===ルル視點===========================

「………ねぇ、提案があるんだけど……」

さっきまで泣いていたはずの姉さんは急に話し始めた。それもしっかりとした聲で。

「………何？」

「エルガさんに頼んで師匠のところまで連れて行ってもらうってのは？」

「！？」

今、私達はフェニックスになったエルガさんの背中の上で、どこに向かっているのか分からないけど空を飛んでいる。だから、近くにいる私達だけしか聞こえない。因みにオリナはずっと、私達からし離れた所で膝を抱えてうずくまっている。

「……行ってどうするの？」

「勿論、加勢するの」

「お師匠様が言ってた。"私達では足手まとい"と」

「うっ。けど、ここで何もしないで後悔するのは嫌だ」

「……………っ！」

姉さんは真っ直ぐで覚悟した目で私を見ている。………確かに、後悔はしたくない。お師匠様に會えた事に浮かれて、《オウガ》の事は何にも考えていなかった……。そして、お父さんやお母さんや顔見知りの人達もみんな死んだ。あんな思いはしたくない………けど、あそこに行って何か出來るとは………。

「お取り込み中悪いんだけど、急降下するからしっかり摑まってて」

激しく風が吹き荒れる中、エルガさんの聲は周りの風を無視するかのようによく聞こえた……。

===ユウキ視點===========================

「ぐはっ！」

（ご主人様っ！！）（王っ！！）

神が俺のから手刀を引き抜くと、飛沫が舞い、口からはが僅かながらも飛び散る。

「チッ！」

俺は咄嗟に神から離れる。頼む、守姫！！

（はいっ！"エクストラヒール"！！）

守姫の回復魔法で、傷は跡形も無く消える。

「ほう、回復魔法も使えるのか……」

不自然な回復魔法の発を気にもしてないようだな……。

（もうご主人様、アレしかありません！！）

（さっさと使って終わらそうぜっ！！）

ああ、そうだなっ！！

「………やっと本気を出すか……」

研ぎ澄まされていく俺の魔力をじて、あいつもし構えたような気がする。

「いくぞっ！！『魂の解放ソウルバースト』！！！」

===技姫視點===========================

「………『魂の解放ソウルバースト』」

私は自を逆手に持ち、切っ先を下に向けて前に出すと、躊躇っていた力を解放します。私が力の解放を宣言すると、自から私を中心とした激しい風が現れ、自もり出し、形を変えていきます。……減りの早い私の魔力を気にしつつ、解放し終わるのを待ちました……。

「なっ、何よ………。何なのよっ！それはっ！！」

神は明らかに揺し、さっきから私の周囲にある風に、の突風をぶつけているみたいですが、私の風の方が勢いが強く、全て弾かれています。

そうこうしているに、解放が完了し、風が途端に止みます。

両手には、日本刀は変わりませんが、薄く青くっている刀になっている自と、背後に6つの鉄球のようなもの（アトラ）が左右に3つずつ縦に並び、私は様々なデータが絶え間なく視界を遮らないように隅に表示される薄い水の平面レンズのゴーグルを裝著しています。

「なっ、なにっ！？その姿……！」

明らかに変化した私の姿にもはや後ずさっている神。

「貴方が知る必要はありません。"浄化"」

私は背後に待機してあったアトラの1つを高い木々の中間辺りに移させ、アトラの中で生産していた神の毒を完全消毒出來る霧を撒布する事で、みどろのようになっていた周囲が雨上がりの水浸し水溜まりのあるものへと変化していきます。

「私の『神化魔法』が…………」

「これで終わりです」（…………ゴト）

目の前の事ばかり呆気にとられていた神の首を落とすのは簡単でした………。

「ふぅ……」

私は『魂の解放ソウルバースト』を解きます。すると、一気に疲労が押し寄せてきて、思わずその場で座り込みます。

『魂の解放ソウルバースト』は発になくない魔力をもっていかれますが、発中は通常の魔力の約3倍以上の魔力を保有し、私なら"多様"、守姫なら"鉄壁の守り"、攻武なら"圧倒的な攻撃力"を現化した『ソウルウェポン』に変化し、圧倒的な戦闘力を得る事が出來ます。ですが、その強すぎる力ゆえ、しっかりとに押さえ込まないと、周りを一瞬で焦土と化す恐ろしい力です。これをすぐに扱えたのは我が主人くらいで、私達は安定するのに何百年とかかりました。

「………功して良かったです」

こちらは勝ちましたが、私と我が主人の魔力はリンクしているので、なからず我が主人の魔力が減って迷をかけているはず………。それにティフィラ様の事も気になりますね………。いつの間にか離されていましたし…………。

「あっ、ここにいたんだ」

聲のする方に目を向けると、傷は跡形もありませんが、破れた服からなかなか辛い戦いをしてきたのが分かるティフィラ様が來ました。

「ご無事だったようで………」

「あなたこそ、來る途中でじた尋常じゃない魔力は流石に驚いたよ！」

ティフィラ様は私と守姫に話す時は比較的緩い口調です。………エルフ口調と今の口調、どっちがティフィラ様の本當の口調なんでしょうか……？まあ、それは今はどうでもいいですね……。

「私はこれから我が主人の下へと向かいますが、ティフィラ様はどうされますか？」

「勿論！ユウキの所に行くに決まってる！！」

「分かりました、いるとは思いませんが、森の魔が出た場合は任せましたよ？私は出來るだけ、魔力を溫存しておきたいので………」

「ええ、分かったわ」

「ありがとうございます。ではこちらです」

私達、我が主人の『ソウルウェポン』はある程度離れていても、お互いの場所が分かるようになっています。この森の中ならすぐに場所は分かりますからね…。

「待っていてください………！」

高速で移している我が主人の反応は戦闘中という事でもあります。未だに戦闘している我が主人と戦っている相手はあの赤髪の男で間違いないでしょう。あの抑えきれずにれ出している大きな魔力には戦慄を覚えましたからね………。

===リリ視點========================

「「お願いしますっ！！！」」

「………え～と、どうしよ」

頭を全力で下げる私とルル相手に、もはやエルガさんは揺を隠しきれていません。

現在の場所はどこかの窟の中。窟の中は比較的明るいのです。何故かというと、中は『靜石』と呼ばれる淡いを出す石があり、石によって違うを出すので、窟の中はとっても幻想的になりつつも充分な明かりを確保してくれています。

さっきから頭を下げ続けているんですが、一向にエルガさんが付いて行っていい許可をくれないのです。因みにオリナは、窟にり込むために急降下したエルガさんによって気絶し、橫になっています。

「う～ん、仕方ないか。このまま1人で行っても、勝手に出ていかれたら困るし」

「「やった～！！」」

「た だ し、勝手な行は駄目だ。これを守れないなら、お前達を行不能にしてから行く」

さらっと言われた言葉に若干恐怖したけど、そのくらいで諦める訳ない！

「「よろしくお願いします！！！」」

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続々と神々は倒れ、ユウキに集結していくリリ達。肝心の、ユウキと赤髪の神との戦いはどうなっていくのでしょうか！