《ただの世界最強の村人と雙子の弟子》第93話 夢の世界
===ユウキ視點========================
「『殲滅武』"貫き通す一刀イットウムソ"」
俺は刀を突き出しながら駆ける。狙いはゴーレム越しにいるリル。
「アハハハハハッ!アハハハハハッ!アハハハハハッ!來るのねっ!?良いよ!良いよ!!け止めてあげるぅっ!!」
リルの聲がしたと思いきや、音もなく、いきなりゴーレムが崩れ落ち、不気味な笑顔をしたリルが出てくる。
そしてリルは、ちょうど心臓があるところに、っかを作った右手をから心臓の辺りが見えるように置き、その上から同じように左手を置いた。
明らかに見え見えな待ち構えだ。こんな事は教えたつもりは無いが、あいにくな事に、俺が狙っているのは心臓。心臓しか駄目なんだ。
「その挑戦、けてやるよ!」
「さっすが、お師匠!!それでこそ、私が一番好きな人っ!!!」
そして、俺の刀がリルの左手のっかの中にった瞬間、貫こうとする俺の力と刀を握りしめようとリルの力がぶつかった。
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「ぐぅぅっ!おぉぉぉぉっ!!!」
「アハハハッ!!すごい!すごい!一瞬でも気を抜いたら一気に行かれそう!!」
ゆっくりとだが、俺の刀は進み、切っ先は左手から右手に変わった。
「ふぅぅぅっ!!」
「アハハハッ!まだ力が強くなるの?なら、こっちも!!」
刀の切っ先が右手の中腹辺りに來てから、リルは右手でも刀を握り、ここに來て一気に刀の進度が遅くなる。
「くぅぅぅっ!!『殲滅武』"腳技・大陸陥沒"」
「………あ」
刀の頭かしらを"大陸陥沒"という一點に重い一撃を與え、大陸を陥沒させられる膝蹴りを放った瞬間、驚くほどらかにリルの両手を刀が通り………
今だ!『魔導』"深層侵"!!
(……!了解しました!!)
リルの心臓に當たる直前、近接理攻撃を人の深層意識に介する攻撃に変化させる"深層侵"を使い、技姫をにして、リルの深層意識にり込んだ………。
===リル?視點========================
『お父さんを離せ!』
私は右手に合済みの『ソウルウェポン』を顕現させ、フードを被った男の右腕、つまりお父さんの首を絞めている腕に斬りつけようと剣を振り下ろした。
それを橫目で見た男は手早くお父さんの首をへし折り、首から手を離して飛び下がった。その間、私の剣は間に合わず、男に傷一つ付いてない。
…………間に合わなかった。夢の中でさえも、私のお父さんとお母さんは死に絶えた。
『……………許さない。あなただけは絶対ーー』
その時、今まで全く吹かなかった風が吹き、男のフードが頭から離れる。
『………え?どうして?……』
今まで隠れていたところから現れた顔は私が最も尊敬し、好意を抱いている男であるお師匠だった……。
「……?どうしても何も、辻褄が合わないだろ?」
『………つじ……つま?』
「そう、辻褄合わせだ。現実でお前の両親は殺された」
『………………やめて……』
お師匠は私の周りを円を描くように歩き始めながら話し続ける。
「お前は両親を殺された事により、俺の弟子になる。これが現実なのに、お前はこの夢では違う未來にしようとした」
『…………それの何がいけないの?…』
私も自覚しているし、お師匠が言った通り、ここは夢の世界だ。偽の世界だ。…………でも、私はそれでも良かった。ただ、お父さんとお母さんと過ごせただけで…………
「駄目に決まってるだろ」
『…………っ!!』
私の想いとは裏腹に、お師匠は冷たい視線で、冷たく言い放った。
「お前はここをただの夢の世界だと思っているようだが、それは違う。ここは《創造の世界》。文字通り、あらゆるものを創造する為の世界だ」
『……創造…の………世界……?』
聞いたこともない単語。なのに、いきなり湧き上がって來た、をくすぶるかの高揚はなんだろう……?
「ここで願ったもの、人、世界はいずれ本當のもの、人、そして世界になる。ここは初代神王が數多の世界を創った場所でもある」
『………え?初代神王は神気で創ったんじゃーー』
「そう。初代神王は神気でこの《創造の世界》を創り、世界を創った」
……………お師匠が何でそんな事を知っているのか気になるけど、今は………
『………初代神王が世界を創ったというなら、私も創る。私が理想とする世界を』
私ははっきりとお師匠に言った。その瞬間、今まで見せたことのないくらい不気味で寒気がするような笑みを見せた。
「………………そうか、そうか……。なら、俺は管理者としてお前が創る世界を片っ端から壊してやる」
『……………え?』
私は最初、何を言っているのか分からなかった。だって、お師匠がそんな事……
「分かりやすく言ってやる。何度だってお前の両親を殺す」
『………………っ!!』
気づいた時には、私は右手に持った『ソウルウェポン』の切っ先をお師匠の首元に突きつけていた。
「………?どうした?気に食わないなら殺せよ。さあ!」
お師匠は両手を広げ、首元に突きつけた剣の切っ先に首を軽く當てた。そこから靜かにが滴る。
「…………本當は気づいてんだろ?俺の方が正しいてな」
『……………………………』
私が必死に逸らしていた現実を突きつけられ、何も言えなくなった。
………お師匠は正しい。正しいに決まってる。だって、私がやろうとしているのは現実逃避以外の何ものでもない。…………けど、…………けど………!!
「………どうしたんだ?リリ、ルル?」
『…………っ!?』
いきなり背後から聞こえたお父さんの聲に驚き、振り返ろうとした瞬間、両肩にそれぞれ手が置かれた。
右肩には塗られたの手、左肩には男の手が置かれた。それを橫目で確認した後、前を向くと、お師匠が鏡を持っていた。
そこには中央に私。右肩の背後にいるのはや頭からを流し続けるお母さんと、首がへし折られた事により、常に左に首が倒れた狀態になっているお父さんが居た………。
『………ひぃ…!』
私は思わず2人から離れようとしたけど、2人はとんでもない力で私の肩を抑え込んでいて、逃げる事が出來ない!
「………ねぇ、仇を取ってくれないの?」
「俺達はあの男に殺されたのに……」
『………そ、それは………』
お母さんとお父さんはまだ呟く。
「痛い……痛いよ~」
「憎い、あの男が憎い!」
『…………………』
そうだ、夢の中とはいえ、あの男はお父さんとお母さんを殺したんだった………。
「殺して!あの男を!!私達のようにっ!!」
「殺せ!殺せ!殺せ!あの男さえ殺せば俺達は幸せになれる!!」
『……………そうだね…』
私の思考はまるで耐え難い眠気に襲われている時のようにおぼつかない。けど、そんな時でも、お師匠がニヤついているのは見えた。
『…………………何をニヤついているの?私はあなたを殺そうとしているのに?』
「いや、何でもない。それより、さっさと殺せよ。俺を憎しみながら、激怒しながら、恨めしく!殺せ!!」
お師匠の言葉を聞いた次の瞬間、私からお師匠を殺さないと収まらない程の殺意、憎しみ、恨み、怒りが湧き上がって來た……………。
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今週は全く投稿が出來ず、申し訳ありません!中々忙しかったもので……。また10月辺りから忙しくなりそうなので、申し訳ありませんが、投稿はあまり期待しないでください………。
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