《ただの世界最強の村人と雙子の弟子》第83話 つまづき

===リル視點========================

『何だったんだろう………?あの人ら』

私はボロボロになりつつも、役目をキチンと果たしている橋に謝しつつ、橋を駆け走る。勿論、駆け走っているんだからあの神どもは倒せた。

まず、化粧の濃い神は耳が痛くなるような騒音ものの歌を歌って來たので、口に"ウォーターカッター"を撃ち込んで即死。

次の狼のような男は、ヨダレを垂らしまくって噛み付いて來たから普通に毆り飛ばした。

最後のおっさんは、本を使って幻覚を見せて來たから、神気で幻覚を打ち消した後に本諸共"ファイアボール"で燃え盡くした。

確かに『神の強ゴットグリード』の構員なだけあってSランク冒険者並の実力はあったけど、多分あれらは雑魚の部類だと思う。本當に強い神はあんなものじゃないから。

『…………!これはティフィラさん達の魔力!?………それに微かにだけどお師匠のも……!!』

ティフィラさん達の魔力は明らかに戦闘中の魔力の揺れだ。今まさに戦しているんだけど、あそこにはイアさんをはじめ、ティフィラさんやエルガさんもいる。あの人達が簡単に負けるはずが無い。

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だから今はお師匠のところに行こう。きっとお師匠のところにはかなり強い神がいると思うから!

「……………行けるといいですね?」

『……………!?』

目の前に急に現れた黒い楕円形から一人の男が出て來た。

髪は金髪で、ところどころに金屬のような輝きのある赤髪があり、目も金の角と赤の瞳孔になっていて、背は攻武さんよりちょい低いくらいの青年と言えそうな白を著た男。

「………それは嬉しいですね」

『……………!?あなた、私の心を?』

私が男の能力の予想を言うと、嬉しそうに微笑み、

「ええ、私は相手の心が読めます」

『…………それなら、大した脅威じゃない!』

私は飛び上がって男の顔面に回し蹴りを打ち込もうと、回って足を相手の顔の高さにした時、既に男は居なかった。

『………え?』

「……舐めましたね。この僕を」

『ぐうぅぅっ!!』

いきなり後ろから聲が聞こえたと思った時には、背中に激しい痛みが走り、私は顔面から橋にぶつかり、橋を貫通して下にあった巖にぶつかった。

幸いな事に溶巖に落ちたり、ドラゴンに追撃をけたりしなかったけど、背中のダメージは中々ある。

『うっ、"強化"……』

すぐに"強化"で自然治癒力を高めて治したけど、問題はダメージの事じゃなくて、相手の事。

回った時に居なくなったのならまだ対策は取れる。けど、あの男は足が顔の高さまで上がった瞬間に消えた事。つまり、あの男は別にいつでも避けれた攻撃を意表を突きやすいタイミングで躱したという事になる。

「…いやー、流石は"特異點"の弟子。恐ろしく高い戦闘能力と並外れた神気の質と量、そして、それらに頼らずしっかりと相手を分析する。技と力、そして知。それら全てが人間の域を超えている!………あなたは元が良かったのもありますが、周りの人間や家族、そして何より素晴らしい師を持てた運命があなたをここまで強くしたのでしょう」

私をぶっ飛ばした男は私からし離れた山の中腹から私を見ている。きっと、この男は私の事を知り盡くしているんだろう。けど、こんな所でつまづいて居られない。

『私の邪魔をするのなら、悪いけど倒させてもらうよ』

私は神気も魔力も跳ね上げて既に合済みの『ソウルウェポン』を右手に持って、構える。

「……………うーん、僕としては邪魔をしているつもりは無いし、倒されたくはないけど……………、あの唯一功した被験の弟子のデータはしいよね」

『…………………………え?』

「おや?まさか気づいていなかったのかい?人族………いや、四大種族の強化兵計畫は僕が人間共にやらせたんだよ?」

強化兵計畫、それはお師匠やティフィラさん、エルガさんにイアさんが実験にされたロクでもない計畫。………ティフィラさんは緑だった髪が銀になるまでされ、イアさんはや記憶を失い、お師匠も苦痛を味わったあの計畫。その首謀者たる神が目の前にいる。

「いやー、かなり苦労したんだよ?『戯神』に研究者を確保してもらってから、『神の強ゴットグリード』の報網で有力な人間を探して確保。そして、種族特有の技を弄るのは骨がいーー」

(ドゴォーーーーン!!!)

突如、山の中腹辺りが破裂し、砂煙が舞い、土砂や巖が辺りに飛び散る。

「………いきなり何をーー」

『……うるさい。うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい』

私の視界はあの男のみに絞られ、思考もあの男を殺す事しかない。というか私の思考はとっくに壊れた。

「………………ハハ、まさかとは思うが神気が『破壊神』のものと酷似してきているぞ。あり得ないが、それが面白い!!さあ!僕にもっともっとデータを!!もっともっと好奇心を!!與えてくれっ!!!」

『………………そう。ならあげる、死を』

===オリナ視點========================

「きゃあぁぁぁ!!」

飛んできた無數の山すら簡単に貫くの筋をエルフが屈折させるが、威力がありすぎたようで、吹っ飛ばされ、気を失ってしもうた。

今、戦えるのは妾と獣人とドワーフだけ。妹ドワーフは早々に重傷を負い、エルフはたった今気を失った。

「あれ?ベータは気を失い、ガンマとデルタだけしか戦えないんですか。……もっとベータのデータも取りたかったんだけどなー」

先程から赤髪としの金髪、赤い角と金の瞳孔を持ち、白を著た青年っぽい男はエルフ達をよく分からん呼び方で呼んでおる。全く意味が分からんが、ロクでもない呼び方に決まっておる。

「…………『全昇華』、『武昇華』」

「………『神獣化・インドローラ』」

ドワーフは全に電気みたいなものを走らせ、いつの間にか手に持っていた波のような刃の両刃剣にも電気みたいなものを走らせた。

獣人の方は、背を大きくし、腕や足、、頭からフェンリルのを発生させ、を屈めて構えておる。

妾は辺りの魔素を片っ端からあの男のみ有害な毒に変換しておるが、一向に効果が無い。かくなる上は………

「……いいねぇいいねぇ。あっちのわた……僕も興味深い事があったみたいだけど、こっちも中々興味深いね~」

男は何か変な事を言っておるが、無視してドワーフと獣人が突っ込む。その間に妾も準備する。

「……………鬱陶しいからどっかいけ」

「ほんとほんと。ティフィラさんに酷い事をした君にはかなりキツイ罰を與えないと!」

ドワーフと獣人の避ける場所すら無さそうな攻撃の雨を謎のを纏って防ぐ男。

「………本當に邪魔!!」

「さっさとやられろよ!!」

ドワーフと獣人は尚攻撃のスピードを上げるが、男はそれら全てを防ぐ。

「………ガンマとデルタでは勝てないよ。それは心理的な問題でも、的な問題でも無い。論理的な問題だ」

妾の準備が出來た時には、ドワーフと獣人はで貫かれてしもうてた…………。

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