《俺の転生は異世界の最兇魔剣だった!?》23 仔蜘蛛可

お土産の球は、完全に孵化する狀態だった。球のヒビはピキッと音を立て徐々に広がっていく。

「あはは……寶玉かと思ったら卵だった」

そして卵は完全に割れ、中から柴犬程の大きさの仔蜘蛛が出て來た。

あかん……この仔蜘蛛の可さはあかん…………

「よし、大切に飼おう」

「あの……それがお土産…ですか?」

「あ、うん。本當は綺麗な球だったんだけどね、あの魔の卵だったみたい」

「それって危なくないのか?」

「アルガンスの疑問はごもっともだと思うけど、大丈夫なんじゃないかな?だって可いし」

アルガンスがそれは拠になってないって言っていた気がするが空耳だろう。

「よし、この話は終わりにしよう。そして早く寢て明日に備えよっか」

そして俺は逃げる様に〈実化〉の発を中斷した。てかこれ、魔力の消費が多い。でも、使っている間は永続的に効くから時間制限がなくて良いけどね。

「逃げた……」

俺の意識が薄れてきた頃、アルガンスが何か言っていた気がするが、考える前に俺の意識が沈んだ。

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目が覚めた。しかし、辺りには現実味のある風景ではなかった。

「果ての見えない白い空間にあの祠のり口……」

的には現実の様だが、これは夢だった。何故なら、その祠から俺が討伐殺した大蜘蛛が出てきたからだ。

だが、そいつからは害意はじられなかった。

「異界カラ來タ魂ヨ、ヨクゾ神デアル私ヲ討ッタ」

突然、そいつが口を開いたかと思うと、俺の魂の出所を知っている様な容で話し始めた。

「お前は討たれる事が本だったのか?深淵の谷間に巣を作る事ではなくてか?」

「ソレガ本ナラ、私ハソチラノ世界デ云フ『マゾ』トヤラデハナイカ。私ガ云イタイコトハ、神ニ臆サズ立チ向カエタ事」

はそんなにこの世界では太刀打ちできないのか?この時、俺の頭にはその疑問が浮かび上がったが、口にするのは止めた。

「やっぱりそれを知っているって事はお前は一度そこに居た事があるって事だな?」

「アゝアルゾ。マ、コノ世界ノ方ガ心地ハ良カッタガナ」

「それは同だ。俺もこの世界に來れて良かったと思うよ」

不思議と思う事がある。彼と會話していると心が休まってきている。それは、彼が會話相手だからなのか、彼だからなのかは分からない。

「なあ、お前…いや、アトラク=ナクア。どうして俺は今、貴と會話をしているんだ?貴は俺の手によって朽ちただろう?」

「ハハッ、タダノ暇潰シヨ。オ前ガ私ヲ吸収シタカラ今、私ノ意識ガアル」

「そうか……という事はこの空間は俺の心象風景って事か……」

俺はそう言いながら真っ白の空間を見渡す。

「真っ白だな」

「それだけお前の心は現実に対して無関心のだよ」

さっきまでの別や歳を判別出來ない聲から一転、今度はハッキリとの聲がした。

「そうか……ところで、なんで人の姿に?」

大きな蜘蛛がいたところには、およそ174cm位の長で肩ぐらいまでの黒髪、赤の瞳で釣り目で、服裝はギリシャ神話などで見る人間のに纏っていた。

「これも暇だからだ。特に意味は無い」

「そうか……でも、こんな心象風景で寂しいな。もうちょっと現実に対して興味を持ってみるよ」

「あゝ、その方がいい。だが、あまり自分のを劔だとは思わない方がいいぞ?」

「ああ分かっている。それだともはや危なくなるからな。々と」

共通の話題で盛り上がれたのは久し振りだ。だから俺は今回で、初めて心の底から笑えた事を実した。

その瞬間、白い空間の床にあたる部分が一気に草原へと変化した。これで祠のり口も不自然ではなくなった。

「ささ、そろそろ朝になる。早く起きた方がいい」

「そうか。じゃあ起きるとするか………そうだ、有難う。アトラク=ナクア」

「禮は要らん。その代わり、娘を可がっておくれ」

「了解した。一杯可がらせて頂くよ」

そこで俺は目が覚めた。辺りはまだ暗いが、徐々に日が登っている事がわかる。俺は音を立てない様に実化する。

「現実…か…………この世界なられられるかな……………」

そう呟くと、仔蜘蛛が俺に飛びついて來た。

「おっと、どうした?寂しかったのか?」

そう言ってやると肯定するかの様に頬ズリをして來た。

「ハハッ、このうい奴め」

俺はお返しとしてをわしゃわしゃとしてやった。そうだ、この仔の名前を考えておかないと。

―第一章 了

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