番のお金持ちで悪い子じゃあないんだけど、まあ、ね」

どうやらあの金髪ドリル、威勢と実力が比例しているわけではないらしい。まあなんだかポンコツっぽかったし予想通りといえばそうなのだが。

まあ今はそこはどうでもいいのだ。

「話を戻すよ。サブリナ魔法學園の寮はトパーズ、ルビー、アクアマリン、ダイヤモンド、この4つ。でも実はね……5番目の寮があるの」

「なんだって? でも俺が寮を選ぶときは……」

「正式な寮じゃないの。學園に認められていない、非公認の寮なんだよ」

非公認の寮――々しい響きだ。俺は唾を呑んでセイナの話に聞きった。

「第5の寮、名前はオニキス寮、真っ黒な寶石の寮。學園の地下、今はもう使われない場所に勝手に住んでるの。なんだか學園に対してよくないことを思ってるみたいで、時々問題が起こってる。先生たちもなんとかしようとしてるみたいなんだけど、どうも背後に學外の組織があるみたいで難しくて……オニキス寮の生徒が他の寮の生徒を、半分無理矢理みたいに引き込むこともあるんだって」

黒い寶石、學外の組織、無理矢理な勧。まさしく學園の暗部みたいな話だ。やはりどんな場所でも、學校のように大勢の人間が集まる場所には簡単でない問題が生じるということなのだろう。俺のいた田舎ですらそうだった。

「危険な集団、ってわけじゃないんだけど、変な噂も多いから、レイもとにかく気を付けてね」

「ああ、わかった」

オニキス寮の話はそれで終わった。とその時、部屋を出て行ったノノがひょいと顔を出す。

「セイナちゃん、ちょっといいですか? 相談したいことがあるので、セイナちゃんだけ來てもらっていいかな……」

「え、私だけ? なんで?」

「その、レイちゃんの歓迎會を、サプライズで……あ、な、なんでもないです! とにかくセイナちゃん、來てくださいっ」

「ああわかったわかった。それじゃレイ、ちょっと待っててね」

セイナは笑いながらノノと一緒に出て行った。俺もノノの言葉はばっちり聞いてしまったのだが、一応は聞かなかったことにした。歓迎會、ありがたい話だ。最初は魔法學校、それも子校など異次元すぎて馴染めるか心配だったが、先生も生徒もいい人たちばかりなので安心した。オニキス寮のことも心配ではあるが、セイナもいるしまあなんとかなるだろう――

そう、俺が思っていたその時。

「いーい部屋だ、にゃあ?」

後ろから聲。驚いて振り返ると、いつの間にか窓が開かれており、3階にあるはずのその窓のサッシに、1人の子がまるで貓のように座り込んでいた。ギリギリスカートの中が見えるか見えないかで危ない――などと言っている場合ではない。

黒いおかっぱ頭のその生徒は、まるで俺をするように笑い、琥珀の瞳で俺を見ている。にまとう白いローブには、黒いラインで彩られていた。

「日當たりもいいし、日浴によさげだ。ウチの寮は地下だから暗くて暗くて! ネコキャラとしては辛いトコあるよ、にゃあ? そう思わないかい? 特待生ニャン」

貓のようなその子はそう言ってニヤニヤと笑う。その言葉で俺はこの生徒の素を理解し、そして警戒した。

「オニキス寮の生徒か……」

「當たり! 予習はばっちりかにゃ? 正面から行っても他の寮生に袋叩きにゃもんで、こうしてこっそり會いに來ちゃった、にゃあ」

子は窓サッシから降り、俺と正対する。さほど長の差はなかったが、琥珀の瞳は深く深く、俺を逃がさない。

「早速、俺を勧しに來たのか」

「それも當たり! どう、考えてもらえないか、にゃあ? オニキス寮、みんな歓迎してくれるよ? 暗いけど居心地はいいんだよ」

「悪いけど斷るよ。俺はアクアマリン寮にるって決めてるんだ」

「そう? にゃふふふふ……」

貓生徒はくぐもった笑い聲をあげる。だが次の瞬間、彼は急に俺に顔を近づけた。

「軽く思わない方がいいぞ。オニキス寮が學園から消えない理由、考えてみろ。我らは學園の闇にして真実、貴様らの知らぬ世界を我らは知っている……」

貓を真似た口調をいきなり止めたその聲は低く冷たく、俺は思わず圧倒される。俺を寫し込む瞳に吸い込まれるようで、俺はそこから目を逸らせなかった。

だが。

「待てッ!」

俺は瞬時に後ろを振り向き、そこにいた――目に見えない腕を摑んだ。見た目には完全に明、だが摑んだはたしかにあり、俺はギリギリとその腕を締め上げた。

「姿を見せろ。でなければ折れても知らないぞ」

俺が脅しをかけると、聲が返ってきた。

「わかったわかった! 離してニャ、痛いニャア!」

すると、スウっと俺の摑んでいた腕と共に、その生徒は姿を現した。窓の方の貓とよく似た見た目をした、やはり黒いラインのローブを來た生徒は、摑まれた腕をなんとか離そうともがいていた。

そして俺が摑んだ彼の右手には、ハンカチが握られていた。

「薬の臭いがするな。片方が意味深な言で俺の注意を引き、その間に魔法で明になったもう1人がかに接近して、薬をかがせる作戦だったのか」

「にゃはは、バレちゃあ仕方ないにゃ。でもどうやってわかったんだ? そいつの明化、オニキス寮でも評判高いんだがな」

「……特待生、だからな」

実際、危ないところだった。俺は9割がたこいつらの作戦にはまり、目の前の人間の異常に引きつけられ背後になど気が回っていなかった。だが魔科學兵は背後から接近する『敵意』をじ取り――正確に、捕らえたのだ。

俺が手を離してやると、もう1人の生徒は慌てて逃げ出し、窓の方の生徒と並んだ。並んでみると本當にそっくりで、どうやら2人は姉妹のようだ。

「メア、ひどい目に遭ったニャ~! この子怖いニャ!」

「よしよしミア。失敗しちゃったし、ここは引こうかにゃ」

貓姉妹は手を取り合うと、軽なきで窓のサッシにまた飛び乗った。そして窓からってきた方、メアはまた意味深に俺に微笑む。

「今の行、後悔しないようにな。いずれまた會おう。私はメア・グリズリー……オニキス寮の姉」

対し、後ろから近付いてきた方、ミアは悔し気な表を隠しもしていなかった。

「私はミア・グリズリーだニャ! 特待生、仕返しはしてやるニャ! 貓は執念深いのニャ~!」

そうして姉妹はパッと窓から飛び降りて俺の視界から消えた。その直後、どたばたと足音が響き、セイナが部屋に飛び込んできた。

「レイ、大丈夫!? さっき私を呼びに來たノノちゃん、オニキス寮の子が変してた偽だったの! きっとレイを1人にするために……!」

「ああ、來たよ。なんとか追い払った」

だが思ったよりもオニキス寮の闇は深そうだった。俺は彼たちが去っていった窓を見つめていた。

一方その頃、學園某所。

「ぶっへっくっしょおん! んーん……」

ダイヤモンド寮寮長ユニコ・サマリーは盛大なくしゃみをした。

「サマリー様!」

「大丈夫ですかー!」

「とりあえずのど飴ですー!」

「いりません! これはきっと、レイ・ヴィーンがわたくしのことを話しているのですわ! 友人の前ではああ言いましたが、やはりわたくしとダイヤモンド寮のことを忘れられないに違いありませんわー!」

自信満々に言うサマリーだったが、実際のレイはオニキス寮のことで頭がいっぱいで彼のことは微塵も考えていない。

「ふふふ、待っていなさいレイ・ヴィーン! すぐに迎えに言って差し上げますわ! 『これ』を使って、必ずやダイヤモンド寮に……!」

「でもサマリー様!」

「それ危ないですー!」

「下手すると學園自危ういんじゃ?」

「問題ありませんわ! だってわたくしが使うんですもの、わたくしならばきっと……きゃああああっ!?」

「ああサマリー様あ!」

にぎやかなサマリー一味。

だがこの後、學園は彼たちによって、シャレにならない事態に陥るのだった。

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