《職業魔王にジョブチェンジ~それでも俺は天使です~》傲慢な道化師
遅くなってすみません。
授業とテストとか、馴れない一人暮らしで書く時間がありませんでした。
あと、五月病でした。……いや、忙しかったんですよ?ほんとですよ。黒水晶ウソツカナイ。
拝啓、お父様。
「う……うーん……」
「お、起きたか?」
斬られたと思い、目が覚めるとそこには……
「大丈夫ですか?主が失禮をしました」
「え、ええ、大丈夫?よ」
心配そうに私の顔を覗き込む霊種のの子、たぶん、変異種かしら?と。
「そんなことより、食べるか?」
「ご主人様!!」
無慘に荒らされた私の育てた花壇と無數の腕が忙しなくき、この世のとは思えないほどのしい料理の數々を作り上げ、その料理を凄い勢いで食べている男の子。
どういう狀況かしら?
◆◇◆◇◆
クレアシオンがドリアードに刀を振るってから、しばらくし、ドリアードが目を覚ました。変わり果てたダンジョンボスの部屋――――主に荒らされた植達をみて、目を白黒させている。土はひっくり返され、料理の香り付けに使う香草や食べられる植が無くなり、毒草や本來食べられない植ですら、こそぎ食べられていたからだ。
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だが、何もかも魔王によって滅ぼされたかの様に思えたが、まだ希はあった。クレアシオンが落ちてきた時に一緒に落ちてきた土砂に潰された場所は耕された後があり、早いものは、もう芽生えている。
「起きたか?」
目を白黒させているドリアードに向け、クレアシオンは料理を方張りながら訊ねた。まだ、狀況が飲み込めないのか、しぼーっとしている。
その間にも、強の腕が料理を次々と作り上げ、クレアシオンが次々と食べる、という一種の流れ作業が展開されていた。
一、あの小さなの何処に収まっているのかしら?と、ドリアードが意味の解らな狀況から現実逃避をしていた。
今日、彼のに起こった事は、突然、轟音と共に、崩れることのない筈の家の天井が崩壊し、黒煙を上げる牛ミノタウロスと男齢5歳程の子供が侵し落ちてきて、いきなり、料理を作りはじめて、食べさせられたと思えば、包丁刀で斬られたのだ。起きると家ダンジョンボスの部屋が荒らされていた。
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災難としか言い様がないだろう。
「大丈夫ですか?主が失禮をしました」
それを察してか、ソフィアが頭を下げる。クレアシオンと出會って日が淺い彼はクレアシオンの突飛な行が読めず、その行に頭を悩ませていた。
そんな彼は、同じ被害者であるこのドリアードが同志の様に思えたのだろう。彼が向ける視線には同的なものが含まれていた。
だが、諦めろ。創造神や付き合いの永いアリアと師匠、鬼狐結前から彼と友関係のある魔も諦めた。『クレアシオンの暴走は自然災害だ。食い止める事は出來ない。嵐が過ぎるのをじっと待つんだ。我々に出來ることは避難だけだ。なに、人的被害は出ない。……ただ、神界の機能が壊滅するだけだ……』と。
「え、ええ、大丈夫?よ」
ソフィアは言葉を詰まらせながら、なんとかに返事をしたドリアードを見て安堵する。いきなり、斬られた彼を見て、外傷が無くても心配だったのだ。
そこに、
「そんなことより、食べるか?」
ずいっと、料理が盛られた皿を差し出して呑気にクレアシオンが訊ねた。
「ご主人様!!」
ソフィアがクレアシオンを怒るのを見て、ドリアードの顔に苦笑いが浮かぶ。だが、ここである異変に気がついた。
「……ウソ。神様でも出來ないはず……」
そう、あり得ないことだった。邪気は魂を汚染し、変質してしまったら、神でもどうすることもできないと言われていたからだ。だから、諦めかけてしまっていたのだ。
ドリアードは自信のをペタペタとりながら、言葉を溢す。邪気により、痣のように所々、変していたは何事も無かったかように元通りに戻っていたのだ。
涙が溢れてくる。自分が自分では無くなっていくという言葉にすることの出來ない程の恐怖から開放されたのだ。邪気がしずつゆっくりとを――――魂を侵食して自分が別の『何か』に変わってしまう何も出來ず、ただ、一人孤獨に恐怖と戦う時間は永遠にもじられた程だ。
「……怖かっただろ?我慢してた分、思いっきり泣け」
俯いて嗚咽を鳴らしているドリアードの頭を雑にガシガシとクレアシオンがなでる。長の低い彼はそのままでは屆かないので、土屬魔で足場を作り、一杯背びをしてなでている。ぷるぷるとつま先立ちをしながら、優しくなでた。
「ええ……。もう、……助からないって……自分を失って……誰かを傷つけるんじゃないかって……」
「……ああ、怖いよな。自分が消えていく覚は……自分が大切な人を傷つけるのは……」
ゆっくりと、自我が溶かされ、消えていく恐怖は実際にそうなってしまった者にしか解らない。クレアシオンの場合はアリア達が命懸けで止めてくれたのと、完全に墮ちていなかったことから、助かった。否、助けられた。
それに、クレアシオンは一度全ての記憶を失っている。何もない白い空間。時の流もじられない何もないただ何処までも白い空間の中を漂っていた。真っ白な空間で、方角も時間も……自分さえも失うような場所だ。記憶もも何もかも真っ白に塗り潰されるような――――。
「……大丈夫?」
アリアと出會う前の事を思い出していたクレアシオンの顔をドリアードが心配して覗き込んでいた。急にクレアシオンの顔から表が消えたため、心配したのだ。
「ん?……ああ、大丈夫だ。まぁ、これでも食べろ。食べるってことは生きることだ。お前が足掻き続けて勝ち取ったものだ」
クレアシオンはそう言って、満面の笑みでビーフシチュウを差し出した。
「ええ、頂くわ」
ドリアードはクレアシオンからビーフシチュウをけ取った。
「わかったら、もう俺の前であんな顔をするな」
「飯が不味くなるから……かしら?」
「ああ」
「ふふ、傲慢ね」
ドリアードは涙を流した。だが、それは先程までの悲痛な涙ではない。花が咲いたような笑顔で流れた涙だった。
クレアシオンはおどけて見せ、タップを踏んで一回転すると、赤を基調とした服裝に仮面をつけた格好にはや著替えしていた。
「ああ、俺は傲慢な道化師だからな」
片手で仮面をずらし、ペロッと舌を出して見せ、恭しく一禮をする。
いまだ、彼の記憶はまだ戻って來ていない。彼が何者だったか。なぜ、あの場所にいたのか、一切が不明なままだ。
ただ。記憶を失うときにじた恐怖のみ今でも殘っている。
◆◇◆◇◆
「薬草ありがとな。そろそろ、帰るわ」
そう言って、クレアシオンは皿を片付けていく。ショートカットダンジョン崩落出來て、予定より一日早いとはいえ、今この時も、エレノアは熱にうなされている。あまりゆっくりとしてられない。
「そ、そうよね。また、來てくれるかしら?私はリーフよ」
ドリアードは、し寂しげに訪ねてきた。このダンジョンが邪気で溢れてからは誰もこのダンジョンにこなかった。正確にはミノタウロスに殺されて來れなかったのだろう。
長い間、一人で苦しんでいたため、再び一人になるのが嫌だった。けれど、引き留めることは出來ない。そんな事をしてしまったら、の子が死んでしまう。
そんな葛藤のなか出たのが、『また、來てくれるかしら?』っと言う言葉だ。
「俺はクレア――――クレアって呼んでくれ。また來る」
そんな彼の心境を理解して、クレアシオンはまた來ると約束をした。
ドリアードのは地面にを張っている。ここからく事は出來ない。かそうとしたら、今のクレアシオンでは力が足りないだろう。
似たような事を彼は思い出してし遠い目をした。
昔、アリアがクレアシオンに一つの種をくれた事があった。心鏡華という、育てた者の心を映すかのように育てた者の心理狀態で花のや形が変わる珍しい花だ。
しでも、心を癒してほしい、と。心から笑う事が出來なくなっていた彼に渡したのだ。
その種をクレアシオンは一生懸命に育てた。まるで、自分の無くしたものを與えるように。大事に育て上げた。
結果、種は芽吹き――――
――――神界は半壊した。魔化したのだ。クレアシオンの強大な魔力に當てられ、クレアシオンの強いに當てられ――――魔化した。
その魔は神界全土にを深く張り巡らし、神界のほぼ全ての建が崩壊した。
その魔は竜の形を模した植で、焼き払っても直ぐに再生した。竜の形をしていても、正は植だ。蔦で出來た竜が次々と地中から現れ、幸、神や天使には被害が無かったが、建が崩壊し、仕事が出來なくなり神々は頭を抱えた。神界の機能がほぼ壊滅していたのだ。
その後、クレアシオン率いる、魔達によって、その植型の魔は植え木鉢に移し替えられ、クレアシオンに【ヘルツ】と名付けられた。今では、【シュヴァレア】にを張り巡らし、【鬼狐】の一員として防衛戦力として重寶されている。
因みに、ヘルツが上木鉢にった狀態での姿は竜の草で編まれたぬいぐるみの様な姿で、イザベラが部屋に飾ろうとしていた。
鬼狐の魔がクレアシオンを慕ってるのはクレアシオンの人柄とか圧倒的な強さとかがあるけど、苦しみを一番知っているからだと思う。理解してくれるとかじゃなくて、同じ苦しみを知っている、或いはそれ以上の苦しみを知っているから。
々な苦しみや悲しみを知っている人ほど、他人に優しく出來ると思う。
ただ、クレアシオンがまだ子供なのが悔やまれる……。どんな事をしても、カッコつかない……。
神界を潰すことに置いてはクレアシオンの右に出る者はいない。神界に被害を與えた事件ランキングの1位から10位がクレアシオンが起こした事件で殿堂してます。神界に被害を與えた個人の部ではぶっちぎりの一位。
過去、神界に攻め込んできた邪神たちとの一番大きな戦爭でも、神界の二割弱の被害にも関わらず、クレアシオンはよく神界を半壊させていたりします。(クレアシオンの場合は死傷者なし)
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