「へー！ここがエギルが住んでいた街なんだ！でっかいねー！」

ミアは遠くに見える街を見つけはしゃぐ。

今ミアはフードを被り尾を服の中は隠している。

昔のこの街は獣人を迫害していた。 

人獣はわからないが一様フードを被らせている。

「正直俺も驚いてるな。あの街ってこんな大きかったのか。あ、城まであるじゃないか」

「あるに決まってるさ。ここは街じゃなくて王都、だからね」

ランスが指を一本立てておちょくるようにウインクする。

「ランスって本當に男なの？仕草から見てもの子にしか見えないんだけど」

「マスターは正真正銘男じゃよ。先程用を足しに行った時に見たのでな」

「ちょっとアドラちゃん何見てんのさ！」

「おい、そんなことしてるうちにもう目の前まで來てるぞ。門番いるけど普通にれるのか？」

「ああ、アドラちゃんとミアちゃんは僕の連れってことにすれば容姿的にいけると思うけど…エギル君はねぇ〜。あ、自分の分言えばワンチャンいけるんじゃないかな？」

まあ、確かに男爵家の息子がを侍らすのはあると思うから行けるか。

俺は…それしか方法ないよなぁ

「わかった。駄目元でやってみよう」

「ルーカス侯爵家って王都の人なら誰でも知ってるから行けると思うけどね」

俺たちは歩き門番が守っている門までつくと案の定門番に止められる。

「申し訳ないですが分を証明できるもの又は分を証明してくれる方はおられますか？」

「はい、分証だよ」

ランスは懐からカードを一枚取り出し門番は見せる。

「…はい。確認いたしました。確かに數時間前、外出しておられますね。ランス様後ろの方々は？」

「この2人のは僕の連れだよ」

「外出時は1人と記述されておられますが？」

「え？…えーと、あーもうめんどくさいな！君、固すぎるよ！もっとラフに行こうよ！ラフに！」

ランスはイライラし出したのか門番にいちゃもんをつけ出す。

いやいや今の反応は門番が正解だろ。

「はぁ…の方々はわかりましたがその、そちらの男は？」

「エギル君のことは本人から聞いたほうが早いよ」

ほらエギル君。とランスが俺の後ろに回り込み俺の背中を押してくる。

…めんどくさいな。

まあ仕方ない、俺はできる限り綺麗にお辭儀をする。

「どうも、ルーカス家のエギル・ルーカスと申します。數年前から離れておりただいま帰宅したです」

俺の言葉を聞くと門番は笑い出す。

「わっはは！君がルーカス侯爵家の息子様と？」

「はぁ」

「わっはは！これは傑作だ！いいか？よく聞けよ、グラド様にシエル様はなお前みたいな黒髪ではないんだよ！このホラ吹きが！お前なんか絶対中はさせんぞ！」

門番は明らかに先程とは違う態度で俺のことを罵倒してくる。

まあ信じないよな、母さんと親父もこんな髪じゃないもんな。

俺が困っていると門番の後ろから聞き覚えのある聲が聞こえて來た。

「どうした？なんか騒がしいな何かあったのか？」

「はっ！グラド様！丁度良いところに來てくださいました！こちらのクソガキがグラド様の息子などと名乗っておりまして！」

「なんだと？…ほう、この俺が門番を手伝いに來た日にそのようなものが來るとは…そいつは運がないな。どれ顔を拝んでやるか」

その聲はだんだんと近づいて來て門から顔を出す。

「…お久しぶりですね。おや…父さん」

「おい今親父って言いかけただろ？「言ってません」…そうか。…ん？あれ？このやり取り…ギルー！」

親父は俺の顔を見ること數秒、俺だと気づくと同時に俺に飛び込んで來た。

俺はそれを避ける。

親父は地面に顔でスライディングしてっていく。

「おいギル！お父さんの抱擁を避けるなんて酷いじゃないか！」

「俺はもう14ですよ。避けるのが當たり前です」

「そうか。會わない間にもうすでに反抗期になっていたのか…お父さんは悲しいよ。パパって言ってもらえなかったくらい悲しいよ」

「いつまで引きずってるんですか。はぁ、全く」

「え、えーと。グ、グラド様どうされたのです？」

門番は何が起きているのかわからずテンパっている。

親父は外だと派なイメージでやってたからな突然格が変わって驚いているのだろう…こっちが素だが

「あ…オホッン！あー、君。この子は正真正銘俺の息子だ。中へれても良いかな？」

「え！？ほ、本當にご子息様なのですか！？…こ、これは大変失禮致しました！」

門番は土下座をして地面に額を叩きつける。

「ちょっ！そんな謝らなくていいですよ！俺だって自分の髪のが違うことが悪かったんですから！」

「いえ！それでも見抜けなかった私が悪いのです！どうか！どうか何なりと処罰を！」

んー困ったな。

俺が如何すればいいか悩む。

…そうだ

「じゃあこうしましょう。この2人を分の証明なしで通してください。そうすれば俺も嬉しいですし門番さんの職務放棄という罰になるでしょう？」

「つ、つまり私はクビと…」

「そういうことじゃないですよ。ただこの一回だけを見逃してくださいということです」

門番はこれを承諾し4人とも中へることができた。

「ほう、ここが今の世の人族の國か。中々居心地の良さそうなところではないか」

「ほんとだねー！あ！あそこに騎士が歩いてるよ！騎士！」

アドラは心したように息を吐き王都の中を見渡す。

方やミアは騎士を見てはしゃいでいる。

「それにしてもエギル君、なかなか酷いこと言うもんだね〜」

「は？なんでだよ」

「門番って中々厳しい職業だからね。一度でもミスしたらクビって話だよ」

ランスが悪戯っぽく首を掻っ切る真似をして舌を出す。

「何、安心しろ。あの門番は俺がクビにしないようにしてやるからな」

親父が俺の頭をでようとしながら話す。

もちろん俺はその手を避ける。

「あ…まあそのなんだ。よく帰って來たなギル」

避けられたことをなかったことにするように親父が俺に話しかける。

「はい、ただいま帰りましたよ。父さん」

「相変わらずギルは堅苦しいな」

「そうだよ。いつもみたいに話しなよエギル」

「なんだよミア。どう喋ろうが俺の勝手だろ」

「ん？その子は…もしかしてウォンの子か？」

ミアはフードの下で目を見開き驚く。

「え？わかったんですか？」

「ああ、目がそっくりだからな。そうだウォンはどうしているんだ？里に殘ったのか？」

親父がミアにそう言うとミアの顔はだんだんと曇っていく。

親父もそれに気づき

「…どうしたんだ？」

「お父さんは行方不明でお母さんは…殺されました…」

それを聞くと親父は驚きもせずしばらく黙り込む。

「…嫌なことを思い出させてしまったか。この話はまた今度にしよう。さあ、家が見えたぞ」

親父が目の前を指差す。

そこにはかつて俺が住んでいたこの世界で初めて暮らした思い出の家が建っていた。

「じゃあ僕の家はこっちだからまた今度ね〜」

「エギル、ミアよ。また今度會おうではないか」

ランスはそう言うとアドラと一緒に反対方向へ歩いて行った。

「じゃあ俺たちも家に帰ろうかギル」

「はい…あれ？ミアどうしたんだ？」

俺は一向に歩き出そうとしないミアを見る。

「その、家族でもない私なんかが行ってもいいのかなって」

「何言ってんだよ。ミアも家族だろ」

「え？」

「ほら、めんどくさいこと言ってないでいくぞ」

俺はミアの手を取り無理やり歩かせる。

「ほー、なるほど…ミアちゃん、これからギルをよろしく頼むな」

「何言ってるんですか父さん」

「へ？…」

親父の言葉を理解できずにミアはキョトンとする。

しかししすると意味を理解し顔を赤くして手をワタワタと振る。

「…！？？そ、そんないきなり言われたら！…でもエギルのお父さんが承諾してくれたんだから、い、いい良いってことだよね？…え、えへへ〜」

「何変な笑みを浮かべてるんだよ。行くぞ」

「うん！」

なんかミアの手を握る力が強くなった気がする。

親父が家のドアを開く。

「シエル、帰ったぞ！」

家の奧から足音が聞こえる。

「あなたおかえりなさ……ギル？」

「母さん」

「ギル…大きくなっちゃって」

母さんは俺の元へ歩いてくると俺を抱きしめた。

「おかえりなさいギル」

「…ただいま母さん」

こうして俺は家族と再び會うことができた。