《ただの世界最強の村人と雙子の弟子》第88話 夢

===リル?視點========================

私は今、家の食卓で料理を待っている。向かいにはお父さんが何かの書類に目を通しながらコーヒーを飲んでいる。

「はい、どうぞ~」

目の前に置かれた白黒の目玉焼きとウィンナー、卵焼き、白米が味しそうな匂いを漂わせている。

これらの食事は異世界から來たという勇者様達が伝え、した食事で、お母さんに無理を言って毎朝用意してもらっていた。

思えば、お師匠の家でも同じようなメニューが出ていた時點でお師匠も異世界から來たという事に気づけたのに。

「ん?どうしたの?食べましょう?」

お母さんが心配そうな目で見たから、お師匠の事は置いといて、早速食べよう。

『いただきます』

私は手のひらを合わせて一禮してからフォークで目玉焼きを一口大に分けてから口にれる。口に広がる卵の甘みが守姫さんが焼いてくれたとは違った味しさがある。

『……味しい……』

「そう?良かった~」

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お母さんはそう言って、自分も目玉焼きを食べる。因みにお父さんは朝は抜くタイプなので食べない。こんな味しい朝食を食べないなんて損してると思う。

そんな事を思っていたら、お父さんがコーヒーを飲み干して小さな"アイテムボックス"が付與された袋を攜えて玄関に向かう。

お父さんが扉の前で靴を履いている間にお母さんがお父さんの下に著いた。

「……じゃ、行ってくるわ」

「はい。私もししたら行くから……」

「……………、リリとルルの側に居ても良いんだぞ?俺から王宮魔師にーー」

「良いの。だって私が居ないと……」

お父さんはお母さんを抱き締めると、寂しげな笑顔を見せ、出て行ってしまった。お母さんはし、その場で佇んでいたけど、すぐに私の所に戻って來た。

『…………お母さん。私は大丈夫だよ?』

「………!……うん、ありがとう」

お母さんはし目元に涙を浮かべながら私に抱きついた。

…………思えば、あの日の前もこんなやり取りをしていた。お父さんは優しいから、お母さんを私の側に居させようとするけど、王宮魔師は年中人手不足。

王宮魔師はその場を守護するだけの王宮騎士団とは違い、日々魔法の研究、脅威となりそうな魔を騎士団と協力して討伐。神殿への出張に、《冒険者ギルド》に赴いて回復魔法をかけたり、時には一緒に依頼に行かないといけない。

既にただの付となってしまった《オウガ》では、いかに高ランクの冒険者を取りれ、その力を振るえるかが鍵になっていた。

そこで、無駄にプライドの高い騎士団より、冒険者の中で比較的ない魔師を《オウガ》公認で有料貸し出すというシステムにした。

おかげで《オウガ》は潤い、付に過ぎなかった《オウガ》は魔師を貸し出ししてくれる都市として多くの冒険者がお金をはき出した。

中でもお母さんはSランク冒険者どころかSSランク冒険者からも貸し出し要が強い。だから、家に帰って來ない日は珍しくなかった。

「じゃあ、行ってくるわね。お晝はそこの"アイテムボックス"にってるからお父さんと一緒に食べてね」

『うん…………。気をつけてね』

「ええ。行って來ます」

お母さんは微笑んで、手に持った特定の場所のみ転移出來る『転移石』を使って私の前から姿を消した……。

『……………さて、じゃあいつも通りに………』

私はみんなの食を片付けてから家を出て鍵を閉める。

向かうは《オウガ》の付近にある森。

『…………………弱い』

私は足元に広がる50もの魔の死を冷たく見つめながら呟く。勿論、森の中には集団で襲ってくる《ゴブリン》や高い攻撃力を持ったの天敵《オーク》や小さな《フレアドラゴン》も居た。

昔の私なら倒せなかったけど、今の私だと簡単に倒せる。

けど、これだと昔の日課通りに過ごせない。

『………………そうだ、お師匠が居る森に………!』

「おい、どうした?食わないのか?」

『………え?』

急に聞こえた聲に驚いた瞬間、私は家に居た。向かいにはお父さんが居て、視線を下に向けたらそこには白黒のシチューとパンが置かれて居た。

「おーい?大丈夫か~?」

『………うん、大丈夫』

「……………そうか。なら良いんだか…」

お父さんはそう言うと、パンをシチューに浸して食べた。私もを先に食べてからお父さんと同じようにパンを食べる。

「…………なあ、明日、みんなでピクニックに行かないか?」

『……………え?』

「いや………、何だ、お前が勇者様達が伝えたピクニックとやらをやってみたいと言っていたからお母さんと休みを合わせたんだ」

それは魔王が來る前の日に言われた事と全く同じだった。あの日の私は魔王が來るなんて知るはずもなく、手を取り合って喜んでいた。

けど、今は違う。私は魔王が來るのを知っている。勿論、これが夢だと分かっているけどお父さんとお母さんを死なせたくなかった。

「え………?どうした?行きたいんじゃないのか?」

お父さんが不安そうな顔で私を見つめてくる。…………そうだ。あの日はギリギリだったけど、今は違う。あんな魔王なんて瞬殺すれば良い。なら、お父さんとお母さんは死ななくて済むし、ピクニックも楽しめる。

『………うん、行きたい……!』

「……そうか、そうか、そうか!それは良かった~!なら、俺は晝から休みを取ってるから買い出しに行くか!!」

『うん!!』

お父さんは嬉しそうにしながら殘りのパンを食べ、シチューを飲み干した。私も同じように食べきり、2人で食を洗ってから手を繋いで家を出た。

「お、団長さんと娘さん達じゃないか!!2人でお出かけかい?」

「いや~、仲の良い親子だな~。微笑ましい!!」

「全くだ!団長さんは俺達の誇りだし、娘さん達は可らしくて癒されるっ!!お母さんが居ないのは殘念だがーー」

「おいっ!空気読めよ!!」

口々に私達に話しかけてくれる街の人々。それを笑顔で流すお父さん。…時々お母さんの事を言っている人も居るけどそれもいつも通り。

「……おっちゃん、このパンを3つ貰えるか?」

「はいよ!!銀貨5枚だ!」

「これで」

「丁度だね!毎度あり~!!」

お父さんが今買ったのは食パンと呼ばれる、これも勇者様達が伝えたパンで、とても味しいパンだ。

「次は………、レタスとハムと……」

『……もしかして、サンドウィッチ?』

パンを朝攜えていた小さな袋をれながら呟いていた食材から………いや、分かっていたけど、一応聞いてみる。

すると、お父さんはギクリと肩を一瞬震わせ、こちらを見て、観念したかのような顔になった。

「………流石だな~。おまえ達は勇者様関係の事ならすぐに分かるな」

『………………まあね』

私は小さい頃から圧倒的な力と私達では考えもつかないを知っている勇者様が憧れだった。

まあ、當時は勇者様と同じ異世界から來たとは思わなかったけど、それより好きだったのは『全能の大英雄』様だ。

異世界から來た訳じゃないのに、勇者様達すら超える力と知識を持つ、まさに最強無敵の人だと思っていた。……まあ、結局お師匠も勇者様達と同じだったけど、今でもその気持ちは…………。

「さあ、著いたよ?」

『………え?』

「どうしたの?」

また急に聲が聞こえたと思ったら、私は《オウガ》の外れにある草原に居た……。

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一回、間違えて公開してしまいました!ご迷をおかけして申し訳ありません!

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