魔剣本を構えたのは良いものの、正直素手で潰したい気持ちがいっぱいだった。しかし、この世界に生を得てから自分の本當の格が分かった気がする。生前の俺は自分らしさを縛り、傷付け、閉じ込めていた事が今改めて思わされた。そんな俺によく？聲を掛けてくれたクラス委員長が、俺によく言っていた事がある。

『織界君って、よくに飢えている目をしているよね』

はっきりそう言われた。その時はよく意味を理解していなかったが、今なら分かる気がする。自分の質も、自分の欠點も、自分のも。俺はいつのまにか自分をしていたつもりでいた。しかし、それはただ自分で自分の皮を作って被っていたにすぎなかった。あの聖剣が言っていたけれるものは、俺が無意識に閉じ込めた自分だったのか。

「ハハッ、こんな展開、早く來ていいわけないだろう……空気読めよ………！」

俺は一直線に踏み込んだ。〈強化〉と〈思考加速〉をその瞬間に使い、斬り込む。

斬る時、俺がじるのは快と飢。他人から見れば今の俺の姿は、王都を守ろうとしている1人の人間だろう。

「もっと……もっとがしい！」

だが、見返りを求めない完璧な善人なんて存在しない。俺はただ、この魔のを浴びたい。その一心で斬る。

青い返りを浴びる。外骨格を砕くがする。蜘蛛たちの悲鳴が耳を占領する。心地いい………

「クッ！」

噛まれた。毒を流し込まれた。がし痺れる。

「麻痺系の毒は変換しても殘るのか……怠い………」

噛まれた痛みで、俺は冷靜になれた。それまで俺は結構暴れていたらしく、蜘蛛の軍勢は殘り大凡おおよそ2割殘っていた。更に観察を続けていると、人影が見えた。それは蜘蛛の最後尾にいて、とてもしいヒトだった。だが、それは更に奧を見ると人ではない事が分かってしまった。

それは他の蜘蛛の魔よりも大きく人と同じぐらいの大きさで、何故か畏れのが湧いてくる。そして知った。人影だったは人だった。しかしそれは生命が宿っておらず、のあちらこちらも腐敗していた。しかも糸で吊るされていたのだ。

その糸の先には黒い蜘蛛だった。そしてその特徴は俺が知っているものと完全に一致した。アレは理解してはならない。アレは魔として存在していると思わなければ狂気が俺を支配してしまう。

「黒檀ので人ほどの大きさの蜘蛛。多數の昆蟲のに丸太ほどの大きさの腳。そして真紅の目……ハハッ、本當に存在したのか…………」

その瞬間、甲高い聲が周囲に響いたかと思うと、殘りの2割ほどの蜘蛛が一斉に俺に目掛けて襲い掛かってきた。

「邪魔だ！」

俺は飛んできた〈音響砲ハウリング〉で一掃する。しかし、咄嗟に発したようなじだったのでし殘してしまった。

「〈彼岸花〉！」

魔剣を縦に振り、周囲の蜘蛛の背中を同時に斬る。そして殘るはあの蜘蛛だけになった。

「いやー本當に実在するとは思わなかったよ。流石は異世界だな」

正直、興が収まらない。かの有名な神話に登場する架空のはずの神。谷に巣を張る幽閉された蜘蛛。一説ではその巣が完したら世界に終焉が訪れるとも言われている。

でも、負ける気がしない。返りを浴び続けてたからの闘志がなんかこう、燃え上がったのかな？

「神ってどの位の強さなんだろう……」

そんな事を考えていると、背後からキリカとアルガンスの聲が聞こえた。

「ケイト様！その魔だけは相手してはなりません！」

「そうだ！アレは人類が太刀打ちできるものではない！だから早く馬車に戻ってくれ！」

人類？あ、そう言えばアルガンスには正をを言っていなかったけ。ま、キリカも相手をしてはいけないって言っていたし、どの種族も太刀打ちでにないのか。よし、なら戦おう！てか、から壊せば行ける気がする。人技じゃないけど。

「何とかなりそうだから大丈夫ー！」

サナ、すまないがしの間代わってくれ。お前も出來るんだろう？

俺は突撃しながら〈実化〉を解く、それと同時にサナが〈実化〉を使用し、魔剣を口の中に投げれる。

「後できちんと手れしてねっ」

そしてサナも〈実化〉を解いた。二度手間な方法だと思うがこれにはちゃんと意味がある。あの魔には神を持っていると言う事は、知識があると言う事で貓騙しとかが有効だと思ったからだ。それと最近知ったのが、〈実化〉にはし制限があって、一つの魂での再発リキャストがあり、俺はその時間を短させるために投げずに魔剣に戻ったのだ。

案の定あの魔は知があり、一瞬だけ怯んでくれた。その後、綺麗に回転して弧を描く魔剣を飲み込んでくれた。

「への侵完了っと。さて、暴れるか」

〈袈裟斬り三段〉を使用し胃袋から出する。あ、そうそう〈袈裟斬り三段〉は最近、丸太とかで練習してたらいつの間にか変化していたスキルだ。はThe蜘蛛みたいな作りで、チラチラと昆蟲のが混ざっている部分が見える。こんな事を知って意味が無いって思っていたけど、ありがとう黒歴史製造期の自分……

それにしても不思議な空間だ。普通はこう言うところはや々な細胞で詰まっているのに歩けるって……

「確かこの辺りも大事なだよねー」

斬る。歩いては斬る、歩いては斬る……地味に楽しい……………

「ん？何だろうあれ」

歩き回っていたら、人の赤子くらいの大きさの紫の球を見つけた。

俺はそれに歩み寄ると、地味に脈打っていることがわかる。

「……子供か。親を殺してしまうし保護するか」

俺はその球を〈境界スキマ収納〉で一時的に境界スキマに仕舞う。

「さてと、最後は核だけか……何処にあるんだろう…………あ、あった」

心臓を見つけた。今更思ったことがある。心臓って綺麗な形だよね？俺は何となく飾りたいと思ったので、境界スキマを使って切斷する事にした。ああ……返りをたくさん浴びてしまった……やばい、さっきより力が増えている気がする。

心臓を切り離すと急に魔が苦しみ始めた。さっきまでは微妙な揺れしか來なかったが、今回のは大きい。早く出しなければならなさそうだ。

［EXスキル〈その雨は我の力の糧となる〉を構築し、手しました］

「お前の所為か‼︎」

ちょっと八つ當たりがしたくなってきた……あ、そうだ、出序でに発散しよう。

「〈黒百合〉」

魔剣を振るう。外骨格が無抵抗で切り抜くことができた。

俺はそこから出した。