《ただの世界最強の村人と雙子の弟子》第67話 神託

===リリ視點========================

野宿なのに下手な宿屋より質の良い食事と風呂、休養を取れ、今日改めて《アブェル》の街中にりました。戦闘中では気にしませんでしたが、どこの家にも真っ白であったであろう十字架や"アルナ"様のシンボルマークになっている腕をクロスさせ、優しげな表神が彫られている壁などがあり、街全で神様を支持しているようです。

「………もはやここまでいくと洗脳されているみたい」

ルルは街中を歩きながら、復興作業より十字架やシンボルマークを優先して家から掘り出そうしている人達を見ています。今の言葉はそんな人達を見て、溢れてしまった本音だと思う。私もそう思うし。

「全く、神様より『全能の大英雄』であるユウキをーー」

「何言おうとしておるのだ!?」

ティフィラさんを蹴飛ばし、何とか師匠の正を知られないようにするオリナ。ほぼ言われちゃったけど、幸いな事に周りの人は神様のを探すので手一杯のようで、全く気づいている様子ではなかった。

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「痛てて、何するのよ!?」

「お主が余計な事を言いかけたからじゃろう!!」

ギャアギャア騒ぎ始めたティフィラさんとオリナ。オリナは毎度お馴染みのエルフ族になっているので、丁寧な言葉を喋らず、上から目線のような喋り方は凄く違和があるけど、もう慣れました。

清楚なイメージがあるエルフ族がギャアギャアと騒ぐ、変な空間から抜け出したアイは私とルルの近くに來ます。因みにエルガさんは勿論、ティフィラさんの近くにいます。

「いつもあんなじなんですか?」

「そういう訳ではないような~」

「………違うとは言い切れない」

私とルルは曖昧な答えしか返せない。だって、みんな気分屋なところがあるから。

「……楽しいですか?」

「うん、楽しいよ」

「……………姉さんと一緒なら何でも楽しい…」

ちょっと引くルルの発言もしっかり聞いたアイは何かを決めたように歩いている私達の前に立ちました。

「「??」」

「…………私、お姉ちゃんが見つかるまではあなた達の力になろうと思いましたが、お姉ちゃんが見つかっても!私はあなた達の力になりたいです!!」

「「………………………」」

いきなり言われて思わず何も言えなかったけど、これは仲間になりたいって事だよね?どう返そうかと迷っていたら、ルルがアイに左手を差し出し、

「……………ん、よろしく」

「……っ!!はいっ!よろしくお願いします!!」

それを見たアイは両手でルルの左手を包み込みながら、頭を下げた。それを見て、ルルは満足そうにしている。…………あれ?私って本當にルルの姉?ルルの方がお姉ちゃんっぽい……。まあ、雙子だから、そんなに姉とか妹の差は無いし……。別にルルがお姉ちゃんっぽいからって立場が無いとか思ってなんかーー

「……………姉さん?」

「え!何!?」

「………行くよ?」

「あ…………。うん」

気づいたら私は立ち止まっていて、みんなに追い越されていた。……言い合いをまだしているティフィラさんとオリナにさえ抜かされて………。そんな私を心配して、ルルは気にしてくれたみたい。このままでは本當に姉としての威厳が無くなる!!

「よし!行こう、ルル!!」

「……うん」

私はルルの手を引っ張って、ティフィラさん達を追い抜かし、遠くからでも見える神殿へと向かう。その神殿は《アブェル》唯一にして大陸の中でも最高の神殿。連合國には國教は無いけど、もはや國教と言っても過言では無いほど一番有名なアルナ教の総本山。そこで私達は"アルナ"様に會って『神の強ゴットグリード』の事や私達の事を教えてもらおう!!

「「「「「「「「「ようこそおいでなさりました!!リリ様!!ルル様!!」」」」」」」」」

私達は神殿にった瞬間、大勢の神達に出迎えられました。…………勿論、街を救ったからそれなりに良い対応をしてもらうと思ってたけど、ここまでとは……

「アルナ様に最も近いと言われている《アブェル》を救って頂き、ありがとうございました!!!私は神より任命されました、神長のメイラと申します」

大勢の神を掻き分けて私達の前に現れたのはかなり若いでした。年は18歳くらいで、銀の髪を背中の半ばまでばし、金る目をした頭にふわっとした布の被りに縦に長い袖がある真っ白な服。言うまでもなく、神職に就く人が著る服。

それに、神長は神託によって決められると聞いた事があります。………まさか、本當だったなんて……

「何でもドラゴンすら軽く倒せるほどの力をお持ちだとか」

「いえいえ、あんなのは師匠の修行に比べたらーー」

「姉さん」

「それより、あれほど街が破壊されているのに生存者が多すぎですよね?」

ルルに足を踏まれたのは流して、私は街中を歩いていて思ったのは人の多さです。私達が著いた時には火の海と言えるほど、炎が燃え盛り、魔達が徘徊していたから、私達が著くまでの時間はまあまあ有ったはず。その間、街の人達は何をしていたの?………思い返してみると、魔殲滅時に誰一人、人を見かけませんでした。あのおっさんぐらいしかいませんでした。となると、街の住人は避難をしていて、あのおっさん一人で魔と戦っていた事になります。……………そんなのはおかしいです。

私の質問に、

「…………………実は、前以て襲撃があると神託がありまして」

確かにそれなら避難は事前に出來ます。なら、あのおっさんは一………

「よ、昨日ぶりだな」

噂をすれば、昨日のおっさんが神達を掻き分けてメイラさんの橫にやって來ました。

「これは、これは!アルナ様の眷屬であるアギラ様ではありませんか!!」

え…………?アルナ様の眷屬!?

「よせって、ここでは俺はただの神騎士だ」

「…………ええーと、アギラ様?ってお呼びにすればーー」

「いいって、俺より強いのにかしこまれたら、こっちが恥ずかしい」

「じゃあ、アギラさん、どうしてここにいるんですか?」

このおっさんが眷屬ってのに驚いたけど、そんな凄そうな人がこんなところに居るなんておかしい。きっと何か訳があるんだ。

「俺はアルナ様にお前達、リリとルルを神界にお連れしろと言われているんだ」

「「神界??」」

「要はその神専用の世界だ。といっても、真っ白で何も無いつまらないところだけどな」

「そこにはどうやっていくんですか?」

「ああ、それは俺が門を開けれるから大丈夫だ」

門と言った瞬間、私達の周囲にいた神達がざわめきだし、メイラさんもソワソワとし始めました。凄そうなところだとは思うけど、一応メイラさんに聞いてみる。

「あのー、神界ってどんなところなんですか?」

「それが、私にも分かりませんが!神界には神が住んでいて、そこから私達を見守り、時に助言をしてくださるところだと言われています」

はあー。つまり、神はこっちを監視しているって事だよね?自分は助言しかせず、肝心な事は人間に任せると。

「……ねぇ、ルル?」

「ん?何?」

「アルナ様がまともな人じゃなかったら、毆っても良い?」

「……………良いと思う」

師匠や私達に丸投げの神か…………。腕が鳴ります♪

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次回、遂に対面!?

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