《ただの世界最強の村人と雙子の弟子》第0話の23 復讐を志す

===ユウキ視點==================================

ーブシャッ!

の首から派手にが辺りに飛び散る。普通なら発狂なり、悲鳴をあげるところだが、神が魔神なので、冷靜に首から出るを手で抑えた。

「……あ~あ、これはもう持たねえな」

魔神はそう言うと、首を抑えていない左手を上に掲げた。その直後、上に大きな魔力をじだので上を見ると、大きな太と錯覚するほどの炎の球が浮かんでいた。

(あれはご主人様の"インフェルノスフィア"よりは威力が低いと思いますが、範囲は広いと思います!)

守姫の忠告するほどなので、俺はみんなを擔いで離れようと近くで倒れているつぼみに近づこうとした時、肩を強く摑まれた。

振り返ると、頭の部分の鎧が砕けて、顔の至るところに刺さっていながらも、確かな目で俺を見ている拓真が居た。

「悪いが今は言い合わずにこいつらをーー」

ーゴォォォッ!!

話をしている時に何かが落ちてくる音が聞こえたので、上を見上げると、もう炎の球が落ち始めていた。

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「ヤバイッ!こうなったら雑でも良いから……」

俺がつぼみを抱き上げようとしたのに、俺は後ろへ吹っ飛んでいた。

前には、右手をこっちに向いているが、背中を向けている拓真が居る。

「オイッ!!一何やって!?」

「お前はっ!!」

拓真を問い質そうとしたが、拓真の大きな聲に黙り込んでしまった。

拓真は俺の方を振り返り、何かを言った。何かを言ったんだ、確かに。

だが、この時の俺には読を使う余裕も無く、仲間たちが火の球に飲み込まれていく様子をただ見ている事しか出來なかった。

(ご主人様!"転移"を!早く!!)

(こいつは意識が無いのも同じだな!"強化"をかけるぞ!!)

(それに伴い、"ウィンドシールド"を使って迫り來る炎と巖等を防ぎます!)

俺の右手に攻武、左手に技姫が勝手に顕現したが、俺はそれを止める事も、自分でを守る事も頭に無かった。

ードゴォーーーン!!

空間を揺らしているかのような振中を襲い、俺は意識が落ちた………。

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……どうします?正直、ご主人様の魂はだいぶ疲弊しています。

何とかなるだろ……って言いてぇところだが、そうもいかねぇな。

記憶の改ざんを提案します。それしかありません。

けどよ、どこまでやるんだ?あまりやり過ぎると気付いた時にもっと酷くなるぞ?

なら、全て魔神のせいにすれば良いのよ。

……本當ならあなたの案を取りたくありませんが、それが最適のようですね。

アドバイスありがとうございます。さあ、元の閉牢へ戻って下さい。

…全く、冷たいな~。分かってるよ、ユウキをよろしくね。

言われねぇでも、そのつもりだバカ野郎。

では、記憶の改ざんを開始します。

「……ん~ん?」

俺は酷い頭痛をじ、起き上がる。服やはボロボロ。周りは何も無い更地。そんな景が視界の端まで広がっていた。

「一何があったっけ?」

俺は必死に記憶を遡る。

確か、偶然知り合っためぐみ達と特訓してたら勇者の1人の裏切りで、魔神の分が攻めて來て、裏切り者は殺して、他の勇者とも協力して戦ったんだけど、あと一太刀というところで魔神が発して……

「……あ、あぁぁぁあっ!!」

俺はその場に膝を折り、地面に手を突く。視界に映る平坦な地面に水滴が一粒ずつ、落ちていく。

「……結局、この結果になったのね」

1人の聲と複數の足音が聞こえ、頭をあげると、そこには俺と同じ日本人の男2人組が居た。

「あなたほどの実力者でもこうなったという事は、これはもう避けられない"運命"。今回は思い切って殺とかしてみたんだけどな~」

の方が徐々に姿を変えていっている。を放ち、うねうねと蛇のようにしずつ姿を変え、最終的に一本の旗が付いた槍のような武になった。

それを男が摑んで、俺を見て言った。

「この記憶もどうせ無くなる。けど、"かなた"が視た運命は変わらない。この世界で変えれるとしたら、"死"くらいだ」

男はそれだけ言って、背後に楕円形の何かを形した。そこへ足を踏みれ、數歩歩くのを見て、その楕円形と共に男は姿を消した。

「ーーキッ!ユウキッ!!」

俺は泣きそうな誰かの聲を聞いて、意識を現実に戻す。 辺りには、焼け焦げたような匂いと、誰かがくような聲が聞こえる。

そして、目の前には涙をいっぱい溜めたティフィラが居た。

「良かったっ!本當に良かったよっ!!」

ティフィラは俺に抱きついた。取り敢えず周りの狀況を把握する為に辺りを見渡すと、前には倒れた馬車。その周囲には山賊らしきガラの悪そうな男たちが10人ほど。そして、俺の背後には、首に鉄の首、足に鉄球と繋がっている鎖を付けられていながらも抱き合って泣いている年齢も様々な人たちが居た。

ティフィラに聞いたところによると、俺は村を出ていつものようにめぐみ達の指導に行ったきり、10日も帰って來なかったらしい。

何事かと思ったティフィラが探しにんな所を回ったところ、ちょうど奴隷を輸送中だった馬車の中に俺を見つけたらしい。

……うわ~、俺奴隷にされるところだったんだ。

「ねえ、何があったの?」

ティフィラが涙を軽く拭いながら、俺に聞いてきた。

俺は素直に話した。仲間を魔神に殺され、…俺が同じ日本人である勇者の1人を殺した事も。

話し終えた時には、俺の頰には一筋の涙が流れていた。

それを見たティフィラが、俺を優しく抱きしめた。

「……無理しないで?泣いても良いんだよ?」

俺は多分、けなく泣いたんだろう。男らしく涙を堪える事もなく。

そんな俺の背中を優しくさすってくれたティフィラの溫もりに、俺はを預けてしまった………。

「さあ、行こう!」

ティフィラの元気そうな聲と共に、俺は強く手を引かれる。その先には獣人族が多くいる都市"カーレル"へと向かう馬車が停められている。

「分かってるから、そんなに急かすなよ」

俺はティフィラに引かれるがまま、歩く。俺たちが"カーレル"に向かう目的はただ一つ。

そこに、魔神の手先と思われる強力な魔が近づいてくるという報を手したからだ。

ティフィラに助けられてから1ヶ月。んな報を得て、んな場所を行ったが、あまり手がかりが無い。

《魔神の砦》は"デットラス"にあるだの、地下深くの地下都市にあるだの、強力な魔しか住んでいない森に隠されているだの、報は様々だが、一番手っ取り早いのは、魔神関係に當たる事だと思う。

「……全く、お客さんぐらいですよ。今の時期に"カーレル"に行きたいなんて言い出すの…。料金上乗せしてくれなかったら、言ってない自信がありますよ」

「そんな事言わないでくださいよ~。さっ、行きましょう!」

ティフィラってこんなにもテンション高かったけ?まあ、いいか。

俺たちは馬車に乗り、者の愚癡を聞きながら、"カーレル"へと向かった。

全ては魔神への復讐をし遂げる為に………。

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さあ、ここで【大英雄の過去編】は完結とさせて頂きます。

続きを書くのが面倒になったとかじゃありませんよ?本當ですよ?

元は《魔神の砦》へと向かうまでにしておこうと思ってたんですけど、この章で書きたかったのは、ユウキの変化だったんです。

ユウキは最初はぐだ~としている格だったのに、んな事が起きて殘的な事を平気でするほど殘忍な格になって……、でも本編では最初からそうだった訳じゃ無いですよね?

ユウキを中心としたうねりと言うか、流れがこの時から既に起きていたという事を理解して頂ければ幸いです。

さて、ここで次回作の告知をさせて頂きます。

次回作の舞臺は《オリジン》とほぼ同じなんですが、職業というものが強い力を持っている世界です。

勇者はこうでなくてはいけない。剣士は、魔法使いは、癒師は、こうであるのが當たり前という世界。それこそが力で、それに則っていている世界です。

そんな世界で主人公はどんな職業を得たんでしょうね!?

初投稿は2月1日にしようと思います。

『職業通りの世界』

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