《召喚チート付きで異世界に飛ばされたので、とりあえず俺を転移させた神さまを召喚することにしました》第3話 初めてのガチャ

「……ん」

心地よいまどろみの中、俺は目を覚ました。

木々の間から、らかな日差しがし込んでいる。

小鳥の鳴き聲が耳に心地よい。

なんてのどかなんだ……。

などと思った次の瞬間、遠くのほうから獣の咆哮のようなものが聞こえてきた。

あわてて起き上がる。

鳥たちの聲も、もう聞こえなくなっていた。

あまり無防備だとマズい。

ここは安全な日本ではなく、危険な異世界なのだ。

それを改めて実した。

「森、か」

俺が目を覚ましたのは、森と思しき場所だった。

これだけ見れば日本のそれとあまり変わらないが、近くに生えているのはすべて見たことのない木や植だ。

ここが異世界なのは間違いない。

「それにしても、可かったなぁ」

ルナのことを思い出す。

多分ルナは、異世界への転移を管轄する神的なものだったのではないだろうか。

今思い返してみれば、なぜかイライラしてるようだったし。

おそらく、俺の前にも何人の人間の相手をして疲れていたのだろう。

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神様の連絡先くらい聞いておけばよかったか」

しかし自慢じゃないが、俺は食系男子ではない。

なんとか勇気を振り絞って、次會った時に聞いてみるしかないか。

まあ、それは今は置いておこう。

よくよく考えてみると、非常に重大な問題がある。

「……これ地味に遭難してねーか俺」

目の前に広がるのは、どこまで続いているのかもわからない森だ。

人の気配などもちろんない。

今のところ他の生の気配もないのは救いかもしれないが。

こんなところで熊と遭遇でもしたら、間違いなく食い殺される。

「移するにしても、護用の武くらいはしいところだな」

そうなると、やはりガチャを引くべきだろう。

あの設定畫面にそれらしき項目はあったのだから、この世界にもガチャのような概念はあると考えていいはずだ。

もともとガチャをアテにして初期裝備を設定しなかったわけだし。

その前に、ちゃんと設定したステータスが反映されているのか確認する必要があるな。

心の中で「ステータス表示」と念じてみるが、特に変化はない。

「ステータス表示。おっ」

今度は実際に呟いてみると、目の前に俺のステータスが表示された。

言えば出てくるタイプだったようだ。

相馬そうま 徹とおる 17歳 男 人間族

召喚士Lv.1

スキル

観察眼Lv.1

語學Lv.1

Lv.1

手當Lv.1

召喚Lv.1

(シークレットスキル)

霊石手數128倍

霊石消費數30分の1

スキル倍化(霊石手數128倍)

登録の時もそうだったが、INTなどのパラメーターは出てこない。

反映はされているのだろうが、俺が可視化できるステータスではないのだろうか。

とりあえず、シークレットスキルが無事に反映されていることに安心した。

初期裝備すら持っていないが、ガチャ産の裝備品が初期裝備に劣るということはないだろう。

「ん?」

よく見ると、スキルの下にも何やら書かれている。

所持金 0ディール

霊石 5704332236個

ディールというのはこの世界における通貨単位だろう。

それはいい。

俺は今、間違いなく一文無しなのだから。

問題はその下だ。

「……ん??」

霊石の數がおかしい。

さすがに見間違いではないだろうか。

そう思い目をって改めて霊石の數を確認するが、數字は変わらない。

いや、石57億個ってどういうことなの……。

「ん? なんかあるな」

ステータスの右下のほうにある、手紙マークのようなものがっている。

ご丁寧にも、マークの右上に①と表示されていた。

なんだこれは。

訝しげに思いながらも、それを開こうとするが、うまくいかない。

もしかしてタッチパネルのようなものかと思いタッチすると、今度は開いた。

餞別せんべつとして、君たちの世界での全財産を霊石に変換しておいた。

長い旅になるだろうが、頑張ってくれたまえ。

神より

「うーん。…………まあいいや」

あまり深く考えすぎても負けな気がする。

いや、冷靜に考えると、霊石手數128倍(スキル倍化も合わせると256倍か)のスキルが発したのかもしれない。

……あー。そう考えるとそこまで異常な変換効率でもないか。

全財産って書いてあったし。

しかし何故、前の世界での財産を霊石と変換したのだろうか。

普通に考えれば金のほうが使えそうなものだが。

俺にとってはありがたいから別にいいんだけど。

「とりあえず、武の一つでもガチャで引いとくか」

何にせよガチャがたくさん引けるのはいいことだ。

そう思い、の前に腕をばす。

手を開き、その下に何かが出てくるのだとイメージする。

「――召喚」

唱えるのはそれだけでいいと、俺の中の何かが教えてくれていた。

俺の手が白を放ち、何もないはずの空間に何かを手繰り寄せる。

永遠のように思えたが、それはほんの一瞬の出來事だった。

何事もなかったかのように、はすぐに消えた。

「……あれ」

周りを見るが、特に変化はない。

失敗したのか?

何か間違ってしまったのかと思い、もう一度召喚を行う。

先ほどと同じように俺の手がを放つが、それもすぐに消える。

だが、今回は何か軽いものが地面に落ちたような音がした。

どうやら功したらしい。

「……んん?」

しかし、地面にそれらしきものは落ちていない。

あるものと言えば、それなりの長さの木の棒が二本落ちているくらいだ。

「……………………」

ものすごく嫌な予がしたが、そのまま三度目の召喚を行う。

再び眩まばゆいが眼前を覆うが、そんなものはどうでもいい。

先ほどと同じように、何か軽いものが當たったような音が聞こえた。

それが何の音だったのか、聡明すぎる俺の脳は一つの結論に達してしまった。

地面に落ちているのは、それなりの長さの木の棒だけだ。

だが先ほどまでとは違い、その數は二本から三本に増えていた。

「……ふむ」

なるほど。

つまりこれは、あれだ。

「――ゴミガチャじゃねぇかぁぁあああああああ!!!!」

哀れな召喚士のび聲が、森中に響き渡った。

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