《職業魔王にジョブチェンジ~それでも俺は天使です~》魔王の誓い
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クレアシオンは壁にを預けながらも、なんとか、を起こす事が出來た。しかし、誰がどう見ても、戦える様な狀態ではない。
『ご主人様!!転移で逃げます!!』
「駄目だ!!」
どう考えても、このまま、戦っては勝ち目がない、と判斷したソフィアが転移することを告げるが、怒鳴る様に止められてしまった。
「ですが!!」
「俺の経験上……逃げても狀況は変わらない。……いや、悪化した方が多かった……かな」
そう言って、苦笑いを浮かべている。その姿は全てを諦めた様にも見える。
「死ぬ気ですか!?無茶です!!」
だが、それは間違えだ。
「もがけばもがく程、絡み付く理不盡」
ミノタウロスはもう、目の前まで迫る中、獨白の様に、クレアシオンは言葉を紡いでいく。
「諦めてこのまま、……底に沈んで……いくか?」
これは、クレアシオンが常日頃、自分に問い掛けている――――否、彼が彼で在り続ける為の『誓い』の様なものだ。意識が朦朧としているなか、無意識に口にしている。
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下を向いて、呟く様に何かを言っているクレアシオンの姿を見て、ミノタウロスは嗤う。また、甘な絶が味わえる、と。
邪に屬する魔――魔屬――を含めて魔族は人の死に際に魅せる絶を好む。あと、らかい、特に子供のが好だ。
なぶり殺して喰らう。そう考えながら、ミノタウロスは戦斧を降り下ろした。
「それとも……もがき続けるか?」
しかし、降り下ろされた戦斧はクレアシオンに右手ひとつで逸らされ、彼の隣を抉るだけに終る。
ミノタウロスは苛立たしげに、無駄な足掻きをするな、と睨むが、一瞬、思考停止してしまった。
目の前には餌があるだけだ。そう、自分に言い聞かせても、がく事を拒否して、思考が逆らうべきじゃない、餌は自分だ、と、屈しそうになる。
クレアシオンの瞳が紅いを宿し、【支配者の威圧】と【捕食者の威圧】がほぼ無意識に発していた。魔素が異常なほど集まり、濃淡で彼の背中に三対六枚の翼があるように錯覚する。
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飽和した魔素は紅い魔力に変わり、【暴食のアギト】はゆらゆらとその數を増やしていく。【暴食のアギト】の暴走の前兆だ。
ミノタウロスは濃な殺気に強大な何かを錯覚してじたことのない恐怖をじてしまい、けなくなってしまっていた。
「強で暴食な魔王はそれ理不盡すらも喰らい、糧にしなければならない!!」
紅い雷がミノタウロスを凪ぎ払う。ミノタウロスは本能のまま、全力で後ろに逃げた。だが、間に合わない。戦斧を盾にを守るが、戦斧がし欠け、逃げた勢いと合わさり、かなりの距離を吹き飛ぶ。
ミノタウロスがいた場所には紅い雷を纏う大太刀を振り切ったクレアシオンの姿があった。彼の右手には東洋風の籠手が裝備されている。
いや、籠手は雷屬の強化魔の一種だ。だが、今まで出し惜しみをしていた訳ではない。使えなかったのだ。
反からか、彼の右手からが噴き出している。強化魔をの限界以上に使うとが耐えきれなくなってしまうので、使えないでいた。
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「二度と失わないように……。手放さないように……。いざという時。力が足りませんでした、は許されない。……いや、赦さない!!」
【強の腕】が地面から無數に現れ、ふらつくクレアシオンの四肢を摑み上げ、空中に掲げる。その様子は生け贄を捧げる様であり、また、地獄に引き摺りさる様でもあった。
掲げられた彼の前に數本の【強の腕】が集まり、大きな腕を形作る。
「……4days」
彼が口にするや否や、大きな強の腕は彼のを貫き、何かを探るような作をする。
『――っ!?』
あまりの出來事に、ソフィアは聲にらない悲鳴を上げた。
だが、驚きはそこでは終わらなかった。
彼のを貫いた腕がずぶり、と抜ける。大きな黃金の時計・・・・・・・・を持って……。
強の腕は彼をゆっくりと下ろす。ふらつきながら何とか立っている彼の後ろには強の腕に支えられた時計が刻一刻と時を刻んでいる。
強の腕は歯車を剝き出しにした武骨ながら神聖な雰囲気を放つ時計の針を摑み無理やり針を進める。時計はキギギッと油の切れた様な音を立てながら抵抗するが、強の腕は強引に針を回した。
【愚かな強】――――一週間先までのエネルギーを持ってくることができる。使用後は使った分だけ寢込んでしまう。そう、鑑定に書かれてはいるが、実際にはそんなに優しいではない。寢込むだけなら、『愚かな・・・』なんて言わないだろう。
エネルギー、人によっては生命力とも言う。生命力とは眠る事や食べることでしだけ回復するが、人が一日に作り出す事の出來るエネルギーは決まっており、魔力と違い、スキルでの回復や増量など出來ない。
大袈裟に言うと、の時間経過と共にのみ回復する。つまり、【愚かな強】とは、無理やりの時間を進めて、その分のエネルギーを得ると言うことだ。
無理やりの時間を進めるのだから、の負擔は相當なものになる。それに、愚かな強を一回使えば、エネルギーが切れかかっても追加で使う事は出來ない。
持ってきた日數の間はエネルギーが一切、回復しない。
何もしなくてもエネルギーは消費される。つまり、【愚かな強】を使い、エネルギーがギリギリまでしか殘っていなかった場合。二度と目を覚まさない可能もある。
だが、一時的ではあるが、その効果は絶大だ。
――なぁ、クレアシオン。神でも全ては救えない。何かを捨てるって言う選択肢は必ず何処かで迫られる。
――なら、俺は――――。
「神召喚【レゲナフランメ】!!」
彼がぶと、揺らめく炎の様な剣が現れた。彼が右手で取ると炎が彼を包み込む。それは、優しい暖かな炎。
彼のが流れていた右腕はが止まり、折れ曲がり変していた左腕は時間を巻き戻した様に元に戻り、不規則だった呼吸は規則正しく落ち著いた呼吸に戻った。
「聖天の羽」
彼は回復したのを確認すると、今度は一定時間、回復し続ける魔を重ねて使った。だが、傷を癒す為ではない。
「ブモオオオォォォオオ!!」
時間がかかりすぎたのか、ミノタウロスは勢を立て直し、真っ直ぐと怒り心頭、と言ったじで向かってきていた。今まで、じたこのとない恐怖と傷の痛みにダンジョンの中で強者として振る舞っていたプライドを傷つけられ、怒りに震えているのだろう。
「【雷神武裝】!!」
紅い雷がクレアシオンを包み込み、現れたのは東洋風の鎧をに付けた鬼神。彼の持っていたレゲナフランメは雷に包まれ、大太刀が重なる様に現れた。
先程の紅い雷を纏った大太刀だが、レゲナフランメと同じ様に火炎を纏っている。
【雷神武裝】――――筋力と防力しか上がらない【鬼神化】の為にクレアシオンが編み出した強化系の魔。だが、この魔はただの強化の枠に収まらない。きが遅い鬼神の為に速さに補正があるだけじゃなく、桁違いに筋力と防力、魔力防、等が上がり、全ての攻撃に雷屬が付與される。全ての作が必殺技にまで昇華されるのだ。
だが、転生前は気にしていなかったが、に対する負擔は大きい。先程の回復魔と【レゲナフランメ】はこの為だ。限界を越えた力にが悲鳴を上げ、壊れるが、壊れた端から回復されていく。
「ブモオオォォォオオ!!」
「ハァァアア!!」
正面からの激突。地面が割れ、衝撃が周囲の瓦礫を吹き飛ばす。クレアシオンの腕は衝撃に耐えきれず、折れるが直ぐに回復された。
防いでばかりで勝てる相手ではない。このままでは、じり貧なのは目に見えている。
なら、捨てるしか無いだろう。守りを。
打ち合う度にクレアシオンの腕は壊れ、急所以外の攻撃は避けないため、傷が増えていく。
速さはミノタウロスに分があり、力は互角、技はクレアシオンに分があるが、格が違いすぎる。
「ブモォ!!」
ミノタウロスは格を生かし、上から畳み掛ける様に戦斧を振りかざす。
傷が増える速さが回復する速さを完全に上回っている。
「――――雷鳴よ、我が支配の下に轟け」
だが、クレアシオンの闘志は消えない。
「天空を駆ける雷よ、一條のとなりて我が威を示せ」
クレアシオンの下に魔素が集まり、紅い雷が駆け巡る。それはまさに――――雷雲を統べる雷神。
ミノタウロスの戦斧を下から上にかち上げ、大太刀を脳天に叩き込む。
「俺を食おうなんて、千年早い!ローストビーフにしてやるよ!!――――【紅月】!!」
ミノタウロスは戦斧をで何とか防ぐことに功するが、地面がすり鉢狀に凹む。
円い紅い魔法陣がミノタウロスとクレアシオンの下に現れ、広がっていく。
その様子は、夜空に妖しく輝く月のようだ。輝きが増し、紅い極が天へとびる。
地面は砕かれ、収束していた雷は解き放たる。解き放たれた雷はミノタウロスを焼き殺し、天井を崩壊させた。
瓦礫は々に消し飛び、丸く開いた天井からは太のが差し込み、ボロボロになったクレアシオンを暖かく照らす。【雷神武裝】はもう解かれていた。いや、維持出來なくなり、消えたのだろう。
彼の右手には、彼の勝利を祝う様にレゲナフランメが暖かく彼を照らしている。
――【稱號:無名な英雄を取得しました】――
英雄とは、困難と試練の中より生まれる。
無名なのは目撃者のいないなか偉業を達したからだろう。
『ご主人様!!やりましたね!!』
ソフィアがクレアシオンの勝利を祝った時、それは起こってしまった。いや、これは自然なことだろう。
余波で八階層も分厚い天井を突き破ったのだ。ならば、諸に食らった床はどうなるだろうか?
『ご、ご主人様!?』
崩れるのは當たり前の事だ。
崩壊した床と見事な火加減で焼かれたミノタウロスと共にクレアシオンは落ちて行った。
そう、ダンジョンボスの階層に――。
ありがとうございました。
天使が墮ちていく……理的に。(´・ω・`)
やったねクレアシオン!!ダンジョンボスに奇襲が功したよ!!
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