《ただの世界最強の村人と雙子の弟子》第87話 ユウキ&ドラコvs黒髮の神

===リル?視點========================

『……………ここは?』

私は目を覚ます。……ここはの無い海の底なのか?白黒の懐かしさをじられる石レンガ造りの街の風景が目の前に広がっていて、上を見上げると、真っ白な太のようなが浮かんでいて、その上にはあの海が見える。

「あら、こんな所で何してるの?」

背後から急に聞こえた聲。その聲はい頃に、ほんの一年前には當たり前に聞いていた聲。ドキドキしながら振り向くと、そこには魔師特有のフード付きのローブを著たと、騎士団長の証である剣を縦に構えた騎士のバッチを左肩近くのの鎧に付けた男がこちらを見つめていた。

『…………お母さん?』

「ええ、あなたの母ですよ~」

「お~い、俺もいるぞ~」

明るくて安心のあるお母さんと、その場に居るだけで安心出來るくらい頼もしいお父さんがこちらに向かって歩いて來る。

勿論、お母さんとお父さんが偽者なのは分かってる。けど、駆け寄らずには居られなかった。目に涙が浮かんで視界がボヤけるけど、そんな事は気にもせず、ただ、両親の元へと向かう。

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そんな私を見て、首を傾げるお父さんと、ただ腕を広げて私を待ってくれるお母さん。

私がリルになっている事も気にせず、お母さんのに飛び込む。それと同時に両腕で私を包み込んでくれるお母さん。一気に鼻を支配したお母さんの匂い、顔を埋めているや背中に回された腕のが紛れもなくこの人がお母さんだと脳が訴えている。

『…………ぐすっ、おかえりなさい。お母さん、お父さん……』

「……?ええ、ただいま。リリ、ルル」

===ユウキ視點========================

目の前にいる男は恐らくあらゆるものを腐敗、もしくは瓦解させる何かを自の周囲に展開しているはず。なら、圧倒的な突破力があれば………

「ドラコ!突風!!」

「……?おお!くらえ!!」

ドラコは男に向かって、自前の翼を思いっ切り振る。すると、強めの臺風並みの風が巻き起こり、男に向かっていくが、風は男の周囲のみを避けるようにして分かれてしまい、その先の地面に當たって砂埃を上げた。

「くそっ!やっぱりか!!」

ドラコの吐き捨てるような聲が聞こえる。きっと、悔しそうな顔をしているんだろうけど、俺の周囲には砂埃が舞っていて、何も見えない。だが、これでいい。男から俺の姿を隠せただけでいい。

「『魔導』"視眼"」

あらゆるものが視界を邪魔しても、見たいものを確実に見えるようにしてくれる『魔導』。勿論、見えるようになっただけで、砂埃が消えた訳じゃないが、砂埃ぐらい、問題じゃない。

「『魔導』"エンチャント"、"プログラミング"」

俺は手に持った片手銃両方に込められた弾に『魔導』"エンチャント"で"ウィンドアクセル"を付與し、"プログラミング"で銃口から出た瞬間に"ウィンドアクセル"が発するようにする。

「魔力による加速開始」

合言葉を呟いた瞬間、片手銃の銃が熱を帯び始めた。何故かというと、銃が高速で回転し始めたからだ。

俺は二丁の片手銃を男の心臓と頭蓋に照準を合わし、一言。

「貫け」

(ドウゥゥゥン!!)

俺は引き金を引いた。すると、瞬時に2つの弾丸が勢い良く飛び出る。そのスピードは既に通常の銃より明らかに速く、銃を知らないこの世界の奴らならあっという間に殺せる程だが、"プログラミング"の効果により、"ウィンドアクセル"が発し、なお速くなる。

2つの弾丸は、ややこちらにを向けた男の一方は心臓、一方は頭蓋に真っ直ぐ飛んだ。

「………………ほう」

男はそれを一瞥し、手を弾丸に向けた。すると、いきなり弾丸が崩れ、男に全く近づけず、塵になった。

「ちっ!」

その一部始終を"視眼"で見て、不味いと直が訴えていたから、その場から勢いよく飛び退くと、さっきまで立っていた地面に、丁度俺が落ちるくらいの綺麗なが現れた。

「…………反応も良し。やはり、お前は人間じゃないな」

「はっ、人外と言われた事なんていっぱいあるんで今更言われてもーー」

「違う」

俺は著地し、軽口を言いながらどう戦うかを考えていたが、男が急に俺を見據えて來たから思わず言葉が詰まる。

「お前は人外なんて生易しいものじゃない。お前は神では無い。眷屬の連中でも、神名無しでもない。『共神化』でる一時的な神でもない」

「………………じゃあ、何なんだ?」

「お前が一番分かっている筈だ。アハナの形見よ」

「…………はあ?」

聞いた事も無い名前だ。男の言った事は切り捨てるが、何故かその名前が気になっている。

おい、知ってるか?

(すみませんが、知りません~)

(いえ、知りません)

守姫も技姫も心辺りが無いって事は地球での知り合いなのだろうか?けど、そんな名前の奴は聞いた事も無いし、そもそも地球で暮らしていた記憶が殆ど無いから分からない。

「…………お前が誰の事を言ってるのか分からないが、今はただ、お前を倒す!!」

俺は全に"強化"をかけながら、右手に持っている片手銃を"アイテムボックス"に戻し、新たに技姫が造った日本刀を取り出す。

(どうして私達を使わないの?)

守姫が不安そうな聲で聞いてくる。

そりゃあ、奴の得の知れない能力でお前達が崩れたら嫌だからだ。

(え!?私達を心配して………!)

當たり前だろ?

(もうっ!ご主人様は優しいんだから!!)

(お気をつけて。その刀でも崩れる可能があるので、間合いはしっかりと)

ああ、分かってる。

照れた守姫と、機械的な聲をしながらも不安そうな気持ちが伝わってくる技姫との會話から意識を切り替え、男に意識を向ける。

「ドラコ!奴の頭上に!!」

「おうよ!」

ドラコは奴の頭上に滯空する。それによって奴に影が差す。

「" 闇夜の一突ヤミノイットツ"」

俺は自分の影に日本刀『闇の神刀トコヤミノツルギ』を突き刺す。すると、ドラコがつくった影から真っ黒な日本刀が飛び出した。

「ぐうぅっ!何だ!?これは……!!」

飛び出した日本刀は男の腹を背中から貫いた。まさか下から攻撃されると思わなかったようで、貫いた日本刀をまじまじと見ながら口からを滴らせ、腹からはビシャビシャとを流す。

「終わりだ。"闇の無限の剣ヤミノムサツ"」

「がぁぁぁぁっ!!」

(ドシュ!ドシュ!ドシュ!ドシュ!)

男を確実に殺す為に腹を貫いた日本刀をにして、日本刀からさらに四方に飛び出す日本刀を出し、男を側から串刺しにする。

男はの至る所から真っ黒な日本刀を飛び出させながら、の海になった地面に倒れこんだ。

「…………ふぅ。終わったな」

「………………」

ドラコが俺の隣に降り立ち、安堵の吐息をらしたが、俺はまだこれで終わったとは思えなかった。俺の直が、予がまだ終わりでは無いと告げている。

「ん?どうした?」

「…………ドラコ、あいつにファイアーブレスだ」

「は?何故だ?」

「良いから!!!」

俺のただならぬ様子をじ取れたようで、ドラコは真剣な表でファイアーブレスを撃った。

「な!?」

死んだのなら、普通に當たるはずのファイアーブレスは、男の周囲で霧散した…………。

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