《ただの世界最強の村人と雙子の弟子》第94話 リルの深層意識

===ユウキ視點========================

「ここが…………、リルの……」

"深層侵"は功し、俺はリルの深層意識に居ることになるが…………

(何だろう?)

(…………真っ黒な……海?でしょうか)

俺は今、周りが全く見えない程の暗い海に居るみたいだ。最も、ここが海だと覚でじているだけであって、本當はもっと別のものかもしれないが。

「………………取り敢えず、下に進もう」

(気をつけて)

(…………………………あの~……)

ん?どうした守姫?

俺は下に潛るように足をかしながら、何故か申し訳なさそうにしている守姫に話しかける。

(…いや、ご主人様は初めからこうしてリルを助けようとしていたのに、私はご主人様の事を疑ってしまい…………)

あー、その事か。別に気にしてないからそう考え込むな。

確かに、あの戦いぶりなら疑われても仕方ないだろう。………まあ、しっかりと説明しなかった俺が悪いだけだけど…。

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(そんな事はありません!私はご主人様に仕えるでありながら、ご主人様を疑ってしまった事にーー)

なら、この戦いが落ち著いた時に言う事を何でも聞けよ?

(えっ!?………………まあ、良いですけど………)

守姫は照れているみたいだ。こんな狀況じゃなかったら、真っ先に守姫達のところに意識を移して、守姫の照れた顔を見たのに……………

(もうっ!からかわないでください!!)

(……………………あの、我が主人。私も我が主人の事を疑ってーー)

本當に………?

(……………、疑いの気持ちとリルを救出すると信じている気持ちが半々ぐらいでした……)

じゃあ、技姫には俺のの回りの世話をーー

(喜んでっ!!)

(えっ!?ズルくないですか!!)

(ズルくありません。何せ、我が主人自ら言った事なのですから!!)

(ご主人様!私もーー)

技姫のあまりにも食い気味な反応に、今更冗談と言えず、が重くなるような覚を覚えながら、騒がしい2人の會話を聞きながら下に向かった………。

「ん?何だあれ?」

(白い…………、?)

(恐らく、の先にリルが居るかと)

だと良いが……

俺はを時計回りに捻り、その捻りを利用して回転し、一気に源へと向かった。

「熱ぅぅぅっ!!」

(ご主人様!?)(我が主人!?)

源にった瞬間、を焼こうとする熱に襲われ、反的に"羅剎貫"を放ち、出來たから出する。

「"強化"」

白黒の地面に著地した後、すぐさま"強化"で自然治癒力を底上げして、中の火傷を跡形もなく治す。

"深層侵"は相手の深層意識にり込める『魔導』だ。だが、り込んでいるのはあくまで俺の意識。本當のでは無いが、それでもここで死んだらも死ぬし、ここで怪我を負えばにも反映される。

この『魔導』はり込むだけのものだという事を忘れないようにしないとえらい事になるからな。

(大丈夫ですか!?)(お怪我は!?)

まあ、火傷したけど、すぐに治したから。

守姫と技姫に返事をしながら、辺りを見渡す。ここは…………

「《オウガ》か。……リルの故郷の地である街」

リルの深層意識は、どうやら白黒になっているこの《オウガ》のようだ。

(…………分かってはいましたが、誰も居ませんね……)

(ええ、それが當たり前ですが……)

守姫と技姫の言う通り、深層意識にはその人本人しか居ないのが普通だ。

……まあ、稀にいるが、それは多重人格の人かあるいは心の中で様々なを押し込み過ぎている人ぐらいだろう。

「………取り敢えず、歩くか」

(ここでは"探知"が使えないので自力で探すしかありませんね~~)

(もしくは普通に呼びかけるか、ですか)

まあ、普通に歩いて探すよ。あまり暴れる訳にはいかないからな。

守姫の言う通り、ここでは自の魔力を周囲に放って周りを把握する"探知"は、この深層意識の中で仮ではあるが、自分のを維持する為の魔力を消費してしまう。

俺がこの世界で使える魔力は、"深層侵"を使った時に用意した分しかない。あまり無駄遣いは出來ないから、『魔導』は勿論、魔法もほとんど使わない方が良い。

「……さーて、さっさと見つけて連れ戻ーー」

『やっと來ましたか』

「……っ!?」((…………っ!?))

突如、聞こえたの聲。周りを見渡すが、誰もいない。この世界に敵が居るとは思えないが、一応警戒する。

『そんなにくならないで大丈夫ですよ?』

「…………信じられるとでも?」

妙に親しみを覚えるような聲だが、そんな事で隙を曬す訳がーー

『いつの間に、こんなに立派になって………!お姉さんは嬉しいですよ?』

「はぁ?何を言ってーー」

(あ~あっ!!)

いきなり大聲で守姫にばれ、何の抵抗も出來ず、頭の中で響き、頭がズキズキする。

いきなりぶなっ!こっちは耳を塞いでも聞こえるんだぞ!!

(あ、申し訳ありません!!)

あ~あ、もういい。で、どうした?

(あ、実はーー)

(そこまでにしておきましょう)

守姫が何かを言いかけた瞬間、意外にも止めたのは技姫だった。

は?いや、教えろよ。

(いえ、殘念ながら私達の口から教える訳にはいきません)

(本當にごめんなさいっ!!)

訳が分からない。どうして、俺が知らない事を守姫達が知ってるんだ?いつだって一緒だったから、俺が知らないって事は………

(そう。我が主人が知らない訳が無いんです。思い出してください)

思い出すって何を?

『……そこまでにして頂けますか?』

技姫に言われ、必死に記憶を遡っていたところに、し拗ねたようなじで遮ってきた聲。

「あー、悪い悪い。し考え事をしていた。それより、お前は一何者なんだ?」

どこにいるのか分からないから、取り敢えず、あの俺を焼きやがった球に話しかける。

『…………………、それよりリルの所へ早く向かってください』

まあ、分かってはいたが、リルの事を知っているようだな。

「どこにいるんだ?」

『あの草原…………、リリとルルが親と最後に過ごした草原です』

草原………、恐らくだが、初めて會った2人を《オウガ》に帰す時に"転移"した草原は《オウガ》を囲うように広がっていたから、そこの何処かにあるんだろう。

『さあ、早く。取り返しのつく、今のにリルを助け出してください』

「…………?まあ、分かった。リルの居場所を教えてくれたのは謝するが、お前の正はいつか暴くからな!」

俺は勝手に言い放って街の外へと駆け出した。

(あの人の事を信用しているのですか?)

はぁ?それはお前達の方が分かるんじゃないか?

徐々に街の外壁が見えてくる中、走りながら守姫に聞く。

(………まあ、信用しないと草原に向かってませんよね)

違う。俺はただ他に行くところが思いつかなかっただけだ。

(……そう……ですか…………)

ん?お前、正を知ってるだろ?なら、信用出來る人かは分かるんじゃないか?

守姫の複雑そうな想いが伝わる聲に、若干不安を覚えながら、守姫に聞き返すが、返答は來なかった…………。

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