しばらく歩いていると、ユレイが言っていた村に辿り著いた。しかし、彼は村に近づくに連れで足取りが重くなっている。ケイトはそれに気付き、質問した。

「なあ、ユレイ。さっきから足取りが重くなってきている様だけどどうしたんだ？」

「え⁉︎え、えっと……うん、何でもない。何でもないですよ」

ケイトの質問にユレイはハッとする。そして急いで誤魔化した。

「まさかじゃ無いが、村に來れない理由でもあるのか？」

「ギクッ」

「當たりか……」

ユレイがケイトに本心を見抜かれそうになったところで村のり口に著く。そこでユレイの足は止まった。

「わ、私はここで失禮します。こ、今夜はこの村でも収穫祭をやっているので是非楽しんできてください」

そう言ってユレイは魔の家まで駆けて行ってしまった。ケイトは溜息をつくがすぐにウィスプ達を連れて村にった。

村は収穫祭だからか子供達が仮裝して騒いだりしていて賑わっており、何故か屋臺まで出ていた。屋臺にはお菓子がたくさん売られている。

「…………先代の勇者は馬鹿なのか？それともこの村が可笑しいのか？」

ケイトはそう呟く。そして、村の子供達にお菓子を迫られても困るのですぐに宿屋へと向かった。

宿屋に著いたケイトは宿の予約を済ませた後、酒場のカウンター席でマスターにユレイについて話を聞いていた。

「なあ、マスター。マスターはユレイって言う人について知ってるか？」

「ユレイ？知らねぇな」

「えっと、耳がし長くて山に住んでるなんだが……」

「耳がし長くて山に住んでる……ああ！あの忌み子か！」

忌み子と言う単語にケイトは首をかしげる。

「忌み子？それはこの村に伝わる何かと関係があるのか？」

「伝説とかは無いが、人間ウチらよりし長い耳の子供は忌み子って呼ばれてるんだ。一誰が始めたんだろうな……まあ、兎に角そのユレイって言ったけか？そいつの事はあまりここで探らない方がいい。も葉もない拠を未だ信じている奴が多いからな」

「そうか、ありがとう。じゃあ、1番高くて強い奴頼む」

「あいよ。兄ちゃんは初めてだししはマケとくよ」

ケイトは他に聞く事はないのでお酒を頼み、夜になるまで飲んだ。

夜、ユレイはウィスプ達を迎えに村のり口までやってた。そこでし違和に気がついた。何時もは収穫祭の日は賑わっているはずの時間帯だが、今回はやけに靜かだ。

ユレイは何か不安を抱きながら村の中に駆け込む。そして見た。人化したウィスプ達を大の大人達が騒なを構えながら囲んでいる。しかし、誰もウィスプ達に斬りかからない。よく目を凝らして見ると、先程山で會ったケイトがウィスプ達を庇っていたのだ。右手には刀では無く、もう一つの鞘から抜かれた魔剣が握られている。そして彼の目はと言うと、何故か無関心だった。

「魔がやってきたぞ！」

そこで、とある村人男が聲を上げる。その聲と同時にガタイの良い男冒険者がユレイを拘束する。

「キャッ！」

ユレイは突然襲われて、し悲鳴が出る。何が起きているのか、何をされたのかもイマイチ理解しきれていない様だ。

「おい、さっさとその魔をこっちに寄越せ！さも無いとこいつがどうなっても良いのか！」

その男冒険者は拘束したユレイの首筋にナイフを當てる。しかし、ケイトは何も反応を見せない。相変わらず無関心な眼差しで剣を構えている。ユレイですらケイトが何を考えているのかも分からなかった。

「チッ、コイツ、何を考えているのかわからねぇ……」

徐々にナイフの刃がユレイの首筋當てる力が強くなっている。そして、ナイフが首の皮を傷付け始めたその時だった。ユレイの首筋に當てられていたナイフが地面に落ちた。いや、落ちたのはナイフだけでは無い。男冒険者の腕も落ちていた。その腕は、未だ中に詰まっていたを吐き出す様にが流れ出る。そして男冒険者はと言うと、け無い悲鳴を上げ崩れ落ちた。切斷面からは心臓のポンプ活によって出の勢いが強い。そして數分間恐怖と痛みに苦しみ、気を失った。切斷されてからも未だ切斷面からはが流れ出てくる。やがて、その出量は徐々になくなってくる。もう男冒険者は助からないだろう。

「何を考えているのか分からない？そりゃあ、だっで興味無いし。個人的にはどうでも良い事だし」

囲んでいる他の冒険者や男村人は困の表を浮かべる。何故なら、さっき腕を切斷された男冒険者からケイトまでの間合いがあまりにも距離がありすぎていたのだ。

「この村は人間至上主義って言うタイプの所かな……」

ケイトはそう呟く。その時、迷ったのか1人の男村人が鍬を構えて襲いかかった。しかし、その攻撃は乏しくケイトは一発の蹴りで鳩尾に決め、制した。そして、気絶した男村人に回復魔法をかける。

「俺は村人は・殺さない。死にたい奴だけ殺しに來な。この剣の名に負けなければ、だがな」

囲んでいる冒険者達はさらに困する。そして聲が響いた。

『我が名は《魔剣：メラン＝サナトス》。毒と死を司る魔剣なり。人族よ、我の怒りにれる前に失せるが良い！』

剣からの聲がした。剣は魔を纏い、魔剣と名乗った。その魔剣の名はどの大陸の伝説に登場し、どの種族の恐怖と崇拝の対象であった。しかし、それは過去の話であって現在は伽噺や神話に登場するくらいの程度であり、今の生命はその魔剣の恐ろしさを実出來なかった。

そもそも彼ら冒険者は金に目が昏み、村側に就いた。だから、それが危険な魔剣であっても立ち向かったのだ。

そして、1人の冒険者が矢を放った。その瞬間から冒険者達はケイトに攻撃を繰り出した。放たれた矢は見事、ケイトの右肩を捉えた。そして次々とケイトのは攻撃を食らう。斧は左肩を割り、槍は脇腹を右から左へと貫き、短剣は腹を裂き、大剣は首を刎ねた。そこからハルバードは右腳を切斷し、棒は心臓辺りを潰した。これで冒険者達の攻撃が収まった。しかし、彼らがさっき塊にしたから離れたケイトの首が突然笑い聲を上げた。

「クフフフフッアハハハハッハハハハッハハハハッ…………」

その笑い聲は狂気に満ちていた。首だけで笑う現象自がそもそも狂気に満ちすぎているのだが、更にケイトの笑い聲の狂気と合わさり、それに誰もが恐怖した。

そして笑い聲は止む。

「ハァ……本當に人間は最高の生きだと思うよ…人間を辭めてからずっと思ったんだけどさ、如何してそんなに無駄な事が平然と出來るのかって。両親とかに言われなかったのか？常識的な人間になれって。いや、そもそもこの世界自が非常識か。まぁそれは如何でもいいか……」

その瞬間、ケイトの首が黒い粒子となって消えた。が、すぐにまた話し聲が聞こえた。場所は魔剣が落ちている所、つまり冒険者達の中心あたりからだ。

「さて、初めに言ったよね？“死にたい奴だけ殺しに來な”ってね。じゃあ次はお前らがける番だ」

ケイトは、再び手にした魔剣で橫に薙ぎ払う。その橫薙ぎは直ぐに冒険者のを捉えた。そして魔剣がにれた瞬間、何の抵抗も無く上半が下半に別れを告げる冒険者が次々と作られた。中にはの冒険者や若い冒険者もいる。彼には別や歳は関係なかった。彼は平等すぎて村人に恐怖を植え付けた。こう思わせただろう。

『彼は危険だ。人ではない。この慘狀をギルドに報告すれば必ずこの村は消えてしまう』

こうして、ハロウィンの日は終わった。

その後日、ユレイはケイトにお禮を渡すために村に來たが、彼の姿は見えなかった。そこで彼は、彼に會うためにこの土地を離れることにした。何が彼にそう決心させたのか？それは「した彼に會いたい」ただそれだけのだった。

旅に必要な荷を纏め終えたユレイはウィスプ達を連れたて彼を探しに出たのであった。

余談だが、その日以來、村から差別が消えたそうだ。そして序でに無慈悲な魔剣使いの石像も建っているらしい。