《召喚チート付きで異世界に飛ばされたので、とりあえず俺を転移させた神さまを召喚することにしました》第22話 レタスつょぃ

宿に荷を置いた俺とフィンは、プロメリウスを出て一時間ほど歩き、見晴らしのいい草原までやってきていた。

だだっ広い草原の奧には深い森が広がっている。

草原の近くの森には迷宮があるらしく、迷宮の中から々な種類の魔が出てきて森の中に住み著いているらしい。

ここが本日の狩場というわけだ。

ちなみにここに來るまでの道中で四回に渡る召喚を行なったが、その結果は散々なものだったとここに記しておく。

萬が一のことがあるといけないので、霊石での魔力の回復は行なっていない。

「森の中は視界が悪くて危険なので、この草原にいるはぐれレタスを倒すのがいいと思います」

「はぐれレタス……。そ、そうか。わかった」

フィンの口から意味不明な言葉が飛び出すたびに、えも言われぬ不安に襲われる。

はぐれレタスってなんだよ。

いや、はぐれたレタスプラントのことなのだろうが。

俺とフィンは、草原にいるレタスプラントの姿を探す。

とはいえ、俺はレタスプラントがどういう姿をしているのかわからない。

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レタスのような魔だとは思うのだが。

「あっ、いましたよ! ソーマさん、あれです」

「……えっ?」

フィンが嬉しそうな顔をしながら、ある方向を指差した。

俺はその指の先にあるものを見て直する。

視線の先にあった……いや、いたのは、巨大なレタスだった。

そうとしか言いようがない。

草原の背の高い草に隠れて、パッと見では気付かなかった。

「レタスプラントはくのか?」

きますけど、そんな大したきじゃないですよ」

本當かよ。

そう思いながらも、俺たちは草をかき分けてレタスプラントに近づいていく。

インベントリから鉄の剣を出しておくのも忘れない。

フィンも槌を取り出していた。

レタスプラントは、死んだようにかない。

いや、レタスなのだから普通はかないのだろうが。

そんなことを思っていた矢先。

レタスプラントがこちらを向いた。

「っ!」

レタスプラントに顔などあるはずもない。

目などもちろん存在しない。

しかし、こちらを向いたと確信できるものがついている。

それは巨大な口だった。

おおよそレタスにふさわしくない鋭い歯が並んでおり、それがこちらに向かって開いたのだ。

「うぉっ!?」

レタスプラントのその様子に呆気にとられていると、レタスプラントが盛大に土を撒き散らし、歯をギラつかせながら俺の方に突っ込んできた。

地面に転がって、紙一重のところでそれを回避する。

「はぁ!?」

勢を整えてレタスプラントに向き直った俺は、変なび聲を上げてしまった。

レタスプラントがデカくなっていた。

いや、違う。

おそらく、俺たちが見つけた時はそのの半分以上が地面に埋まっていたのだろう。

今のレタスプラントは、ゆうに全長二メートル近くはある。

恐ろしい大きさだ。

レタスじゃねえよこんなの。

何本もの木ののようなものが、巨大なレタスの付けからびて足のように蠢いている。

手段はおそらくあれだろう。

レタスというよりは蜘蛛の類に近いような気がする。

見ていてあまり気分のいい景ではない。

そんな魔が、俺の方へと突進してきた。

「っと!」

慌てて転がり、レタスプラントの突進を避ける。

最初こそその巨大さに目を剝いたものの、き自は単調だ。

これなら俺でもなんとかなる気がする。

そんなことを考えていた俺の隣を、駆け抜けていく影があった。

「はぁぁぁあぁっ!!!」

フィンだ。

助走をつけた重い槌の一撃が、レタスプラントにクリーンヒットする。

「ギシェェェェェェェェ!!」

謎のび聲を上げながら、レタスプラントの勢が大きく崩れる。

その隙を、フィンは逃さない。

が再び槌の一撃をれると、レタスプラントは完全にそのきを止めた。

「ソーマさん! 大丈夫ですか!?」

「あ、ああ。ありがとうフィン」

フィンにお禮の言葉を言いながら、俺はレタスプラントの方を見る。

レタスプラントは白煙を上げて、その姿を消した。

代わりに、見慣れたものがその場所に落ちている。

レタスだ。

「なるほど、こんなじになるのか」

拾い上げてみると、ただのレタスである。

これがドロップアイテムか。

っこもついているところを見ると、レタスプラントがあるべき姿に戻ったのだと解釈できなくもない。

「レタスは、ソーマさんのインベントリにれておいてください。この調子で頑張りましょう!」

「そうだな」

俺はほとんど逃げているだけだったことは大目に見てくれているようだ。

次からは頑張ろう。

それから、地獄のレタス狩りが始まった。

フィンがレタスプラントを見つけ、俺とフィンが攻撃する。

先制攻撃が功することはほとんどない。

俺たちが攻撃するより先に、レタスが歯をギラつかせながら地中から飛び出して來ることが多かった。

俺もレタスプラントを剣で切り裂くが、あまりダメージが與えられている気がしない。

フィンの攻撃だと二、三発で倒れるが、俺の斬撃では十回ほど切りつけなければダメなようだ。

との能力の差がひどい。

「大丈夫ですよ! ソーマさんの足りないところは私が補いますから!」

「ああ、ありがとうフィン……」

そんなフォローまでされるので、し泣きたくなったのはである。

俺のハートが傷付いたりはしたものの、大きな怪我などをすることもなく、無事に二十のレタスプラントを狩ることができた。

「終わりだな。帰るか……」

「そうですね……帰りましょうか……」

そろそろ日も傾いてきている。

プロメリウスは夜も明るいが、なるべく遅い時間に外に出歩きたくはない。

治安はそれほど悪くはないが、やはり晝と比べると夜の方が危険度は高くなるだろう。

今日からは公衆浴場に行きたいので、できるだけ早く帰ることにする。

俺とフィンは、ヘトヘトになりながらもプロメリウスに帰ったのだった。

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