《職業魔王にジョブチェンジ~それでも俺は天使です~》×天使が征く⭕まおうさまが征く~偽りの仮面から覗く素顔~
※クレアシオンは四歳児です。
オークに混じって、オークソード、オークメイジなどの上位種がたまに混ざってきていた。オークたちを魔や剣で殺し、近くにオークが居ないのを確認すると九尾化をとき、クレアシオンは窟の壁に背中を預けた。
「はぁ、はぁ……。遅れてたと思うと恐ろしいな……」
窟はオークで溢れており、途切れることなくオークが襲い來るので、彼の力は消耗していた。
窟のオークの數から考えて、集団進化が起こりかけていたことに気がつき、遅れていたら周辺の村は滅びることになっただろう、彼は考えた。
集団進化とは魔の群れが大きくなり、上位種族が生まれるとそれに會わせて群れ全が底上げされる現象を言う。その証拠にオークソードとメイジが混ざっていた。
集団進化が起これば、スタンピードが起こるのは時間の問題だ。そうなれば、力を持たない周辺の村がどうなるか、火を見るより明らかだろう。
『……そうですね』
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――恐ろしいのはご主人様のほうですよ……。
ソフィアは、この狹い窟の中、集団に囲まれても立ち回れるクレアシオンに戦慄していた。オークを何十匹と殺しているのに、疲労はしていても、怪我という怪我をしていないのだ。
逆を言えば、まだいクレアシオンがオークの攻撃をまともにければ、即死はしなくともけなくなり、殺されてしまうので素早くける【九尾】になり、回避を優先しながら、殺しているのだが。
息を整えたクレアシオンはじばらく進んで異変に気づいた。窟は幾つもの部屋に別れていたのだが、ある部屋から、異臭が漂ってきて、何かの鳴き聲と何かを食べる音が響いてきた。何より、
『ご主人様』
「わかってる。……邪気か」
濃な負のエネルギーが漂っていた。その部屋のり口に立ち、
『うっ……!?』
「……」
ソフィアはあまりの景に言葉を詰まらせた。クレアシオンは予想をしていたのか、眉をひそめただけだった。
部屋の中には無慘に捨てられたのが放置されていたのだ。奧には男の死が放置され、その中にモゾモゾとくオークのがいた。恐らく、この場では犯され死ぬまで産ませられ続け、死んだら男の死と一緒にのエサにされていたのだ。この空間には無慘に殺された者たちの怨念が漂っていた。
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『ご主人様?』
クレアシオンは表を戻し、部屋にって行った。すると、
「ぅ……ウォ…アァ……ア……」
彼の足音に反応したのか、部屋の真ん中のが起き上がった。だが、明らかに生きていられるような狀態ではない。
『ア、アンデット……』
よく見ると、周りにある死もき出していた。苦しめられて、凌辱の果てに殺された者、無慘に殺され、エサにされた者。そんな彼らの怨念が彼らをアンデットに変えたのだ。
クレアシオンの周りに魔素が集まり始めた。この部屋に漂っていた黒い邪気とは違う澄んだ黒い風が彼の周りをまわり――
『……えっ!?』
彼が驚いて當然だろう。彼は黙って、近くにいた起き上がろうとしていたのアンデットの首を抱き寄せたのだから。そして――
「絶し全てを怨み、嘆き苦しむ魂よ、死してなお、汝らをこの地につなぎ止めし、邪神の鎖から解き放とう」
どこまでも優しい慈に満ちた聲で紡いでいく。彼の周りをまわっていた魔素は聖屬の優しいに変わり、邪気を祓っていく。
「我、神アリアの天使、クレアシオン=ゼーレ=シュヴァーレンの名の元に……せめて、汝らの來世には安息があらんことを……」
苦しんで死んでいった彼らに向けて祈りを捧げる。
「助けが遅くなってすまない。――――レクイエム……」
彼の聖屬魔によって、窟の天井にの門が開き、魂が神界へと送られていく。彼の名前で送ったのだ。きっと、彼の知り合いの神が何処か平和な世界へと生まれ変わらせてくれるだろう。
――【稱號:慈悲深き者を獲得しました。】――
魂の無くなったから力が抜ける。周りからはドサッと倒れる音が聞こえてきた。彼は抱き寄せていた死を寢かせ、周りにある死と共に火屬魔法で焼いていった。
『……ご主人様』
そのひどく悲しそうな顔のクレアシオンにソフィアがかける言葉が見つけらないでいると、
「ブヒィィイイィイイ!!!」
大きな咆哮が後ろから聞こえてきた。だが、クレアシオンはじっと、魂が消えていった天井を見ていた。
振り向かない彼を見ながら、ふごふごと鼻を鳴らしながらヨダレを垂れ流す一際大きなオーク――――オークリーダー。このオークがこの窟のオークをまとめ、周辺の村を襲っていたオークだ。
オークリーダーは目の前の子供を見て歪んだ笑みを頬に浮かべ、ゆっくりと恐怖を煽るように近づいてくる。後ろにはオークソードや、メイジを率いて……。
魔にとって子供のはらかく筋がないので好まれていた。オークリーダーは久しぶりに子供のが食べられると、【神邪神】に謝をしながら、ゆっくりと邪神の供に負のエネルギーを集めるために近づいてくる。
『ご主人様!!敵……が……ひっ!?』
かないクレアシオンを心配して聲をかけたソフィアが驚きの聲を上げた。
「さあ、……の対価を貰おうか?」
振り向いたクレアシオンの目は紅に染まり、顔に笑顔を浮かべていた。だが、先程までの天使のような慈はなく、全てを凍りつかせるような殺気を放っている。
強烈な風が窟に吹き荒れ、魔素を彼に運んでくる。変換され飽和した魔力は紅い雷となり、辺りの巖を破壊していた。
異変をじたオークソードは恐怖に弾き飛ばされたように剣を構えて走りだし、オークメイジは詠唱を始めた。
「【神創造】」
クレアシオンが唱えると、彼の右手に魔素が集まり、魔法陣を形する。
オークソードの剣が彼の頭上に來る。
スパッと間抜けな音が聞こえ、
「ブヒィィイイイ!?」
オークソードの腕が宙を舞った。だが、切れ口からはは溢れてこないかわりに、煙が出ていた。
「うるさい」
「――――!?」
彼が手にもつものをオークソードのに突きつけると、は焼ききれ聲が出せなくなった。
彼が持つもの、それは炎のように揺らめく刀をもつ剣――――フランベルジュの形をした神だ。
「鬼神化」
彼がそう言うと、髪のが銀に染まったが、目は紅に染まったままだった。
そして、魔法が完仕掛けていたオークメイジの元に駆け寄り、同じようにを焼ききる。フランベルジュの形をした神は熱を宿しているようで、切り口は焼けて出が押さえられているようだ。
「ブヒ、ブ!?」
オークリーダーは混する。順調に行けば自分は王に――――オークキングになっていたはずだと。なのに、これはなんだ?と。だが、
「……祈れ、お前たちの【神邪神】にな……!!そうすれば……慈悲深い俺がまた、會わせてやるよ……俺の腹の中で」
目の前の恐怖は幾ら喚こうともかわらなかった。高笑いをしながら、徐々に近づいてくる。
オークリーダーは逃げ出そうと立ち上がり、走り出そうとするが……ドサッと倒れてしまった。足の覚がない……。恐る恐る自分の足を見ると膝から下がなくなっていた。
じゃり……、じゃり……、じゃり……。後ろを振り返ると額に二本の黒い角を生やし、銀髪の間から紅い瞳をのぞさせるクレアシオンが地面を踏みしめながら近づいてきた。オークリーダーは震えながら邪神に助けをこうがなにも起こらない。
「……逃がすわけ、ないだろ?」
クレアシオンがフランベルジュ型の神をオークリーダーの腹に突き立てた。だが、が一滴もれず傷口が治っていくようにも見える。
「――楽に死ねると思うなよ?」
殘りのオークたちは目の前の死に恐怖し、祈っても助けてくれない【神邪神】に絶し、【神邪神】を怨み、最後には何をしても反応しなくなり、クレアシオンの暴食のアギトがオークの死もも全てクレアシオンのエネルギーに変えた。
――【稱號:慈悲無き者を獲得しました。】――
◆◇◆◇◆
瓦礫の上・・・・にクレアシオンは佇みながら、創造で創った笛を吹いていた。
――そんなに、思い詰めるのはよくないぞ
邪神の妨害で、アリアの元へ帰れず焦っていたクレアシオンに休憩中、イザベラが言った言葉だ。気分転換に楽はいいぞ、と笛を教えてくれた。クレアシオンも今ではそれなりに上達しただろう。
しい笛の音が奏でられる。よく見ると聖屬魔を使っているのか周りがキラキラと輝いていた。彼がが吹いている曲は『手向け』……。その曲は亡き者の冥福を祈る優しい曲調だった。
曲が終わり、クレアシオンは笛から口を離し、
「あいつら……。元気かな……」
離れているアリアとイザベラに會いたくなっていた。この世界に転生してからは、邪神の障壁が有るからか嫌な記憶ばかりを思い出さされていた。それに、彼がアリアと長期間離れてたのは、あの事件の時、僅か二、三年だけだった。もうすぐ、クレアシオンが転生してから、三年半になるのだ。彼はホームシックになりかけていた。
彼は未練を振り払うように頭を振り、再び曲を奏ではじめた。彼の優しい笛の音に引き寄せられたのか、霊が集まり始めている。
キラキラと輝く空間にカラフルなの玉がふわふわと漂い、幻想的な景をつくりだす。
ありがとうございました。
あなたが墮としたのは、天使なクレアシオンですか?
あなたは正直ですね。そんなあなたには墮天使なクレアシオンと魔王なクレアシオンをあげましょう。今ではおまけで暴走するクレアシオンが……。
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