《ただの世界最強の村人と雙子の弟子》第0話の9 あれから

===ユウキ視點========================

《キングホーク》の襲撃から40年が過ぎた。あれからも問題が起こったが、この村が無くなるような事は無く、今日も俺は村の見回りにを出す。

「あ、ユウキ様!お疲れ様です!!」

「ユウキ様!今月は作ですよ!これもあなた様のおかげです!!」

「ユウキ様!娘が寢込んでしまったのですが………」

「ユウキ様!畑にはぐれ《バイソト》が!!」

…………俺はいつの間にか崇められ、頼られる存在になってしまった。

(いや、そりゃあ當たり前だろ。天候もれて、魔を簡単に倒せて、高レベルの回復魔法も使えて、おまけに國相手に戦爭して勝った奴をーー)

それ以上言うなー!守姫!技姫!攻武を黙らせろ!!

(かしこまりました!ご主人様!!)(はっ!)

攻武が靜かになったところで、俺はいつもどおり、村人の悩みやお願いを葉えていく。

「有難うございました!」

「あなた様は本當の神ですか!?」

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「私っ……!あなた様がいるこの村に居て良かった……!!」

んな人に謝の言葉をかけられるけど、俺はそこまで全能じゃない。

俺は村人を上手くいなして、恩人の家へと向かった………。

るよ~~」

「あ、ユウキさん。今日も來てくださったんですか」

扉を開けてすぐ出くわしたのは桶に水を張り、その中に布巾を浸してあるものを持って部屋にろうとしていたミウ。

「當たり前だろ。俺にとっては恩人なんだから。ほら、それ持つよ」

し強引にミウから桶をけ取る。

「そんな………、ユウキさんこそ、この村……いや、この國の英雄となり得る人なのに………!」

ミウはあの日、俺が起きて始めて會ったこの村の住人。つまり、あの時の子供だ。

今はもう40を過ぎているから、他の人と比べて若々しくはあるが、年には勝てないようで、ところどころにシワらしきものが見え始めている。

「あの時、俺をこの村に住まわせてくれたのはミウの親父さんと奧さんだ。俺はあの時の恩を忘れるほど、腐ってない」

俺はそう言い放ち、親父さんと奧さんがいる部屋へと足を踏みれた。

部屋はまだ朝方なのに薄暗く、ひんやりしていて人の荒い息遣いのみが聞こえる。俺は部屋に置かれた2つの敷布団の近くに行く。そこには年相応の2人の男が寢込んでいて、どちらとも息が苦しそうだ。

「…………今日、やっと薬が屆くみたいだ。だから、もうし堪えて」

俺は水をしっかり絞った布巾で男のを拭きながら呼びかける。もう1人の方にはミウが新たに桶を用意したらしく、を拭いている。

「…………あのいけ好かない國の連中相手に渉したけど、しっかりと持ってくると思う。………俺を怒らせたらどうなるかを一番良く知っている連中だから……」

もはや獨り言だけど、喋ったら反応するのではないかと期待せずにはいられなかった。

そして、反応する事もなく、を拭き終わり、片付けをしているところで玄関の扉を叩く音が聞こえた。

「……ユウキさん……!」

「………ちょっと行ってくる」

俺は片付けをミウに任せ、扉を開ける。するとそこには豪華な裝飾がなされた馬車とそれを守るかのように馬に乗りながら辺りを警戒する騎士。そして、扉を叩いていたいけ好かない第2王が居た。

は真っ赤なドレスに大量の寶石を散りばめた、お高そうなドレスにを包み、王族に多い金髪をゆるくフワッとさせている。顔立ちもかなり整っていて、気の強そうな人としか見えないが、俺からすれば、最も會いたくないクソの顔だ。

「あら、何やら不服そうな顔ね」

「………いや、そんな事は……」

俺を馬鹿にするかのように意地の悪そうな笑みを浮かべる王に、殺意を覚えそうになるが、グッと抑えて冷靜に対応する。

「それより、『冷化の薬』は?」

「あーあ、そうね。それを渡しに來たんだったわ」

またまた意地の悪そうな笑みを浮かべつつ、指を鳴らすと、侍らしきが白い霜が混ざったかのような白に近い水った小さなガラス瓶を2つ、クッションがありそうな赤いクッションらしきものに乗せて持ってくる。

そのの1つを親指と人差し指で挾んで持ち上げた王は、更に笑みを浮かべつつ、告げた。

「この薬がしければ、私の夫モノになりなさい」

「なっ!?」

の言葉に、俺は勿論、周りの騎士や様子を見に來ていた村人までざわめきだす。

それを楽しそうに眺める王は、薬を更にもう一本持つ。

「斷れば今すぐこの薬を壊すわ」

「………落としたぐらいじゃ俺の足なら追いつくぞ」

「それぐらい、分かってるわ。でも、私の手から放たれる《ファイアボール》を防ぐのは無理でしょ?」

はそう言うと、薬に手のひらを近づける。明らかに俺を追い詰める為だ。

「ほらぁ、早く決めなさいよ~。時間が無いんでしょ?」

はそう言いつつ、薬をチャプチャプと音を鳴らしながら振る。

………そうだ、2人にはもう時間が無い。2人がかかっている『熱病』は俺がいくら冷やしていても、表面しか効果が無いから意味がない。部まで冷やし、病原菌を凍らす『冷化の薬』が無いと治せない!

「…………俺があんたのモノになれば薬をくれるんだな?」

「ええ、勿論♪私は夫の恩人を見殺しにするほど腐ってないわ」

が騎士に視線を送ると、それに反応してローブを著た男を連れてきた。……あいつが俺に奴隷契約を結ばせるのか。

まあ、大丈夫だろ。

俺は男に奴隷契約を王と結ばされた後、薬をけ取り、2人に飲ませた。2人は驚き、ミウは俺をポカポカと毆りながら泣きついてきた。

「どうしてっ!あなたはそんな事をっ!!私達がやった事は些細な事なのに!あなたはそれ以上の事で返してくるっ!!自分の事も考えないでっ!!」

ミウは力の無い腕で毆り続けるが、いつまでも誤解される訳にはいかないから真相を教えた。

「大丈夫。俺は奴隷契約なんてしてない」

「ぐわぁっ!!」

次の瞬間、ガラスの割れるような音と男の苦痛の聲が聞こえてきた。訳が分からずただ座り込むミウに玄関の扉を開けて見せてやった。そこには奴隷契約の模様が浮かんでいる騎士と、それを足で踏みつけ、怒りで顔が真っ赤になっている王が居た………。

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すみません!こんなにも投稿が遅れてしまいました!!

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