《職業魔王にジョブチェンジ~それでも俺は天使です~》お伽噺
「ここまでくれば、もう大丈夫です」
突然、大量に現れた敵対反応にソフィアはクレアシオンとリーフを連れて、村の上空に転移してきた。あの量の相手をけないクレアシオンを庇いながら戦うのは困難な上に現れたのはほとんどが上位悪魔だったのだ。これには驚き、急いで離れることにしたのだ。
「なんだったのでしょうか……」
青い顔をしながら、ソフィアは疑問を口にする。ひと段落したと思った瞬間を狙ったような出來事だった。
「わからないわ。……もしかして、クレア様の魔力をたどってきたのかしら?ほら、ダンジョンを落ちてきた時の」
リーフの予想を聞き、ソフィアは頭が痛い、と言うように端正な眉を歪め、頭を押さえた。あの時か、と。実際に悪魔は突然現れた強大な魔力の元を調べに來ていたのだ。驚異を排除するために――――
「それより、早くクレア様を家に返しましょう。ご両親も心配しているわ」
「それもそうですね」
過ぎたことを言っていてもしょうがないと、ソフィアはクレアシオンを村で唯一明かりが燈っている家の玄関に転移させた。すると、音に気がついたのか、一人の男が出てきて、傷だらけのクレアシオンを見てクレアシオンに呼びかけている。
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何も反応しないクレアシオンを見て慌て、玄関に向かって、何かをんだかと思うと玄関から、一人の男と老人が現れた、何事かと出てきた男と老人は傷だらけのクレアシオンを見て、駆け寄り、呼びかけている。そして、呼びかけに反応しないのを見るや、急いで、家に連れ込んだ。
「傷を直さなくて良かったのかしら?私の回復魔で直せたわよ」
一連の流れを見守っていたリーフは疑問を口にした。クレアシオンの傷はソフィアが致命傷など大きな傷は直したのだが、それ以外の傷は一切直さず、そのは傷だらけだったのだ。
「いえ、あれでいいのです」
そう言い切るソフィアにリーフは首をかしげた。魔力切れだと思っていたのだが、どうやら、考えのあった行だったようだ。
「あんな、小さな子供が無傷で帰ってきたら、それこそ怪しまれますから」
その答えに、リーフはああ、と納得した。一人でダンジョンにって來る時點でおかしいが、無傷で帰ってきたら、それこそ怪しくなる。そうなれば、両親がどう思っていても、村人の中で、クレアシオンを鑑定しようという者が現れてくる可能があった。そうなってしまえば、クレアシオンは拒否することができず、正がバレてしまう可能がある。
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その可能をしでも減らすために、あえて、傷だらけのクレアシオンを玄関に転移させたのだ。
「リーフさん、お父様に聞いたご主人様の話をお聞きしてもよろしいですか?」
ソフィアはずっと気になっていた転生前のクレアシオンのことを聞くため、話を切り出した。
「ええ、いいわよ。でも、ここで話すのは落ち著かないわ」
空中に立つのが初めてのリーフは落ち著かずにずっとそわそわしていた。ずっと地面に縛り付けられていて、空から見る景は新鮮で興味が盡きないが、そろそろ、地面がしくなってきた。
「わかりました。近くの森に転移します」
ソフィアがそう言った瞬間、景が一転した。月明かりが照らす森の中に転移したのだ。森の一部が捲れ上がり、クレーターができている。ここはクレアシオンがヴェーグを召喚したことのある森だった。
「ここなら、落ち著いて話せるわね」
リーフは森を見回してから、ホッと息をついた。
「お願いします」
リーフはごほんっとわざとらしい咳払いを一つしてから、
「昔々――――」
と、子供に読み聞かせるように、き通った優しい聲で、語を紡ぎ始めた。
◆◇◆◇◆
昔々、神界の在るところに、神に拾われた魂がありました。魂は神を守護する天使となり、仕えることとなりました。
その天使は神を守るため、武神と魔神の夫婦に弟子りしました。朝から晩まで武神と打ち合い、その合間に魔神から魔法と魔を學びました。
天使はとても才能があるとは言えませんでしたが、それでも大剣を振るい続け、脳に呪文を叩き込み続けました。まるで、とりつかれたかの様に力を求め続けました。
そんなある日、ある出來事が起こりました。師匠である武神と武者修行で夜営を行った際、天使が料理をしたのですが、その料理がとても味しく、
「お前、武向いてないから、料理人になれ」
と、師匠である武神に言われました。この時、軍隊バリバリの洗ーー教育をけていた天使は、武神の言葉を疑わず、料理人にりました。
そして、五十年後、天使は神界でも有名な料理人とりました。
「シェフ!味見を!」
「――焼きが甘い!!やり直せ!!」
「ハッ!」
「今日は、大事な日だ!!俺たちで神界一の店に――――って違う!!」
天使は目指していたものと違うということについに気がついたのです。おそらく、最古のノリツッコミでしょう。五十年越しのツッコミでした。
天使は引き止められましたが、止めに來るスッタフの手を振り払い、副シェフに店を任せ、再び、武の扉を叩きました。話が違う、と。
こうして、天使の辛く厳しい修行が再び始まりました。手足が可笑しな方向に曲がったり、首の骨が折れるぐらいの怪我は日常茶飯事で、たまに神の回復魔法でも數日はけるようにならない怪我をしてしまっても、天使は魔を學び、研究し、がかない分、頭を酷使しました。
その決して揺るぐことのない力への執念とも呼べる熱意に心を打たれた武神は他の武神に話、その日から、天使の學ぶ武の種類と魔の系統、師匠が増えました。
天使は寢る時間を惜しみ、師匠からの無理難題とも言えるような課題をこなしていきました。――――を休める時間をしでも確保するために、必死でこなしました。
しかし、課題をこなせばこなすほど、課題が増え、師匠が増えていきました。その膨大な技や知識を天使はにつけましたが、彼の師匠たちの彼への印象は才能はないが、はあって、教えがいがある、というものでした。
その後、天使の階級は上がりましたが、何百年と天使の努力は報われることはありませんでした。それどころか、最上級神直々に教わっていることで、他の天使から嫌がらせをけるほどでした。
その天使が武神と魔神の夫婦に弟子りしてから、二千と數百年経ち、その時が來ました。數え切れない武と魔の技が天使の中で化學反応が起きたのです。これまでの努力の実がされ、芳醇なワインになるように、これまでの経験が混ざり合ったのでしょう。教えられた技を次々に取り込み、強くなりだしたのです。
それに焦ったのは他の神たちでした。最上位天使だった者が自分たち神の領域に突然踏みれてきたように見えたのでしょう。彼の努力の過程を見ていない者達からすると、急に現れた天使が急激に力をつけてきたように映ったのでしょう。
自分たちの地位が脅かされる、と考えた一部の神々はその天使の才能が將來、神界を脅かす驚異になると判斷しました。神々はその芽を摘むために天使を死ぬ危険のある仕事に向かわせ、事故として消すことにしました。
しかし、後にこの判斷をした神々は後悔することとなりました。天使はその仕事である、魔王殺しや邪神殺しを傷だらけになりながらも、なんとかこなしてきたのです。更に誤算が有ったとするならば、その天使は実戦の経験がないから、すぐ魔王の軍勢に飲まれ、殺されると考えていたことです。
確かに、天使は実戦の経験がありませんでした。しかし、それが逆に足りないものを補うこととなったのです。実戦で技を磨き、一人で挑んだことにより、大量の経験値を得て、レベルを上げ、天使になってから三千年と五百年、天使は遂に単純な力や技では適わなくてもで戦い方次第で最上級神に並ぶ力を手にれ、神界になくてはならない戦力の一つになりました。
出る杭は打たれると言いますが、諦めるということを知らない杭を打ち続けた神々は崩すことのできない塔を知らず知らずのうちに造り上げていたのです。
◆◇◆◇◆
リーフが話し終わったあと、ソフィアは息を吐いてから、し考える仕草をしてから、
「なんだか、ご主人様が無茶苦茶な訳が分かった気がします」
その言葉に、リーフは苦笑いしながら言った。
「実は、この話には続きがあるのよ。――――悲しい勝手な神々の思に振り回された天使の語が……」
ありがとうございました。
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