《召喚チート付きで異世界に飛ばされたので、とりあえず俺を転移させた神さまを召喚することにしました》第14話 レア武

フィンから一通りの話を聞いた俺は、早速召喚をしてみることにした。

とはいえ、別に今までと何が変わるというわけでもない。

「――召喚」

「ひゃっ!」

フィンの可らしい悲鳴を聞きながら、俺はの先にある何かを手繰り寄せる。

突然の強いでびっくりしてしまったようだ。

「すまない。一聲かけてからにすればよかったな」

「い、いえ。大丈夫ですよ」

フィンはそう言うものの、今のは間違いなく俺が悪い。

次からは一聲かけてからにしよう。

手応えは特にない。

カラン、という音と共に、例のアレが足元に転がった。

「……まあ、知ってた」

「そ、そういうときもありますよ! 元気出してください!」

「ああ、ありがとなフィン」

「いえいえ」

足元の木の棒を拾い上げて、インベントリにれる。

幸いなことに、インベントリにはまだまだりそうだ。

同じものがいくつまでるのかはなんとも言えないが、しばらくは大丈夫だろう。

そう思ってあと三回ほど召喚してみたのだが、全て木の棒だった。

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昨夜のデジャヴかな?

魔力の殘りも昨日の夜と大差ない。

レベルが上がっているわけでもなさそうだ。

とりあえず木の棒たちはすべてインベントリに突っ込んでおく。

折角なので、霊石による魔力回復も試してみることにした。

しかし、どうすればいいのだろうか。

「魔力回復――おっ」

俺のそんな言葉と同時に、中に活力が戻る覚があった。

確認してみると、やはり霊石が一つ減っている。

意外と簡単だったな。

「……ソーマさん、今霊石で魔力を回復しましたよね?」

「ああ。何かマズかったか?」

見ると、フィンが困したような顔で俺を見ている。

やはり霊石による魔力回復は一般的ではないのだろう。

今の俺にしてみれば、霊石より魔力回復のポーションのほうが未知の代なのだが。

「いえ、ソーマさんが大丈夫とおっしゃるなら別にいいんですけど……」

「俺の霊石については本當に心配しなくてもいいぞ。あまり気にしないでくれ」

「わ、わかりました」

俺がそう言うと、フィンは渋々ながらも納得してくれたようだ。

まあこんなに霊石を消費していれば、フィンでなくても一言申したくなるところだろう。

召喚や霊石による魔力回復は、あまり人前ではやらないほうがいいな。

とはいえ、フィンはこれからも一緒にいることになるだろうから例外だ。

やはり、ある程度俺の事を話しておくべきなのかもしれない。

しかし今は他にやることがある。

俺は気を取り直して、召喚に戻った。

先ほどまでと同じように、手をの前にかざし、言葉を紡ぐ。

「ええ……噓だろ……」

三回続けて召喚を行ったが、出てくるのは木の棒ばかりだ。

さすがにそろそろ泣きたくなってきた。

レベルが上がったりしていない限り、次が最後の召喚になる。

し憂鬱な気分になりながらも、召喚を実行した。

「お?」

はいつもと変わらないが、木の棒が落ちたような音はしない。

やがてが消えると、足元に見慣れない剣が落ちていた。

「なんだこれは……?」

青い剣だ。

明の刀は、まるで寶石のような輝きを放っている。

というより寶石のように見える。

綺麗な剣だが、能はぱっと見ではわからない。

観察眼を使ってみるか。

朧脆剣もうぜいけんタンザナイト R

切れ味80

攻撃力3倍

速度2倍

その銘は朧脆剣。

たとえ霊の護りであろうと、その刃の前にはあまりに脆い。

「おお……!」

説明書きが無駄に中二臭い。

だが観察眼で見てみると、なかなかにいい武のようだ。

Rというのはおそらくレアのことだな。

「その剣は初めて見ました。鑑定してもらってもいいかもしれませんね」

「鑑定?」

「はい。プロメリウスに行けば、鑑定士もいますから。あ、鑑定士というのは、見ただけではわからない武能を鑑定してくれる人のことです」

フィンが追加で説明してくれたが、俺が気になったのはそこではない。

「鑑定と観察眼はどう違うんだ?」

「観察眼は鑑定の上位スキルですね。鑑定は生には使えませんが、観察眼は生に対しても使えるそうです。私も観察眼のスキルを持った人に會ったことはありませんけどね」

「なるほど」

タンザナイトをインベントリにしまいながら、俺はフィンの言葉を咀嚼する。

どうやら、観察眼は相當に使えるスキルのようだ。

その割には普通にスキル一覧の中にあったが……。

何か一般的に知られていない制約がある可能もある。

「まあ、鑑定士のところに行く必要はないだろう。俺は観察眼のスキルを持っているからな」

「えっ!? 観察眼のスキルを持っているんですか!?」

「あ、ああ」

フィンがものすごく驚いていた。

やはり観察眼のスキルは珍しいのだろう。

「しかしそんなに驚くことはないだろう」

「だ、だって……」

「……?」

フィンが突然口ごもる。

どうしたのだろうか。

「か、観察眼のスキルは、あまり人に向かって使ってはダメですよ」

「ん? まあたしかにあまり人に使うのはよくないか。あまり意識はしていなかったが」

「そうですよ。気をつけたほうがいいと思います。観察眼で見られても、その人にはわからないらしいですけど」

「そうなのか」

言われてみれば、なんとなく人に向かって観察眼を使うのは控えていた。

フィンがそう言うなら、よほどのことがなければ人に対しては使わないほうがいいのだろうか。

とりあえず、フィンはあまり観察眼で見られたくなさそうなので、彼に対して使うのはやめておくことにしよう。

「……あれ」

再び魔力を回復しようと思い、霊石を消費しようとしたが、できなかった。

どうやら霊石による魔力の回復には、いくらかのインターバルが必要なようだ。

延々とレベリングできるかと期待していたのだが、そうは問屋が卸さないらしい。

となると、魔力回復のポーションも同じようなじなのだろうか。

最初に召喚した時よりも疲労し強いような気もする。

魔力の連続回復は、人に負擔が大きいのかもしれない。

そんなことを考えていた時、俺たちの乗っている馬車が止まった。

「ん? なんだ?」

「なんでしょう?」

俺とフィンは顔を見合わせる。

フィンにもわからないらしい。

何かあったのだろうか。

「俺が様子を見てくる。フィンはここにいてくれ」

「は、はい」

フィンにそう言い殘し、俺は馬車から降りた。

したような表のパパさんに、事を尋ねることにした。

「どうした?」

「あ、ソーマさん。前の方の馬車が止まりましてね。何かトラブルがあったようです」

「ふむ。そういうことなら俺が見てこよう」

「それはありがたい。ぜひお願いします」

パパさんとそんなやりとりをして、俺は馬車の列の前の方へと向かうことにした。

次の瞬間、辺りに怒號が響き渡る。

何が起きてるんだ?

列の前の方に、人影が見える。

ドワーフではない。

長は俺よりし高いくらいか。

人間の男に見える。

そんな軽い武裝をした男が、ドワーフ達に襲いかかっていた。

ドワーフ達も、慌ててそれを迎撃している。

戦いはこう著狀態のようだ。

「もしかして……」

忠告してくれたフィンには悪いが、観察眼のスキルを使わせてもらう。

俺は人間の男に向かって、観察眼を使った。

ベアル 人間族

盜賊Lv.8

盜賊だ。

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